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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
ブロークン
2009年06月03日 (水) | 編集 |
鏡の中の世界は、もう一人の見知らぬ<自分>を映し出す…

人のぬくもりを感じさない部屋に、一人ではいっていくと、
急に物音がして、ドキッー。( ̄□ ̄;)!! はぁ~、びっくりした。
なんか、恐かったわー。すごく不安な気持ちにさせるサイコスリラー。

ブロークン_メイン1

父の家で、家族や恋人とともに父の誕生日を祝っていたロンドンのX線技師ジーナ(レナ・ヘディ)。すると、大鏡が突然激しく割れ落ち、その場にいたジーナら5人は「鏡が割れると7年間不幸が続く」という迷信を笑いながら口にする事態となる。翌日、ジーナは自分と同じ車を運転する自分の姿を見かけ、その後をつけるが……。

監督は、ファッション・フォトグラファーとして活躍するショーン・エリス。主演は「300」「ターミネーター・サラ・コナー・クロニクルズ」のレナ・ヘディです。どんな映像なんだろう?という興味で観てみました。

地下鉄の改札口、エスカレターの手すり等、すごい機械的で冷たい写真の連続のような場面から始まっていく。風景をアップで切り撮っていくフォトグラファーらしい映像ですねー。
部屋の中も、無機質なものが測ったように、そこに置かれているので、不自然な居心地の悪さを感じられる。人間の暖かさを拒絶したようなイメージを受けます。

映像が、わざとらしすぎて気持ち悪いと思いながら観てると、不可解な展開になってきて、いやおうなく画面に釘付けになってしまいます。静かな画面に集中し出すと、音で、ドキッと驚かせてくるので、めっちゃ恐い。油断できないぞ。
じーっと人物の後ろ姿を撮ってるところは、すごい不気味です。レナ・へディのお風呂場のシーンは、かなり不安をかきたてられる恐い撮り方してあります。
彼女の落ち着いた美しさが、この映画によく合ってました。

ブロークン THE BROKEN THE BRφKEN 2008/英・仏 88分
監督/脚本:ショーン・エリス
出演:レナ・ヘディ(ジーナ)/リチャード・ジェンキンス(ジーナの父)/ミシェル・ダンカン(ケイト)/メルヴィル・プポー(ステファン)/アシエル・ニューマン(ダニエル)
★★★☆☆
ブロークン [DVD]

(↓以下は、ネタばれですので、未見の方は、DVDを観た後、ご覧ください)

繰り返し観れるのが、DVD鑑賞のいいところです。
この作品は、絵解きパズルも楽しめるので、2度目はその点を楽しんで観ました。

ブロークン_POSTER

・公衆電話や、ダイヤル式電話、針のエレベータ表示など、これは、過去の映像が混じっている意味かな。時間の違う映像で、ランダムに構成されている。

・最初のパーティシーンは過去だと思う。父は、停年後、大使館関係の仕事に移ると言っており、その後、米国旗がはためくビルで仕事をしている。

ブロークン_鏡拭く
・右から左に鏡を拭く彼女、鏡の向こう側に、左から右に拭く彼女が居る。ぼぉーとした存在のもうひとりの彼女が、はっきり現れてきたイメージ映像ですね。

ブロークン_衝突
・何度も挿入される緑と赤の車の衝突シーンは、自分自身とぶつかったイメージ。これとは別に、赤の車のみで、エアバッグが開くシーンがある。事故の映像は、二種類あることがわかる。

・彼女と父が写ってる写真は、彼女が殺害された時に吹っ飛んでるので、その時に破損したのかな?この写真も記憶の混乱を表す重要アイテムでしたね。

・最後、彼女が見つめてるレントゲンは、彼女自身のもの。自分を確認してるんだけど、振り返った時の彼女の表情が悲しい。

ジーナは、もうひとりの自分に、すでに殺されていたわけですね。鏡の中の彼女が、事故を起こし、元の彼女が持つ記憶や夢を見てしまう物語でありましょう。
一応、絵解きをしてみましたけど、正解はないと思います。
フォトグラファー自身の撮るものも虚構であり現実でもありますからね。

でも、鏡に映る自分自身を壊すところを、想像すると恐いですね。
鏡に映るいやな自分を見るのも恐い。鏡が現実だと考えると自分が虚構なのか。わけがわからなくなる。SFとかホラーで割り切れない恐さがある。

ブロークン_割れた鏡

お前は勝ったのだ 私は降参する
だがこれより先は お前も死んだ
この世に対し天国に対し 希望に対し死んだのだ

私の中にお前は生きていた

私の死でお前がいかに 自分を殺したかを見ろ
お前自身のものである この姿で見るがいい

エドガー・アラン・ポー『ウィリアム・ウィルソン』より

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