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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
本:悪人 吉田修一
2010年09月10日 (金) | 編集 |
早く嘘を殺さないと、真実のほうが殺されそうで恐かった。

悪人_文庫
悪人(上) (朝日文庫) 悪人(下) (朝日文庫)

あらすじ;福岡市内に暮らす保険外交員の石橋佳乃が、携帯サイトで知り合った金髪の土木作業員に殺害された。二人が本当に会いたかった相手は誰だったのか?佐賀市内に双子の妹と暮らす馬込光代もまた、何もない平凡な生活から逃れるため、出会い系サイトへアクセスする。そこで運命の相手と確信できる男に出会えた光代だったが、彼は殺人を犯していた。彼女は自首しようとする男を止め、一緒にいたいと強く願う。光代を駆り立てるものは何か?その一方で、被害者と加害者に向けられた悪意と戦う家族たちがいた。誰がいったい悪人なのか?事件の果てに明かされる殺意の奥にあるものは?

たいへん、たくさんの登場人物で構成されてます。
地方の街。孤独な叫びを感じる物語。
読み終わって、悪人とは誰か?というより、
悪とは、いったい、なんなんだろう、という思いがめぐりました。

イメージとしては、表紙のイラストにも描かれてるように、
やっぱり灯台かなー。
ぐるりぐるりとめぐってくる灯台の光に、
パッと照らされた瞬間だけ、その登場人物の感情があらわになる感じ。
光がいってしまうと、またたくまに、消えていってしまう。
寂しさが漂う。

つかのまの光が去ってしまったあとの孤独感。
光代は、もう、この状態に耐えきれず、
祐一ともに逃避行にはいってしまうのかと思います。

そんな、光代の気持ちが痛いほどわかった祐一は、
真実を殺し、嘘を生かすんだと思う。
一人だった彼が、自分のためでなく、相手のためにつく嘘。

どっちも被害者になれんたい、という祐一の言葉が悲しい。
数々、出てくるセリフを思い返しながら、
つながってくる人の気持ちを、想像すると、痛々しいですね。


悪人ニュース写真
李相日監督、深津絵里、妻夫木聡

映画の脚本は、李相日監督と原作者吉田修一の共同執筆。
原作のイメージは損なわず、また違う形での『悪人』を観れると思うので、
期待してます。映画『悪人』は、いよいよ、9月11日より。

吉田修一『悪人』公式サイト
映画『悪人』公式サイト
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