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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
おくりびと
2008年10月01日 (水) | 編集 |
祝!第81回アカデミー賞外国語映画賞受賞!

おくりびと

劇場は、ご高齢の方、多かったです。その年代の方となると、それぞれに誰かを、おくられてきてるわけだろうと思いますから、シーンを見て、その時のことを思いだされるんやろなぁと思います。
“納棺師”という職業にスポットを当てたアイデアも良いですし、日本固有の“納棺の儀”を描くことにより、日本人の死に対する考え方、日本人の心というものを世界にアピールすることが出来たことでも大きな評価をあげてもいい映画と思います。

納棺師を演じる本木雅弘の所作が、たいへん美しい。
静寂の中、シュという衣ずれの音、添えられる手つきの優しさ、ご遺体へ向けられるまなざし、
亡くなられた方が最後に出会う方、いや最初に出会う方と言った方がいいのか、言葉をかわすことのない所作でのやりとりの中、厳かに伝わってくるものがありますね。
この所作が絵的で美しいので、これをもっと観せてくれてもいいんですが、映画は、笑いあり、食事シーンもふんだんに盛り込まれ、生きるということも描かれていきます。

脚本的に極端な部分があって、大悟の仕事を、妻・美香が、穢らわしいと言ったり、同級生は、近寄ったらいけないもののように扱いますが、今は、あまりそういった意識はないですよね。お清めの塩なんてのもなくなってきてるし。ちょっとオーバー気味かな。もっとも違和感があったのが、風呂屋のおばちゃんの納棺に、大悟の妻も立ちあう事ですね。これは親しい人だけで行いたいものなので、見知らぬ他人である納棺師の妻が参列するのは私だったらいやだなぁ。ストーリーの流れ上、必要なんですけど、大悟の妻は、かたすみにいるぐらいにして欲しかった。

あと、山田辰夫演じる男の妻が亡くなった際の納棺の部分は、たいへんよかったですね。大悟が亡くなれた奥様にお化粧をするため、使っておられた口紅のことをたずねます。主人は、えっ、と、当然わからずうろたえてしまいます。娘さんが持ってくるのですが、そのあと、おそらく彼は、口紅をつけた妻の顔を改めてまじまじと見つめることになったのであろうな、と思います。一番きれいな顏でした。と礼を述べるところは、なかなかいいエピソードになってました。

あまり堅苦しくなく観れる雰囲気にしてますけど、
納棺の所作の美しさが、全編をキリッと、まとめてる感じです。
誇りある仕事として描かれるのも好感度大です。


↓このページが、この映画について参考になると思います。後半が面白いです。
死を想う http://www.1101.com/okuribito/2008-11-25.html

おくりびと Departures 2008年【日】
アカデミー賞外国語映画賞・モントリオール世界映画祭グランプリ
ドラマ
監督:滝田洋二郎 『壬生義士伝』『陰陽師』
音楽:久石譲 「おくりびと」
出演:本木雅弘(小林大悟)/広末涼子(小林美香)/山崎努(佐々木生栄)/余貴美子(上村百合子)
私の感想:★★★★★
おくりびと [DVD]
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