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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
愛を読むひと『朗読者/The Reader』
2009年06月28日 (日) | 編集 |
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1958年のドイツ、ベルリン。15歳のマイケルは21歳年上のハンナとの初めての情事にのめり込む。ハンナの部屋に足繁く通い、請われるままに始めた本の朗読によって、2人の時間はいっそう濃密なものになるが、ある日、ハンナは忽然と姿を消す。
1966年、大学で法律を学ぶマイケルは傍聴した法廷の被告席にハンナを見つける。裁判に通ううちに彼女が必死に隠し通してきた秘密にようやく気づき、衝撃を受けるのだった。(goo映画より)


(この作品は、ネタばれを含んで書きますので、未見の方はご注意ください。)

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どちらかいうと、原作『朗読者』と合わせてさらに深く味わえる作品だと思います。絵的で、作品に働きかければ働きかけるほど、イメージがどんどん膨らんで、感想も変化していく物語ですね。
人それぞれに感想を持つ作品なので、思ったことを書くことにします。
ケイト・ウィンスレットを観て、あ~あなたがハンナさんでしたかって感じで、まさにピッタリだと思う。むずかしい役で、感情や心情を観客に伝えるような演技でなく、あくまでも察してもらう形にしないとだめなんです。目に力をいれた訴える顔ではなく、あいまいに感じさせる表情の作り方が、うまかったと思う。自分なりに、イメージはできてるんだろうなという感じで、彼女が理解しているハンナ像はたいへん良かったです。
ケイト・ウィンスレットの表情に、じっ~と注目して観てました。

1 青い空、夏の日
裸ばっかり出てきますね。ハンナを表現するには、裸がふさわしい。着飾ったりしない性格で、生真面目で率直な女性がハンナなんだと思います。この二人の年齢差は、戦争を体験してる世代と戦争を知らない世代の設定でもある。
マイケルは、無愛想な家庭より彼女の家にいる方が楽しかっただろう。ハンナは、マイケルのことが好きだと思うけど、どうせ自分は不幸、のような捨て鉢的な面はある。お互いに理解はないが、いっしょにいることが楽しかった夏の日なんでしょうね。
服装的にも、彼女の性格、心情はよく表現されていて、制服は、内面を隠そうとする姿だし、青空の広がる旅行シーンは、彼女の喜びを表現してると思う。聖歌隊の歌に涙したんだろうか、ここも素敵な場面だ。彼女の脆さでもあるんだろうなぁ。

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2 収容所
マイケルが、収容所跡に行き、なんとか彼女を理解しようと努めるところがいいですね。ハンナという存在が、彼の人生に大きな意味を持ってきます。理解しようとしても、当時に生きてない彼には、彼女を理解できない悔しさがある。
今、行われている裁判は、戦犯を誰かに決めて過去をしまってしまおうとするもので、弁解をしないで正直に話す彼女が重い罪を受けてしまいます。反感を買うかのように制服を着て出廷する彼女も悲しいです。
彼女の意志を尊重した彼は、彼女とともに罪をも引き受けような人生を歩み始めます。

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3 朗読者
マイケルはハンナを忘れたことはなかった。しかし、じっとしているということは、ナチという漠然としたものとして彼女をも、ひとくくりにし閉じ込めることと同じになってしまう。彼のできることは彼女のために再び朗読をすることだった。彼女に向かうことで、静かだったマイケルが息を吹き返したかのように、朗読シーンは、激しく映し出される。
彼女は、マイケルの朗読により、すごく変わっていくことになる。彼女にとって、今まで図形にすぎなかった文字を読み、学んでいく。ハンナは、マイケルに自分を理解してもらいたくなったんだと思う。原作には、彼女が文字を読めるようになり、最初に読んだ本が収容所の書物であるということが書かれている。文字を学ぶことは、彼女の苦しみにもなっていったと思います。

ハンナは面会で、
戦争も含め彼女を理解しようと苦しみ続けたマイケルの心を知る。
あの頃以上に彼を深く愛していた彼女は、
坊やの気持ちの彼でいて欲しかったし、接して欲しかったのでは、と思う。
彼女は、文字の書かれた書物を踏み台にし命を絶つ。
そして、彼への記述を残していない。缶にも文字は書かれてなかったような。
わかりにくいんだけど、
マイケルの知るハンナとして自殺したんだろうか。
彼女らしい最後であるけど、
このようにしか生きれなかったハンナの姿が、哀しすぎる。

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映画の解釈は、ハンナはマイケルの心を解放するために自殺したというところなのかな。マイケル自身が一歩を踏み始めだしたようなとところで終わりです。

◎原作は、あまりにもハンナの気持ちがわかりにくすぎて、最終的に、読者である私自身が、傍観者的な思いに突き放されて、読み終えることになる。しみじみとタイトルの深さがわかる。

◎パンフレットは、きれいに作られてました。最後の方の数ページは、写真と飾りの英文で構成されています。英語のわからない私には、英文が、ただの図形&飾りに見えてしまい、ちょっぴり、ハンナの気持ちになってしまいます。

◎日本タイトルの『愛を読むひと』は変ですね。予告に平井堅のイメージソングをつけるのは、ひどいわ。この作品につけようと思う神経を疑うし、愛の映画と言えば平井堅という発想が単純すぎ。

●画像とまとめのページもありますので、よろしければどうぞ。→クリック

愛を読むひと THE READER 2009年/アメリカ
監督:スティーヴン・ダルドリー
ケイト・ウィンスレット(ハンナ)/レイフ・ファインズ(マイケル)/デヴィッド・クロス(若き日のマイケル)/
/ブルーノ・ガンツ(ロール教授)/レナ・オリン(イラナ・メイザー、ローズ・メイザー)/アレクサンドラ・マリア・ララ(若き日のイラーナ・メイザー)
★★★★☆
◎原作:朗読者 (新潮文庫)
愛を読むひと (完全無修正版) 〔初回限定:美麗スリーブケース付〕 [DVD]
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