fc2ブログ
観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
本:インシテミル/米澤穂信
2010年09月30日 (木) | 編集 |
インシテミル米澤穂信
インシテミル (文春文庫)

時給11万2千円。
暗鬼館という地下施設に、集められた12人の男女により、
7日間おこなわれる、人文科学的実験。

主催者と対峙するものでなく、ルールを提示されるだけ。
あとは、何の指図もありません。
そんな中、参加者に死者が出ます。

やっぱり、まず思うことは、私は死にたくない、やろね。
疑われたくない、この中の奴が殺ったのか。
これ以上、何も起こらず、やりすごしたいと願う参加者たちは、
なんとか、この状況を解決しようとするねん。
1時間、2時間と、無難に時間さえ過ぎれば、お金は、はいってくるからね。

でも、それぞれの思惑があるし、なんか気に入らない奴も出て来る。
武器アイテムが配られてるけど、
それを、決して明かさないし、手放さない。
疑惑の心理描写で進む話で、読み出したら、やめられません。
思わせぶりに、インディアン人形も出てきたりして、面白いです。


インシテミル予告
今回の映画は、『リング』の中田秀夫監督で、
ホラー風味の作品だろか、美術、キャラの演出も、楽しみですね。
プロダクション「ホリプロ」創業50周年記念
映画『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』は、10月16日より。

※10/16初日、映画、観てきました。→『インシテミル 7日間のデス・ゲーム

本:悪人 吉田修一
2010年09月10日 (金) | 編集 |
早く嘘を殺さないと、真実のほうが殺されそうで恐かった。

悪人_文庫
悪人(上) (朝日文庫) 悪人(下) (朝日文庫)

あらすじ;福岡市内に暮らす保険外交員の石橋佳乃が、携帯サイトで知り合った金髪の土木作業員に殺害された。二人が本当に会いたかった相手は誰だったのか?佐賀市内に双子の妹と暮らす馬込光代もまた、何もない平凡な生活から逃れるため、出会い系サイトへアクセスする。そこで運命の相手と確信できる男に出会えた光代だったが、彼は殺人を犯していた。彼女は自首しようとする男を止め、一緒にいたいと強く願う。光代を駆り立てるものは何か?その一方で、被害者と加害者に向けられた悪意と戦う家族たちがいた。誰がいったい悪人なのか?事件の果てに明かされる殺意の奥にあるものは?

たいへん、たくさんの登場人物で構成されてます。
地方の街。孤独な叫びを感じる物語。
読み終わって、悪人とは誰か?というより、
悪とは、いったい、なんなんだろう、という思いがめぐりました。

イメージとしては、表紙のイラストにも描かれてるように、
やっぱり灯台かなー。
ぐるりぐるりとめぐってくる灯台の光に、
パッと照らされた瞬間だけ、その登場人物の感情があらわになる感じ。
光がいってしまうと、またたくまに、消えていってしまう。
寂しさが漂う。

つかのまの光が去ってしまったあとの孤独感。
光代は、もう、この状態に耐えきれず、
祐一ともに逃避行にはいってしまうのかと思います。

そんな、光代の気持ちが痛いほどわかった祐一は、
真実を殺し、嘘を生かすんだと思う。
一人だった彼が、自分のためでなく、相手のためにつく嘘。

どっちも被害者になれんたい、という祐一の言葉が悲しい。
数々、出てくるセリフを思い返しながら、
つながってくる人の気持ちを、想像すると、痛々しいですね。


悪人ニュース写真
李相日監督、深津絵里、妻夫木聡

映画の脚本は、李相日監督と原作者吉田修一の共同執筆。
原作のイメージは損なわず、また違う形での『悪人』を観れると思うので、
期待してます。映画『悪人』は、いよいよ、9月11日より。

吉田修一『悪人』公式サイト
映画『悪人』公式サイト
深津絵里がモントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞!
 ありがとう、メルシーボクと感無量でスピーチ!

深津絵里効果!?『悪人』世界公開決定!まずは香港、マカオ、台湾から

本:告白/湊かなえ
2009年11月11日 (水) | 編集 |
告白告白
湊 かなえ

商品詳細を見る
2009年本屋大賞受賞。我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。


ダークな本です。
“愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです”
と、終業式の日、幼き我が娘を亡くした女性教師が、独白していく。

愚痴のように語る先生の一人称で始まり、
この最初の章が、ものすごく読みづらい。
そこを抜け、違う人物の独白の章になると、
がぜん、面白くなってきます。

各人物の独白により、事件の詳細がわかってくるんですが、
自分の思ってることと、相手の思ってることの、なんと違うことか。
つまり、登場人物すべてが、
自分の行為を、いかにも正しいように、勝手な理由づけをしていくんですね。
だからね、読んでて、すごく気分悪いです。
えっ、となる最後で、なにか落ち着かない気持ちになる本でした。

告白_松たか子

この暗~い一人称の話を、映画化するらしいんですが、
今回、『下妻物語』『パコと魔法の絵本』の中島哲也が監督だそうで、
これは、いいんじゃないですか。
暗いタッチの原作とは、また違った味わいになりそうで、映画化は、楽しみですね。
2010年6月、全国公開予定です。

◎公式ページ→映画『告白』

流星の絆/東野圭吾
2008年09月05日 (金) | 編集 |
ペルセウス座流星群を見にこっそり家を抜け出した功一、泰輔、静奈の小学生3兄妹、
家に戻ると両親は、何者かに惨殺されていた。
ある日、偶然に見つけた親の仇に、復讐を仕掛けていく青春ストーリー。
展開がものすごく早いので、先が気になってぐいぐい読めました。
重苦しい物語ではなく、かなりあっさりめです。

3兄妹の両親は、ハヤシライスが評判の洋食屋を営んでいたので、
“ハヤシライス”という言葉が何回も出てきて、
読んだ方は、おそらく、ハヤシライスが食べたくなりますね、きっと。

ドラマは、10月17日金曜午後10時、スタート。
金曜ドラマ流星の絆 http://www.tbs.co.jp/ryuseinokizuna/
キャストは、二宮和也(功一)/錦戸亮(泰輔)/戸田恵梨香(静奈)で、
原作より若いイメージですけど、悪くなさそうですね。
脚本は、『池袋ウエストゲートパーク』『木更津キャッツアイ』などの宮藤官九郎で、サスペンスタッチにはならないでしょう。
3兄弟がうまく力を合わしたり、けんかしたりのドラマになるのかな。

流星の絆流星の絆
東野 圭吾

商品詳細を見る



福井利佐 切り絵作品集『KI RI GA』
2008年03月04日 (火) | 編集 |
080303_福井利佐KIRIGA本


福井利佐 切り絵作品集『KI RI GA』がアマゾンより到着。

ものすごく緻密な切り絵を創る作家さんです。
『ぞっとするほど美しい。彼女の世界は他にない』中島美嘉 とあります。

彼女の切り絵に、
ぞくっとし、
その妖しの世界に、
ひき込まれていくような感覚になるのは、
描く曲線の美しさだと思う。

切り絵の表現は線だから、
あいまいな色やグラデーションは存在できない。
モノから大事な線を拾って
再現していくことになると思うんだけど、
その時、彼女には、
モノの持つ流れがよく見えてるような気がする。
描いてある髪の流れを見ても、
上にくる線、下にくる線、
流れと重なり具合が、すごく心地よい。

彼女のモノの本質を見ようとしてる姿勢に
美しさがありますね。

私は、モノを見ていないなぁと思ってしまいます。


3月14日~4月13日、
東京・浅草のギャラリー・エフで、個展『KI RI GA』が開催されるそうです。


“リアリティを追及してゆく美”・・・福井利佐
静岡県出身。切り絵作家として幅広く活動。
受賞歴として1999年、JACA日本ビジュアルアート展特別賞を受賞(海外巡回)。
切り絵という作風ながら、描写のきめ細やかさが話題になり、話題沸騰。プロダクトとして初の試みだったReebokとのコラボレーションスニーカーや、中島美嘉のジャケット、ステージ装飾、東京コレクシェン参加ブランドとのコラボレーション、オリジナル映像制作、広告、ポスター等、型にとらわれない活動フィールドは新たな切り絵業界の継承者との呼び声も高い。