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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
ラスト・デイズ
2014年01月26日 (日) | 編集 |
引きこもり病?

ラスト・デイズ_ポスター

解説:『フェーズ6』の監督と『REC/レック3 ジェネシス』の製作者によるスペイン産スリラー。〝外に出られない〟、それだけで人類が破滅へ向かうという斬新な設定が光る。屋外に出ることを恐れる広場恐怖症に似た、原因不明の病が蔓延。システムエンジニアのマルクら職場で発症した人々が、3ヵ月後、移動に地下道を使おうと地下の壁に掘っていた穴を貫通させる。マルクは恋人を捜すため地下道に踏み出す。

都会に暮らす現代人よ、外の世界の素晴らしさを忘れてないか。
勇気を持って外に踏み出そう。
というようなテーマを持つ映画。

ゾンビものでもなく、感染ものでもない。
外に出ると心臓発作で死ぬという広場恐怖症が全世界に蔓延し、
人々は一歩も出れなくなる。
それにより、社会機能が停止し、秩序も崩壊する。
主人公が、この世界の中、生きはぐれた恋人を捜し回るというストーリー。
ラスト・デイズ_画像1
いやなおじさん上司とのコンビというのも面白かった。

スペインの若手映像作家パストール兄弟の監督作品で、
フェーズ6』と同じく、終末感の雰囲気がいい。

ラスト・デイズ_イメージ1

(ネタばれ)
よちよち歩きの赤ちゃんは、なにごともなく、外への一歩を踏み出す。
やがて大きくなった息子は、
いまだに外に出られない親たちのもとを巣立っていく。
緑あふれる外の自然な世界へと。
新世代が新しき世界を作っていくのだろう、というラストでしたね。

ラスト・デイズ Los ultimos dias 2013年【スペイン】102分
監督:デビッド・パストール、アレックス・パストール
製作:アルベルト・マリーニ、ペドロ・ウリオル
出演:キム・グティエレス、ホセ・コロナド、レティシア・ドレラ
★★★☆☆(3.5)
ラスト・デイズ [DVD]

レティシア・ドレラ画像
※恋人役レティシア・ドレラは、『REC/レック3 ジェネシス』 (2012)に出演してた女優さんでした。

ロスト・メモリー
2013年11月03日 (日) | 編集 |
あの森で起きたことを、私は覚えている・・・

ロスト・メモリー_Photo1

解説:地元病院で医師として働くハンナのもと に、幼い頃親友だったクラリッサが患者としてやってくる。それをきっかけに2人は旧交を温め、子ども時代に互いの両親とバカンスへ出かけた小さな島を訪れることに。しかし、島には不気味な雰囲気が漂い、住民のマリアは失踪して行方がわからなくなっていた。2人は子どものころに一緒に遊んだはずのマリアの存在をすっかり忘れ去っていたことをいぶかしく思い、過去を探り始めるが……。

幼い頃の失われた記憶がよみがえるにつれて、恐ろしい真実が明らかになる様子を描いたドイツ製サスペンススリラー。

夏のバカンスに来ている主人公ハンナにとって、マリアは、記憶にさえ残らない、ただの田舎の子にすぎなかったんでしょうね。しかし、島という狭い世界に住むマリアにとっては、そうではなかった。親友だと約束したハンナにむごいことをされ、人生をめちゃくちゃにされてしまった。自分のことを覚えてない上に、ハンナは「後悔してる」と言うだけで、謝ろうともしない。
こりゃ、腹立ちますよね。自分と同じ苦しみを味わってもらわないと気がすまないかもしれません。
ハンナが、自分のことをずっと気に病んでくれていたというのなら、マリアの気持ちも和らいだかもしれませんね。憎しみをはらすことが目的になってしまったマリアの人生が悲しいです。

ドイツ製の救いのない恐い物語でした。
亡くなったという少女の亡霊ホラーのような不気味さを漂わせながら進んでいくお話で、暗い映像の雰囲気が、なかなか良かったです。

ロスト・メモリー Du hast es versprochen 2012年【独】102分
監督・脚本:アレックス・シュミット
出演:ミナ・タンデル、ラウラ・デ・ベーア、カタリナ・タルバッハ
ロスト・メモリー_Poster
ロスト・メモリー [DVD]
★★★☆☆(3.5)

シャドー・ダンサー
2013年08月25日 (日) | 編集 |
シャドー・ダンサーは誰なのか?

シャドー・ダンサーPhoto1
幼き頃からの苦悩を抱える彼女の心と相反するような真っ赤なコートが映える。

解説:「マン・オン・ワイヤー」でアカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したジェームズ・マーシュ監督が、愛する息子を守るため密告者として生きる道を選んだ女性の姿を描くスパイサスペンス。原作はイギリスのジャーナリストで小説家のトム・ブラッドビーによる「哀しみの密告者」。

なんだかわかりにくいタイトルなので、観る方は少なそうだ。
TSUTYA独占レンタルだし。
だが、観終わったあと、このタイトルが、余韻を残す静かで渋い作品でした。
もう犠牲は出したくなかったのに。
コレットの心の奥で踊る哀しきシャドー・ダンサーの姿が思わされた。

あらすじ:1993年の北アイルランド。ひとり息子のマークを育てるシングルマザーのコレットは、幼い頃に弟を死なせてしまったある事件がきっかけとなり、 IRA(アイルランド共和軍)のメンバーとして活動していた。ある時、ロンドンの爆破未遂事件の容疑者として逮捕されたコレットは、MI5(イギリス情報局保安部)の捜査官マックから、このまま25年間投獄されるか、IRAの動向を探るスパイとして働くかの選択を迫られ、やむなくスパイとして生きることに。一方、MI5の組織内に怪しい動きを感じたマックは、「シャドー・ダンサー」というコードネームで呼ばれる、もうひとりの密告者の存在を突き止めるが……。

Shadow Dancer 2011年【アイルランド・イギリス合作】101分
監督:ジェームズ・マーシュ
原作:トム・ブラッドビー/脚本:トム・ブラッドビー
出演:アンドレア・ライズボロー(コレット・マクビー) 、クライブ・オーウェン(マック)、ジリアン・アンダーソン(ケイト・フレッチャー)
シャドー・ダンサー [DVD]
シャドー・ダンサーPoster
★★★☆☆(3.5)

◎関連作品「マン・オン・ワイヤー

あの日 あの時 愛の記憶 
2013年03月31日 (日) | 編集 |
いとしい声が、私を呼んだ
1994年、ポーランド。強制収容所で恋に落ち脱走した恋人たち。
1976年、ニューヨーク。テレビから聞こえてきた声は、
生き別れたあの人のものだった・・・

あの日あの時愛の記憶_Photo1

解説:実在する1組の男女の数奇な体験をベースにしたラブストーリー。ナチスの強制収容所で運命的な出会いを果たし、共に脱走を図るものの、生き別れてしまった男と女が奇跡のような巡り合わせで再会する姿を映し出していく。メガホンを取ったのは、テレビ映画などを手掛けてきたアンナ・ジャスティス監督。共にドイツ出身のダグマー・マンツェルとアリス・ドワイヤーが、30年も封印してきた愛に翻弄されるヒロインを熱演。波瀾万丈な展開もさることながら、凄惨な収容所内の描写も観る者の胸を打つ。

収容所シーンが緊迫感あふれます。
死線を越えた体験ですからね。
聞き覚えのある声から、一気に、ハンナは、フラッシュバックしてしまうんだろうと思います。愛し合ったことや恐怖やすべてのものが、時間と空間を越え、ハンナの感覚はニューヨークに居ないでしょう。

娘さんや主人には話したところでわからない
二人だけが共有できるものがありますよね。
生きている自分にとっての存在の一部みたいなものじゃないでしょうか。
声で始まり、声で再会する。
ラストシーンに。言葉は要らない、というのがわかります。

あの日 あの時 愛の記憶 Die verlorene Zeit 2011年【ドイツ】111分
監督:アンナ・ジャスティス、脚本:パメラ・カッツ
アリス・ドワイヤー・・・・ハンナ・ジルベルシュタイン(1944年のハンナ)
マテウス・ダミエッキ・・・トマシュ・リマノフスキ(1944年のトマシュ)
ダグマー・マンツェル・・・ハンナ・レビーン(1976年のハンナ)
レヒ・マツキェビッチュ・・トマシュ・リマノフスキ(1976年のトマシュ)
スザンヌ・ロタール・・・・ステファニア・リマノフスキ(トマシュの母)
フロリアン・ルーカス・・・ハンス・バン・アイデム
デビッド・ラッシュ・・・・ダニエル・レビーン(ハンナの夫)
★★★★☆(4.0)
あの日あの時愛の記憶_Poster

アンナ・カレーニナ(1997)
2013年01月22日 (火) | 編集 |
アンナ・カレーニナ_ソフィー・マルソー

解説:ロシアの生んだ世界的な文豪レオ・トルストイの不朽の名作の、7度目の映画化。1880年のモスクワ。伯爵夫人のアンナは、軍人のブロンスキーと駅で出会 い、そのまま恋に落ちてしまう。だが、二人の関係は事実上の不倫であり、当時の社会通念では決して許されるものではなかった。真実の愛を貫くため、アンナは離婚を決意するが、残酷な運命が彼女を襲う。名指揮者、故サー・ゲオルグ・ショルティが音楽を担当。

尺も短く、テンポが速いので、なんだか、わかりにくい感じでした。やっぱり、原作を読んでこその文芸大作なのでしょうね。虚構に彩られた貴族世界にあらがうかのようなアンナ・カレーニナという女性を通じ、レーヴィンという人物が、人の生き方を悟っていくような作品なんだろうと思います。

何度も映画化されており、映像作品としては、
女優さんそれぞれの美しきアンナ像の表現を楽しむ作品でもあると思います。
ソフィー・マルソーは、柔らかい印象だし、
自分に対して正直に生きるみたいなアンナでしたね。
情景にすっと馴染むみたいな幻影的な感じが、はかないですね。

アンナ・カレーニナ ANNA KARENINA 1997年【英/米】108分
監督・脚本: バーナード・ローズ
原作:レオ・トルストイ「 アンナ・カレーニナ〈上〉 (新潮文庫)
出演:ソフィー・マルソー(アンナ)、ショーン・ビーン(ヴロンスキー)、アルフレッド・モリーナ(レーヴィン)、ミア・カーシュナー(キティ)
★★★☆☆(3.5)
アンナ・カレーニナ [DVD]

◎ソフィー・マルソー関連記事
→『レディ・エージェント 第三帝国を滅ぼした女たち (2007年/仏)


アンナ・カレーニナ_キーラ・ナイトレイ
「プライドと偏見」「つぐない」のキーラ・ナイトレイ&ジョー・ライト監督の『アンナ・カレーニナ』は、2013年3月29日より公開されます。脚本は「恋におちたシェイクスピア」のトム・ストッパードが執筆。キーラ・ナイトレイなので、浮き沈みの激しそうなアンナの感じがします。