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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
青髭
2010年02月09日 (火) | 編集 |
その小部屋にだけは、決して入ってはいけない

世界中で絵本化・戯曲化もされているペロー童話「青髭」を、
耽美描写の名手カトリーヌ・ブレイヤが独自の解釈で映像化。

青髭1

まず、ペロー童話を、ご紹介。
ものがたり:ある金持ちの男は、青い髭を生やしたその風貌から「青髭」と呼ばれ、恐れられていました。青髭はある美人姉妹に求婚し、その妹と結婚することになりました。あるとき青髭は、新妻に鍵束を渡し「どこにでも入っていいが、この鍵束の中で“小部屋”にだけは絶対に入ってはいけない」と言いつけて外出してゆきます。しかし、新妻は好奇心から夫の言いつけを守らず、入ってはいけない小部屋の扉を開いてしまうのでした……


青髭2

今回、映画化されたものは、ある二人の姉妹が、物置部屋に、こっそりと忍び込み、そこで読む本が「青髭」ということになってました。おしゃま妹が、いやがる姉に読んで聞かせるというのが変わってて、この姉妹のイメージが、読む「青髭」の中に反映されていきます。

なかなか、最初から面白い。私立学校で寄宿生活を送っていた姉妹が、突然、院長先生に呼び出されます。父親の死を告げられるとともに、お金のない子には用はないとばかりに、即刻、追い出されます。残されたのは借金だけ。家から、家財道具も、全部、借金取りに持っていかれてしまいます。生活に困った母娘のもとに、青髭からの招待がくるというわけです。

急展開で始まり、そのあとも童話を読むように、トントンとテンポ良く進むのが、気持ちいいですね。じっくり描写されたりしないので、その分、自分で、行間の話を膨らまし、話の世界に、入っていくという感覚があります。
古い古城で、地味~にロケされてて、初めて、妹がお城に入る時、塔に上がる暗いらせん階段を上がっていくのが、奇妙な感じですね。使用人はどこにいるの、青髭ってほんとに裕福なの、リアル感のなさが不思議で、それがかえって味がありましたね。

青髭は、富はあるけど、みんなから嫌われている孤独な人。夢想家のような、打算的なような、つかみどころのない奥さんになった妹。彼女を、冷たく見守りつつ、好きにさせてあげてるという感じでしたね。本を読む姉妹に異変が起こるのとダブり、青髭の物語も、最後を迎えます。
妹は、お城も手にいれたんだけど、今度、自分が青髭という孤独な存在になってしまった、というブラックな世界かなと感じました。

青髭 LA BARBE BLEUE 2009年【仏】80分劇場未公開
監督・脚本:カトリーヌ・ブレイヤ
原作:シャルル・ペロー『青ひげ』
出演:ドミニク・トーマス/ローラ・クレトン/ダフネ・ベヴィール
★★★☆☆(3.5)
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青髭3
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