2009年05月08日 (金) | 編集 |

ある偉大な音楽家が、演奏する時瞳を閉じていた
音楽に耳を澄ませるためさ
見えなくても音や言葉を聞いてればわかる
からだ全体で感じる
五感をいっぱいに使うんだ
イタリア映画界の第一線で活躍するサウンド・デザイナー、ミルコ・メンカッチの実体験を基に描くストーリー。不慮の事故で失明し心を閉ざしてしまったミルコ少年は、一台のテープレコーダーとの出会いにより新しい世界への扉を開いていく。

青は、自転車に乗っている時、顔に当たる風の色。
盲学校にはいったミルコが、
色ってどんなもの?と訊ねる友人に、色を教えてあげます。
すごく素敵な感性を持っていますよね。
ミルコの溢れ出る感性は、おさまることはなく、テープレコーダーに音を集め、その音を編集し、ドラマを作り始めます。まわりの子供もどんどん感化され始めます。健常者であるガールフレンドや先生もミルコ少年の作る音に、感性で応え動かされていきます。音は、体で受け止めるもの。
当時、目の不自由な子は、普通学校に通えず、盲学校で職業訓練の勉強し、限られた職業につくことしかできなかったのですが、それすらも変えるような大きな力になっていきました。
ミルコ少年たち、目の不自由な子たちが、こっそり寮を抜け出して、映画館に行くところが素敵なんですよね。もちろんスクリーンは見えてないんですけど、みんなで行って感じる映画館が、すごく楽しそうなんです。
ミルコの歩みを観せ、感動を運ぶ目的の映画ではないです。
一応、映画なので画面はついてますが、ミルコのように、体で感じ、イマジネーションを膨らませる素晴らしさを体感してほしい、というような作品のつくりだと思います。
ミルコのひかり Rosso Come Il Cielo 2005年【伊】100分
監督/脚本/製作:クリスティアーノ・ボルトーネ
感想:★★★★☆
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音の魔術師ミルコ・メンカッチ
この映画の主人公のモデルとなったミルコ・メンカッチは、1961年イタリア、トスカーナ州ポンテデーラ生まれ。楽器をたしなむ父や叔父の影響で幼い頃から音楽に親しみ、ラジオドラマのファンでもあった。8歳のときに事故によって視力を失い、ジェノヴァの全寮制学校に転校。夜になると自分の体内の音が聞こえてくるほど静かなトスカーナから、喧噪にあふれた都会に移り、盲学校で5年間を過ごす。その後、音に対する抜きん出た才能を活かし、イタリア映画界の第一線で活躍する音楽家、サウンド・デザイナーとなる。トスカーナにレコーディング・スタジオを、ローマに音響編集スタジオであるSAM社を設立。本作品の音響編集もこのスタジオでなされた。ボルトーネ監督の一連の作品はもちろん、イタリアを代表する映画のサウンドデザインを手がける。
主な作品に、日本でもロングラン大ヒットの記憶が新しいマルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督の『輝ける青春』(03)、フェルザン・オズペテク監督の『無邪気な妖精たち』(01)、『向かいの窓』(03)、ミケランジェロ・アントニオーニ監督による短編ドキュメンタリー”Michelangelo Eye to Eye”(04)など。
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