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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
ラスト・ソルジャー
2010年11月30日 (火) | 編集 |
ジャッキー・チェーン史上、No.1ヒット(中国公開の主演作中最高興収)を記録。
彼は、パフォーマーであり、エンターテイナーなのだ。

ラスト・ソルジャー写真1

紀元前227年、戦国時代の中国。ある時、衛(えい)の軍が梁(りょう)に攻め入ったが、鳳凰山で梁の待ち伏せに遭い、激しい死闘の末、両軍共に全滅した――かに思われた。死んだふりをして生き残った梁の兵士は、衛の将軍を捕虜として捕まえることに成功する。彼を捕虜として、兵士は自国へ連れ帰ることを決意する。捕虜を連れ帰れば畑と金を報酬としてもらえるのだ。それが、名もなき兵士と敵国の将軍との、奇妙な旅の始まりだった―。

ジャッキー・チェンが構想に20年を費やし、原案、主演、製作、武術指導を務めた。レッドクリフみたいな雰囲気で始まるが、内容は、たいへん、こじんまりしている。無名兵士と敵将軍の珍道中です。

将軍は、さあ殺せ、というけど、兵士にとっては、死なれては困る捕虜なのだ。敵将軍を連れ帰り、ささやかなお金と土地のご褒美をあやかり、つつましく暮らしたいのだ。立場のまったく違う男のやりとり、追っ手との闘いを、肉体パフォーマンスで、おもしろおかしく魅せていく。

ジャッキー・チェンの身体を使った表現が、パントマイムと言えばいいのか、円熟した芸域まで、達してきてる感じがありますね。長年、培ってきた、動きの演技を観て、すごく感心しました。この、やりとりを映像として、どう魅せるか、指導もすべて、彼が、行っているみたいで、アイデアも面白いですね。
中国ロケなので、風景は、壮大ですよ。ジャッキー・チェン自身のユーモアと、表現意欲に、あふれた作品だと思います。

ラスト・ソルジャー 大兵小将/Little Big Soldier 2010年【中国/香港】95分
監督・脚本: ディン・シェン
出演:ジャッキー・チェン/ワン・リーホン
★★★☆☆(3.5)
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雷桜
2010年11月29日 (月) | 編集 |
おまえは、おまえじゃ。里の者は、悩んでばかりおる。

雷桜1

宇江佐真理の同名時代小説を岡田将生&蒼井優のダブル主演で映画化。徳川将軍家に生まれながらも心に闇を抱えた青年と、人里離れた山奥で20年間過ごした野生的な女性との恋模様をつづる。繊細な心理描写を得意とする廣木隆一がメガホンを握る。

身分の違う男女のラブストーリーと、いかにもな形で宣伝してるのが、いかんなぁ。観ると、おっ、こんな良い話だったんだ、という感じの作品です。藩の争いによって運命を狂わされ、山奥で育てられたたナチュラル少女・雷(らい)の物語。これに、恋を絡めて描かれます。

ある日のこと。
銀杏の樹に、雷が落ち、轟音とともに、まっぷたつに裂けました。
そこに、不思議なことに、桜が芽をつけましたとさ。
いつしか、その大樹を、村人は「雷桜」と呼ぶようになったそうな。

伝説のような雰囲気のある映画なんですよ。
この大樹を象徴に、全体的に、美しい映像で語られるのが良かったですね。
雷桜の化身かのような蒼井優のピュアさが、この作品のすべてです。
里の者は、世の定めじゃというけど、彼女には、わからない。
初めて知る恋の感情。とまどい、苦しみ、疑問を投げかける雷の姿が、たいへん切ないです。そして、自分の心のままに従って生きようとする彼女が、すがすがしくも感じる。この映画は、蒼井優の表情あればこそ、といっても過言じゃないでしょう。

残念なのは、終盤。チャンバラや切腹が出てきて、ファンタジックな世界から、目を覚まされてしまって、興醒め。終盤からエピローグに向かって、説明くさくなっていってしまいました。

※沖縄ロケだそうです。主演二人の乗馬シーンは、さわやかでした。

雷桜 2010年【日】133分
監督:廣木隆一 脚本:田中幸子/加藤正人 原作:宇江佐真理 雷桜 (角川文庫)
出演:蒼井優(雷)、岡田将生(斉道)、小出恵介、柄本明、時任三郎
★★★☆☆(3.0)
雷桜3

アメリア 永遠の翼
2010年11月28日 (日) | 編集 |
私は、女リンドバーグじゃない、
空を飛ぶことが大好きだった一人の女性、アメリア・イヤハートなの。

アメリア永遠の翼Photo1

女性初の飛行機での大西洋横断に成功した、伝説の飛行士アメリア・イヤハートの成功と苦悩の日々を映画化した人間ドラマ。アメリカ人女性として時代のアイコンとなったアメリアを、アカデミー賞主演女優賞を2度も受賞したヒラリー・スワンクが演じる。アメリアを支える夫にリチャード・ギア、アメリアの友人のパイロットとしてユアン・マクレガーが共演。

ヒラリー・スワンクが製作総指揮も兼ね、力を入れた作品みたいなんですが……
ものすごく単調。淡々とした伝記本を読んでるような印象だ。

米国では、アメリアは“史上最も有名なアメリカ人10人”に入るほどの人物だそうです。
アメリアが、飛行記録に挑戦していた1920年代末から30年代は、大恐慌、第二次世界大戦目前の激動期。1920年の婦人参政権確立を機に、女性の社会的地位がめざましく向上した時代でもあった。次々と記録を打ち立てるアメリアは、女性の社会進出を象徴する人物となった。

祭り上げられ、団体や政治にも利用されたであろうアメリア。彼女の偉業を華々しく称えるような映画には、したくなかったんだと思います。それは、わかるけど、この描き方では、彼女の内面的な苦悩、パートナーとのつながりは、伝わりにくい。
彼女の果てしなく広がる大空への思い、ここだけでも、もっと爽快に描いて欲しかったですね。ヒラリー・スワンクも、ちょっと、暗いだけの印象になってしまった。

アメリア 永遠の翼 AMELIA 2009年【米】111分(パンフ600円)
製作総指揮: ロン・バス/ヒラリー・スワンク 監督: ミーラー・ナーイル
出演:ヒラリー・スワンク、リチャード・ギア、ユアン・マクレガー
★★★☆☆(3.0)

◎関連記事→
ミーラー・ナーイル監督『その名にちなんで
ヒラリー・スワンク主演『11:14』『ヒラリー・スワンク IN レッド・ダスト

パラノーマル・アクティビティ 第2章/TOKYO NIGHT
2010年11月27日 (土) | 編集 |
やっぱり、日本のホラーは、ぞわぁ~とします。(・∀・)

パラノーマル・アクティビティ第2章/TOKYO NIGHT_PHOTO

アメリカ旅行で、両足を骨折し戻って来た春花は、弟の幸一と父親の3人暮らし。
ある朝、春花が目覚めると、部屋の車椅子が移動していることに気づく……


続編と称してるが、内容は、ほぼリメイク。さすが、日本ホラー、霊感のあるお友達、悪霊払いと、じわじわと恐さをあおってくる。アメリカからひっついて来るなんて恐いやん。が、悲しいかな、しょせんは、パクリ。同じようなものを二度、観せられるのは、ちょっと苦痛だ。

オリジナルの持つ素人の荒さっぽさも、大事な要素ですね。日本版は、プロの手による、手慣れたアレンジという印象も受けてしまった。米版『パラノーマル・アクティビティ2』の予告も出てたが、日本版も含め、3回目となると、観るのは、つらそうです。

パラノーマル・アクティビティ 第2章/TOKYO NIGHT 2010年【日】
監督・脚本:長江俊和 出演:青山倫子(姉・春花)、中村蒼(弟・幸一)
★★☆☆☆

◎関連記事→『パラノーマル・アクティビティ

ゴースト もういちど抱きしめたい
2010年11月26日 (金) | 編集 |
年商150億の企業を経営する星野七海が、
ある夜、陶芸家を目指す韓国人青年キム・ジュノと、運命の出会いをする。


観る気はなかったんですけど、1か月フリーパスポートで、観てみました(^-^)

伝えたくとも伝えられない。あ~、もどかしい。
運命の恋も、キラキラと輝く女性社長のサクセスストーリーかのよう。観てるこっちが、恥ずかし~くなるような場面が連発。思うように願いをかなえてきた彼女が突然、無力なゴーストに。いまや、愛しい人に、この想いすら伝えられない。彼女のジレンマ。ストーリーは、面白く組み立てられてる。
けど、
全体的に、観た感じ、笑うに笑えない、泣くに泣けない、むずがゆいテイストなんですよね。観てて、どういうスタンスで観たらいいのか、すごくとまどった。笑いどころで、ひと押ししてくれないし、格闘サスペンスもぐだぐだしてるだけ。なぁんにも考えずに、出演者を集め、ただカメラを回して、作ったという感じがします。笑いどころで、ひと押ししてくれないし、ぐだぐだした格闘サスペンスも要らない。
おかげで、切なく盛り上がることなく、終わったもん。

結果的に、この物語の面白さを、引き出したのは、俳優さんのうまさでしょう。松嶋菜々子や樹木希林が、この脚本を、面白く解釈し、意志を持って演じてくれたのが、幸いしたと思います。特に、樹木希林、このかたは、やっぱり、うまいね。

ゴースト もういちど抱きしめたい 2010年【日】116分
監督:大谷太郎
脚本:佐藤嗣麻子『K-20 怪人二十面相・伝』、中園ミホ『やまとなでしこ』
出演:松嶋菜々子、ソン・スンホン、樹木希林、鈴木砂羽、橋本さとし、芦田愛菜
★☆☆☆☆ 
有名作品『ゴースト ニューヨークの幻』で、手軽に儲けようという企みで、熱意のかけらもない。名作リメイクの看板が欲しいだけだ。

レオニー
2010年11月25日 (木) | 編集 |
100年前、ひとりで日本の地を踏み、天才を育てた女性がいた。その名はレオニー。

レオニーPoster

世界的に有名な芸術家イサム・ノグチの母、レオニー・ギルモアの物語。20世紀初頭のニューヨーク。これからは女性も仕事を持って生きる時代と、文学の道に進む夢を持ち、希望に満ちた人生が待っていたはずだったレオニー。しかし、一人の日本人青年との出会いによって彼女の人生は波乱に満ちたものとなっていく。レオニーは男を愛し妊るが、男は一方的に日本へ帰国してしまう。シングルマザーとなった彼女は、子供とともにアメリカと日本の二つの国で、困難な時代を生き抜いていく。

レオニーPhoto1

彫刻を彫っていくシーンが、ふいに挿入される。完成まで7年、魂まで彫り込んだ、松井久子監督の芸術作品かのようです。監督さんの熱い思いが、伝わってきます。各パートごとの完成に力を注ぎこんだ感じで、ぶつぎりのような印象があるが、映し出される美術、風景は、たいへん美しいです。

地味な雰囲気のエミリー・モーティマーが、レオ二ーにぴったり。
とまどう表情の中に、芯の強さを感じさせる。
エミリー・モーティマーのインタビューがありましたので、引用しておきます。
あなたにとってレオ二ーとはどんな女性?
レオ二ーはすべての女性やすべての人間のように、いろんな女を持っているわ。知的で、親切で、愛情深く、芸術的な人で、同時に、気難しく、腹立たしくもあり、信念を持っていて、冷酷で、何百万もの感情が入り乱れた人間だわ。
私が、この映画とこのキャラクターを好きなところは、監督が、レオ二ーのキャラクターに様々な表情を与えたところね。人生で私たちは何百万もの別の顔を持っているものだし、監督のキャラクターの描き方は真実だわ。


レオニーPhoto2

レオ二ーは、近頃、よく描かれる自立した女性像ではない。
自分の心に、正直だった人。
それは、人から見れば、時には、なまいきに映るんだと思う。
かなり浮いてる存在でしょうね。
でも、米国でも、日本でも、
母子ともに、差別、排斥され、相当のいやな思いはしてるはずですから、
強い精神力で、自分を保つしかなかったのかもしれません。

若き頃から、自分の心を表現したいと考えていて、それを模索し続けたのかな。
日本語を学ばないのは、日本語で心を表現しきれないと考えてるからだと思う。
そんな彼女の心を受け継いだのが、イサム・ノグチで、
彼は、芸術という言語を通さない形で、母の心を表現してくれた。
その芸術作品は、それを見て触れて感じた子供たちに、
さらに受け継がれ、広がっていくことになる。
母の想いは、喜びは、つきることがない。壮大なスケールを感じます。

レオニー Leonie 2010年【日】132分(パンフ800円)
製作・監督・脚本:松井久子
原作:ドウス昌代 イサム・ノグチ(上)――宿命の越境者 (講談社文庫)
出演:エミリー・モーティマー/中村獅童/原田美枝子/吉行和子/竹下景子/中村雅俊/柏原崇/大地康雄/メアリー・ケイ・プレイス/クリスティーナ・ヘンドリックス/勅使川原三郎
★★★★☆(4.5)

レオニーPhoto3

17歳の肖像
2010年11月24日 (水) | 編集 |
知識として理解しようとした17歳。

17歳の肖像POSTER

イギリスの女性ジャーナリスト、リン・バーバーの回想録を映画化した本作。主人公のジェニーを演じたのは、撮影当時22歳の女優、キャリー・マリガン。その童顔と透明感のある佇まいで、無邪気な少女から憂いのある女性へ成長していく姿を見事に演じている。ジェニーと恋に落ちるデイヴィッドを演じたのはピーター・サースガード。少女を騙すあやしい男を、どこか一途さもある愛すべき魅力的なキャラクターに仕上げている。“スウィンギング・ロンドン”以前の60年代の閉塞感のあるイギリスがリアルに感じられる、ビターな青春物語だ。

あまり面白くなさそうな雰囲気のポスターで、
なんとなく観たが、予想以上に、面白かった。
図式や数式とかぶる学生生活の場面、素敵なオープニング画面から始まります。

聡明な少女には、退屈すぎた。
言葉や式のように、すべてを、パッパッと理解できると思ってた。
まだ見ぬ憧れのパリ、心に響くサウンド、
流れ込んでくるスピードに、17歳が、追いついてなかったのだ。

そんな彼女の前に、違う日常が、ひょっこり現れた。
違う教科書には、知らないことが、いっぱい。
でも、憧れのメッキは、はがれ落ちるスピードも速い。
彼女は、文字のない教科書を、読んだような気になっていた。
あっけない。あっけなすぎる。

知識、感情、体、ちぐはぐな彼女に、あまりにも苦い体験。

彼女自身の中に、新しい価値を放つ魅力が芽生えていたことに、まだ、気づいてなかった。学ぶことは、すぐ近くに、いっぱい。方程式のように明快でなく、近道も存在してなかったんだ。

17歳の肖像PHOTO1

振り返った時だけ、人には見えます。
肖像は、自分の後ろに、描かれていくみたいだが、
前をみる自分には、見えないですね。
でも17歳は、思い出ではない、この肖像を輝かせるためには、
そのあと、どう生きるか、ということも、大切なことですね。

17歳の肖像という日本語タイトルが、素敵だと思う。原題は、教育という意味らしいが、そんなタイトルじゃ、観る気しない。ジャーナリストらしい原作で、たぶん、活字で読むと、うざそうだが、映像になると、すごく面白いですね。それは、主演キャリー・マリガンが、魅力的だったからのように思えます。幼くも見えるし、大人な感じにも見えてしまう、不思議な雰囲気が、ばっちりでした。共演者の方々も、どっちつかずな雰囲気で、うまかったですね。

17歳の肖像 AN EDUCATION 2009年【英】100分
監督:ロネ・シェルフィグ 脚本・製作総指揮:ニック・ホーンビィ
出演:キャリー・マリガン(ジェニー)/ピーター・サースガード(デイヴィッド)/ドミニク・クーパー(ダニー)/ロザムンド・パイク(ヘレン)/アルフレッド・モリナ(父)/カーラ・セイモア(母)/エマ・トンプソン(校長)/オリヴィア・ウィリアムズ(先生)
★★★★☆(4.0)
2009年サンダンス映画祭観客賞受賞
17歳の肖像 コレクターズ・エディション [DVD]

エアポート2010
2010年11月22日 (月) | 編集 |
飛行機内に、未知のウイルス感染患者が出てしまったら ( ̄□ ̄;)!!
エアポートというより、これは、感染パニックもの、です。

エアポート2010_DVD

ドイツ航空111便。プーケット発ミュンヘン行き。インド洋上空を飛行中、突如容態のすぐれない乗客が続出する。医師のアンネは彼らに応急処置を施すが、容態は変わらず全身から血を流し死亡してしまう。原因は未知のウイルスによるものだと悟ったアンネは、パイロットに緊急着陸を要請するが、ウイルスの拡散を恐れた各国に拒否されてしまう。

ドイツのテレビ映画で、監督さんは、ライナー・マツタニ。日系のかたでしょうか。ドイツ映画界の若手有望株とのことです。
拡散を恐れる政府は、飛行機を軍施設に着陸させ、隔離・検査のための、軍、医療班を送り込みます。ひと昔前の映画ですと、正義感あふれる人物が登場しますけど、時代は、変わりました。そんな奇特な人物、おりません。政府、軍、医療班、乗客、それぞれに、私的理由や感情で行動する人ばっかりです。

エアポート2010_Photo1
主人公の女医さんも変だけど、その旦那も、かなり無茶な人。飛行機を勝手に、離陸させそうと、ひとり奮闘する。それが、もとで、夫婦仲が戻って、めでたしめでたしと、なったりするんですよ。
個人行動が、集まった内容です。わけのわからないパニックが連続して起こり、テンポは、すごく、いいですよ。サクッと楽しめるDVDです。(^▽^)

エアポート2010 2009年【独】92分TVM
FAKTOR 8 - DER TAG IST GEKOMMEN
監督:ライナー・マツタニ
出演:ムリエル・バウマイスター(心理学者)/オリヴァー・モムセン/エミリア・シュール
★★★☆☆(3.0)
エアポート2010 [DVD]

ラスト3デイズ ~すべて彼女のために~
2010年11月20日 (土) | 編集 |
いきなり、奥さんが、逮捕され、投獄。(*○*;) なぜ?
なかなか、すごい作品です。何も知らずに、観てください。

ラスト3デイズ~すべて彼女のために~1

あらすじ:フランスのパリ。国語教師であるジュリアンと出版者に勤めるリザは、一人息子のオスカルとともに平凡ながらも幸せな夫婦生活を送っていた。しかし、ある朝、彼らの人生が一変してしまう。警察が突如として家に押し入り、リザが、殺人容疑で逮捕され、投獄される。やがて、三年の月日が経ち、リザに二十年の禁固刑が宣告されてしまう。無実の罪を必死に主張するリザであったが、状況証拠などから、誰もが彼女の罪を確信していた。夫・ジュリアンを除いては。(公式サイトより)

冒頭の、奥さんの逮捕場面が、恐い。
いきなり、この映画の世界に叩き込まれます。
ある朝、突然、警察が踏み込んできたかと思うと、凶悪犯罪者かのように、いきなり手錠をかけ、逮捕、連行。これは、どういうことだ、と訊く間髪も与えない。幼い子供が、おびえ、泣き叫ぶ。

それから、3年後。子供も、大きくなっている。
面会に行っても、子供は、母の方を見ようともしない。この異様な状況で、母自身、理解できない状況である。どう接したらいいか、とまどっているみたいだ。やがて、憔悴した奥さんは、自殺未遂を起こしてしまう。

それを知り、ジュリアンは、すべてを、投げ打つ行動に、出始める。
何者も、私たちを、踏みにじることはできない、と言いたいかのように。

ラスト3デイズ~すべて彼女のために~4

素人さんが、足を踏み入れていくのは、むずかしいことで、ひとつひとつを積み重ねていくしかない。ある時は、ボッコボッコにされてしまったりする。身体をもって、その覚悟を刻んでいくみたいな。次第に、暗い面持ちになっていくジュリアンの姿に、緊張感があります。

この人、こうしか進めないのか?という暗い世界へ落ちていくのが、ゾクッとする作品ですね。感情を拒否するように冷たく観せていくのが、魅力だ。

すべて彼女のために POUR ELLE 2008年【仏】96分
監督・脚本:フレッド・カヴァイエ
出演:ヴァンサン・ランドン(ジュリアン)/ダイアン・クルーガー(妻リザ)/ランスロ・ロッシュ(息子オスカル)
★★★★☆(4.0)
ラスト3デイズ~すべて彼女のために~ [DVD]

ラスト3デイズ~すべて彼女のために~POSTER
※2010年、日本劇場公開時は『すべて彼女のために』でした。ハリウッドリメイク『The Next Three Days』の影響で、DVDは『ラスト3デイズ』という安っぽいタイトルに、変わっています。こんなことされると借りる時に困るんですよ。
※最近の、ハリウッドリメイクの速度がはやすぎますね。もう、すでに、ハリウッドリメイクは、完成しています。(2010年11月19日全米公開予定) これでは、パクリもんが、先に、日本劇場公開され、オリジナルは公開されない、という事態も、起こりそうです。


ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い
2010年11月18日 (木) | 編集 |
ラスベガスが、そうさせる。

ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔いポスター

2日後に挙式を控えたダグ(ジャスティン・バーサ)は、バチェラーパーティーと呼ばれる結婚前夜祭をラスベガスで過ごすことにする。彼は親友のフィル(ブラッドリー・クーパー)とステュ(エド・ヘルムズ)、婚約者の弟アラン(ザック・ガリフィアナキス)とともに、婚約者の父から借りたベンツでラスベガスに向かう。だが、翌日ホテルで目を覚ますとひどい二日酔いで、花婿になるはずのダグの姿はどこにもなく。

製作費3,500万ドルという予算ながら、2009年6月に公開されるや全米興収2億7,700ドルの大ヒットを記録。米国のコメディ映画史上最大のヒット、ゴールデングローブ賞も受賞しました。日本では、DVDスルーになりかけた作品です。

大爆笑ムービーというタイプじゃなかったね。
あー、もう、いや。
思いっきり、はめをはずして、アホになりたいー!
だって、ここは、ラスベガスなんだもん!
と、
堂々と言い訳したい。
ささやかな庶民の夢。うらやましさを感じる面白さがある。

謎を解いていく、三バカトリオミステリーなのが、興味をひく。
私が私でない、というのは、面白いのだ。

ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い 
THE HANGOVER 2009年【米】100分
監督:トッド・フィリップス 脚本:ジョン・ルーカス/スコット・ムーア
出演:ブラッドリー・クーパー(フィル)/エド・ヘルムズ(ステュ)/ザック・ガリフィナーキス(アラン)/ジャスティン・バーサ(ダグ)/ヘザー・グレアム(ストリッパー・ジェイド)
★★★☆☆(3.5)
ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い Blu-ray & DVDセット
ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔いエンドロール

ラン・ローラ・ラン
2010年11月17日 (水) | 編集 |
走れ、ローラ!愛のために

ラン・ローラ・ラン_Poster

SOSの電話を受けた主人公・ローラが家を飛び出すオープニングから、思いもよらない結末まで、物語がスピーディに展開。主人公達の運命が、フィルムとビデオ、カラーとモノクロ、写真、アニメーション、画面の分割、早送り、コマ落とし等、あらゆる手段を駆使した映像で語られる。

走る、走る、走る、
勢いで運命を変えるかのように。
赤毛のローラの走る姿が、ダイナミックで、カッコいい。
サウンドが、スピーディな画面を盛り上げ、
ローラの赤毛が目に焼き付く。

ラン・ローラ・ラン LOLA RENNT RUN LOLA RUN 1998年【ドイツ】81分
監督・脚本:トム・ティクヴァ「パフューム」「ザ・バンク堕ちた巨像」
音楽:トム・ティクヴァ/ジョニー・クリメック/ラインホルト・ハイル
出演:フランカ・ポテンテ(Lola)/モーリッツ・ブライブトロイ(Manni)
★★★★☆(4.0)1999年サンダンス映画祭ワールドシネマ観客賞受賞
ラン・ローラ・ラン [DVD] 
ラン・ローラ・ラン_Photo

恋する宇宙
2010年11月14日 (日) | 編集 |
サンダンス映画祭や、各国映画祭で絶賛された話題作!
と、いうことで観てみました。

恋する宇宙_TOP
なぜか「17歳の肖像」みたいなパッケージ用写真ъ(`ー゜)
ライバル?「17歳の肖像」も、サンダンス映画祭で、高く評価されてましたね。


あらすじ:一人でいることが好きな天体オタクのアダムは、生まれてからずっと同じ街で誰とも関わることなく暮らしてきた。そんなある日、アパートの上の階に童話作家のベスが引っ越してくる。

恋する宇宙_ローズ・バーンとヒュー・ダンシー
出演は、ローズ・バーン(『ノウイング』)と、ヒュー・ダンシー(『お買いもの中毒な私!』)。ラブコメではなく、切ない恋、そして成長の物語。かなり、まじめな内容です。

アダムは、人とうまく付き合いたいと思ってるが、どうも、うまくいかないみたい。アスペルガー症候群の彼は、相手の考えが、うまく理解できず、一方的に、自分の知識や、好きなことだけを、しゃべってしまう。彼は、相手の言葉を、ストレートに受け取ってしまうので、冗談や社交辞令が通じないんですね。もちろん、恋の駆け引きなんてのも、彼の中には、存在しないんです。

元カレに嘘をつかれてたベスは、
アダムの飾らない態度に、惹かれていく。
けど、素直に言っても、だめな場合があるし。
こりゃ、アダムにかぎらず、
むずかしいですねー (ーー;)

そうなんです。人の気持ちが理解できない、と彼は、悩んでるが。
うーん、人の気持ちなんて、わかりにくいものですよね。
わからないからこそ、
きちんと伝えたり、きちんと向かい合うことが大切。
アダムとベスの姿を観て、あらためて、それに、気づかされる部分があります。

父の裁判のことで落ち込む彼女と同じポーズを取って、
なんとか、彼女の気持ちを理解しようとするアダムのシーンは、いいですね。


なぜ、ベスが、童話作家なのか、最後にわかる。
想像してみる。
首をかしげるアダムの顔が、わかった、という感じで終わるのが、素敵です。

恋する宇宙 ADAM 2009年【米】99分劇場未公開
監督・脚本:マックス・メイヤー
出演:ヒュー・ダンシー(アダム)/ローズ・バーン(ベス)/フランキー・フェイソン(ハーラン)/エイミー・アーヴィング(レベッカ)
★★★☆☆(3.8)
恋する宇宙 [DVD]
恋する宇宙_img1

シェルター
2010年11月13日 (土) | 編集 |
近頃、咳きこんだりしていませんか…… (;`<´)・:∴

SHELTER_POSTER
スウェーデン出身の新鋭マンス・マーリンドとビョルン・ステインが手がけるスーパーナチュラル・スリラー。主演はジュリアン・ムーア、ジョナサン・リース=マイヤーズ。解離性同一性障害、俗に言う多重人格を認めない精神分析医のカーラ。彼女が、解離性同一性障害を患う青年デビッドを診察していると、彼の中からアダムとウェスという全くの別人格が現れる。

ジュリアン・ムーアさん主演は、『フォーガットン』『ブラインドネス』と、かなり、くせのある映画が多いですね。これも、かなり、くせもの。だけど、ハラハラする心理スリラーで、最後まで面白く観れます。

SHELTER_PHOTO1

ジュリアン・ムーア演じる主人公カーラ。
彼女は、精神分析医ではあるが、多重人格は認めていない。
ここがポイントであり、出発点です。
彼女は、ある日、研究所に呼び出され、
ジョナサン・リース=マイヤーズ演じるデビッドという車椅子の患者と面談します。
突然、首が、バキバキとなったかと思うと、別人格アダムが現れ、態度が豹変。
驚いたことに、不自由だった足で立ち上がり、片目には色覚障害も出ていました。

はは~ん。なるほど。
別人格を演じてるってわけね、そんなことで、騙されないわよ。
と、調査を開始。
デヴィッドは、実在の人物であり、
凄惨な事件で、殺された被害者であることが判明してくる。

このあたりから、悪魔の儀式みたいな話が出てきて、
むっ、これは、なんの話?と、雲行きがあやしくなってきます。

SHELTER_PHOTO2

カーラは、多重人格を、実証的、理論的に否定しようとする。
でも、否定するだけの姿勢が、いけなかった。
この多重人格は、そんな甘い考えの出来事ではなかったんですね。
そういう方向とは、まったく違う世界から、
逆襲をくらい、翻弄されていく感じに、展開する。

多重人格という設定が、うまいわけですね。
予想外の顔に、くらいついていこう、という気持ちにさせられる。
人間のレベルでは理解できないものを、
カーラとともに、観てる自分も、体験していってしまいます。

欧米脚本なので、神を信じるか?という言葉が出てくるけど、
これは、自然界への畏れ、みたいに、とらえても、いいような気がします。
目に見えない不可思議なものに対し、
うやまう気持ち、畏敬(いけい)の念を持っているか、
こんな問いかけ、の方が、スッキリする。
日本人の方は、受け入れやすいスリラーじゃないでしょうか。

村のおばあさんも、牧師さんも、人間側の都合だけ。勝手な奴らということやね。
足を踏み入れてしまったカーラと、
その家族は、とりかえしのつかない目にあってしまったのでした。

シェルター Shelter 2009年【米】112分
監督:マンス・モーリンド、ビョルン・ステイン 脚本:マイケル・クーニー
出演:ジュリアン・ムーア、ジョナサン・リース=マイヤーズ
★★★☆☆(3.5)時代は、スーパーナチュラルへ。
シェルター [DVD]

横山秀夫サスペンス VOL.1 WOWOWドラマ
2010年11月10日 (水) | 編集 |
期待どおり! WOWOWの横山秀夫作品は、面白い。(^▽^)/

横山秀夫サスペンスVOL.1

4人の男、4つの謎。
短編集「真相」「看守眼」から選りすぐった4本を映像化している第1巻。

1人目の男は、地元村長選候補者《仲村トオル》
男には、当選しなければならない理由があった…………「18番ホール」
2人目の男は、地方新聞社整理部《岸谷五朗》
男は、そのミスを隠し通すと決めた…………「誤報」(小説名「静かな家」)

この原作は読んでませんが、WOWOWドラマは、脚本と演出が、こなれてますね。登場人物の気持ちが浮きぼりになってくる様は、まさに、横山秀夫作品という感じです。

第1話目は、村民のことなんて、これっぽっちも考えず、私的理由だけで、立候補した人が主人公。楽勝と思ってた選挙戦が、苦戦の状況になってきて、周囲に、あたりまくり。自分の都合で、出馬して、自分勝手に、自爆していく。

第2話目は、新聞社が舞台なのが、面白かった。社内の雰囲気や、人物のいがみあい、そこに殺人事件が絡むという展開が、スリリングでした。自分の失敗を、なんとか、会社にばれないように、隠そうとする話で、主人公の気持ちがわかりやすい。
ドラマがどうしが、少しつながるように、できていて、濃密な1時間ドラマという形も、サクッと楽しめますね。

■18番ホール(監督:鈴木浩介/脚本:福田卓郎、久松真一)真相 (双葉文庫)
出演:仲村トオル、西田尚美、田口浩正、池田成志、相島一之、遠藤憲一
■誤報(監督:鈴木浩介/脚本:久松真一)看守眼 (新潮文庫)
出演:岸谷五朗、小澤征悦、尾野真千子、柏原収史、益岡徹、片岡礼子、渡辺いっけい
★★★★☆

関連記事→『横山秀夫サスペンス VOL.2

ソウ ザ・ファイナル3D/SAW 3D
2010年11月07日 (日) | 編集 |
ついに……

ソウ・ザファイナル3D_SAW7ポスター

※ネタばれ含みますので、未見の方は、ご注意ください。


ゲームオーバーを言う人はいない。

もうこれは、ゲームじゃないもん。
生きる意味を説き、私腹をこやす偽ゲーム生還者は、
怒りの鉄槌を浴びてもしかたない、としてもですよ。
偽スタローンみたいなホフマンは、ただの暴走殺人鬼やん。

弟子アマンダやホフマンは、
ゲームオーバー!とカッコよく決めるのを夢見てたんですけど、
そういう器じゃなかったんですなぁ。
ドクター・ゴードンも、助手&協力者みたいで、
ゲームオーバー!を言う人ではないと思うけどなぁ。

やっぱり、いなかったんですねー、真の後継者。

最後、ホフマンの脳裏をよぎるのが、偉大なる親方ジグソウさんの顔で、
そして、そのジグソウさんが『ゲームオーバー!』と、言って欲しかったですね。
ジグソウさんに、決めてもらいたかった。

ソウザ・ファイナル3D_Photo
この制裁処刑ゲームは、誰の仕掛けで、いつ、おこなわれたんでしょうね。仕掛けを止めようと、がんばる姿は、滑稽にも見え、わりと、おもしろいんだが。


3Dを活かした華々しい終幕を、期待しての、劇場鑑賞だったんですけど、
3D効果が、まったく、なかったのは、残念。(追加料金400円、もったいない)

なんとか世界はつながったし、
とりあえず、おしまいですね。
おつかれさまでした。ジグソウさん。
(゚∇゚ノノ"☆(゚∇゚ノノ"☆(゚∇゚ノノ"☆パチパチパチ!!!

ソウ ザ・ファイナル3D SAW 3D 2010年【米】90分
監督:ケヴィン・グルタート『ソウ6』
脚本:パトリック・メルトン/マーカス・ダンスタン
出演:トビン・ベル(ジグソウ)/ケイリー・エルウィズ(ドクターゴードン)/ベッツィ・ラッセル(ジル)/コスタス・マンディラー(ホフマン)/ショーン・パトリック・フラナリー(ボビー・デイガン)
★★★☆☆(3.0)

日本版ポスターで、ソウ集編。ソウのポスターは、カッコよかったですね。
ソウ・ザファイナル3D_SAW1-SAW6-Poster

◎ソウシリーズ関連記事
ソウ4 →ソウ5 →ソウ6

◎ソウスタッフ製作の映画関連記事
→「ソウ」のジェームズ・ワン監督&リー・ワネル脚本『デッド・サイレンス
→「ソウ4」編集のブレッド・サリヴァンが監督『パニック・チェア
→「ソウ4」から脚本担当のマーカス・ダンスタンが監督『ワナオトコ

エグザム
2010年11月06日 (土) | 編集 |
シチュエーションスリラーって、多いですねー。
さて、今回は、頭脳系のようです。

エグザム_Poster

合格すれば死ぬまで年俸1億円。とある企業の最終就職試験に残った国籍も年齢も異なる8人の男女。会場に入ると、そこは窓一つなく、武装した警備員が立っていた。時間は、80分。試験のルールは3つ、それに従わない者は「不適切とみなす」と試験監督は告げる。


薄暗い試験会場。
はじめ!といわれて、
紙を裏返したら、真っ白。
ミスプリント?あれっ?と、8人は、とまどいます。

エグザム_img1

この空間の中、どうしたらいいのか、
そもそも、これは、ほんとに試験なのか、
と、考えながら、最後まで、面白く観れました。
進行とともに、照明の色を変えたり、水を使ったり、
画面的にも、飽きないように、工夫をしてますね。
B級低予算ながら、がんばって作ってある映画だと思います。
ちょっと、こむずかしい印象で、
巻き戻して、確認しないとわかりにくい部分がある。
DVDだから良かったけど、劇場鑑賞では、しんどそうですね。

エグザム_img2

観てて、ずっと、
なぜ、この人たちは、質問を求め、この白い紙に、こだわるのか、
もっと、発想を変えてみた方がいいんじゃない、と、思ってました。

一応、日本語として、考えると、いきついた。
そうか、たがが、カミ。されど、カミですね(^-^)
私たちは、神に問いかけを求め、答えを出そうと、しつづけるんですよね。

エグザム EXAM 2009年【英】101分
監督・脚本・製作:スチュアート・ヘイゼルダイン
ルーク・マブリー/ジミ・ミストリー/コリン・サーモン/ナタリー・コックス
★★★☆☆(3.5)
エグザム [DVD]
こういうのって、だいたい、ごうまんな役割は、白人ですよね。
律儀な回答を書き、退場させられる人って、日本人イメージですか (・∀・)

しあわせの隠れ場所
2010年11月05日 (金) | 編集 |
例えるなら、お母さんは、クォーターバック!
と、いうようなアメリカらしいお話。たいへん楽しく観れる映画です。

マイケルのポジションは、レフトタックル。右利きのクォーターバックの背後をがっちり守るということですね。高給取りのクォーターバックが、安心して活躍できるのも、彼の存在があってこそ。
しあわせの隠れ場所_Photo1

NFLのマイケル・オアー選手の半生を追ったマイケル・ルイスのノンフィクション「ブラインド・サイド アメフトがもたらした奇蹟」を映画化。米南部ミシシッピのスラム街に生まれ、ホームレスのような生活を送っていた黒人青年マイケルが、裕福な白人女性リー・アンの一家に家族として迎え入れられ、アメフット選手としての才能を開花させていく姿を描く。監督は「オールド・ルーキー」のジョン・リー・ハンコック。サンドラ・ブロックは、第82回アカデミー賞で主演女優賞を受賞しました。

家族と共に車で帰路に着くリー・アン(サンドラ・ブロック)は、
雨に濡れながら夜道を歩くマイケル・オーア(クィントン・アーロン)に目を留める。
自宅に連れ帰ったマイケルの境遇を知り、一家に迎え入れることにしたリー・アン。

つらいことから目をそむけて生きてきたというマイケルから、
リー・アン家族が、日々への感謝、幸せの意味、について、
気づいていく、たいへん良いお話です。
エンドロールに、実際の写真が出てきて、泣けた。(T_T)

リー・アンという方が、
冷静で頼れるクォーターバックじゃないところが、魅力的ですね。
直感的で、ずばっとした決断は、時には、あぶなっかしい。
でも、彼女の一所懸命さが伝わるので、チームメイトも、それに応えようとする。
思いきったプレーが、家族の結束を生み、素晴らしい方向に、導かれていく。

これは、観客も、総立ちで応援したくなると思うわ。
サンドラ・ブロックにぴったりの役でしたし、
自然と、彼女に、アカデミー賞をあげたくなりますね。

しあわせの隠れ場所_サンドラ・ブロック

息子SJが、チームヘッドコーチという感じなのも、面白かったところ。
選手とともに、フィールドに飛び出していくところは、微笑ましいですね。

しあわせの隠れ場所 The Blind Side  2009年【米】126分
監督・脚本: ジョン・リー・ハンコック 原作:マイケル・ルイス
サンドラ・ブロック/ティム・マッグロウ/クィントン・アーロン/キャシー・ベイツ/リリー・コリンズ/ジェイ・ヘッド/レイ・マッキノン
★★★★★ 作り方がうまく、楽しく観戦できました。
しあわせの隠れ場所 Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)

ラジー賞を受賞した「ウルトラ I LOVE YOU!」と、合わせて観ると、面白いです。

サバイバル・オブ・ザ・デッド
2010年11月04日 (木) | 編集 |
ゾンビにも生きる権利を!

サバイバル・オブ・ザ・デッド_ポスター
無意味な争いは、終わりにして!お父さん!

ゾンビ映画の第一人者として知られるジョージ・A・ロメロ監督によるサバイバル・ホラー。2009年ヴェネチア国際映画祭、トロント国際映画祭で上映され、大絶賛された本作では、国家・秩序・人間性すべてが失われた圧倒的絶望感に支配された世界で、ある島にわずかな希望を託し、生きることだけを追い求める人々をロメロならではの視点で表現し“生きる”ということの新たな意味を我々に突き付ける。

ある田舎の村。
村といっても、ここは、外部の人間が立ち入ることのない島である。
代々、この島は、有力者オフリン家とマリドゥーン家により、二分されてきた。
ゾンビ時代をむかえた今、主張の対立が起こっていた。

マリドゥーン家の主張は、こうだ。ゾンビ、すなわち死者との共存は可能だ。我々、生者は、死者がこの世にとどまるための努力をしなければならない。新鋭派みたいな感じ。
一方のオフリン家は、保守派かな。生者の生活を守ることが優先、すべての死者の頭を撃ち抜かなければならない、たとえ肉親であっても、という意見だ。

争いの結果、マリドゥーン家が島を牛耳ってしまった島の現状は、ひどい。ゾンビを下等動物のように鎖でつなぎ、教育により、飼い慣らそうしてるだけだ。
結局、両家は、意地の張り合いを続けてるだけなんですね。
それに巻き込まれてるのが、島民であり、ゾンビ民?たち。

サバイバル・オブ・ザ・デッド_写真

今回は、ゾンビを通じ、人間の愚かな争いを、西部劇風に描こうとしています。恐いのは、死後も、無意味な争いが続くことですね。でも、西部劇って、どうも好きになれないなぁ。真面目に、二人の争いを語るので、観てて、ちょい、しんどかった。楽しく観れるものの方が好きです。

サバイバル・オブ・ザ・デッド Survival of the Dead 2009年【米】90分
監督・脚本: ジョージ・A・ロメロ
アラン・ヴァン・スプラング(サージ)/ケネス・ウェルシュ(オフリン)/キャスリーン・マンロー(ジャネット/ジェーン)/デヴォン・ボスティック(ボーイ)/リチャード・フィッツパトリック(マルドゥーン)
★★★☆☆(3.0)
サバイバル・オブ・ザ・デッド [DVD] 
あらすじ:突如よみがえった死者が人々を襲い地獄と化した世界、元州兵のサージ率いる一行は、安全な場所を求めさまよっていた。ある時、安全な島があるという情報を得た彼らは、疑いつつもかすかな望みをかけてその島へ向かうことに。

やさしい嘘と贈り物
2010年11月03日 (水) | 編集 |
主人公の老夫婦を、共にオスカー俳優のマーティン・ランドーとエレン・バースティンが演じる。名優二人を主演に迎え、シリアスな内容ながら心温まる感動作に仕上げたのは、本作で長編初監督を果たす新鋭ニコラス・ファクラー。

クリスマスの贈り物は、何でしょうか?

やさしい嘘と贈り物ポスター

何も知らずに観て、よかった。
キャッチコピーや予告編では、もろに、ネタばれ (*○*;)
クリスマスプレゼントの中味を、教えてから渡す人なんて、おらんだろ。
配給会社は、なに考えとんねん。
米国ポスターは、よく出来てるな、と思います。
上半分が、空白で、なにもないのが、しぶいね。

一人で暮らしのロバートが、メアリーと、かたときも離れたくない、と夢中になっていく様子を見てると、幸せな気持ちになってきます。キラキラするイルミネーションと、クリスマスソングが、二人を盛り上げてくれますね。

が、突如、サスペンスみたいに、現実的に。
だから、ロバートの過去が語られていなかったんですね。

若い世代から、両親、祖父母へのクリスマスプレゼント。という印象がします。
自分も、こんな二人になりたい、と、願いをかけたイメージですね。
やっぱり、監督さんは若い、24歳のかたでした。


多く語られないので、観た方が、それぞれに、贈り物を受け取ったらいいと思います。

たぶん、彼が、選んだプレゼントは、かつて、選んだものと同じなんだろうな。
今の時を生きるロバートが、
今の気持ちで、直感的に、メアリーのために選んだら、これになった。
変わってなかった。
これは、メアリーと家族にとって、
この贈り物をしてよかったと、実感できる瞬間だと思うわ。

毎年、同じプレゼントが、棚に、ひとつづつ、並んでいく光景が浮かびました。
これまでの愛情にあふれた日々が、思われます。

やさしい嘘と贈り物 LOVELY STILL 2009年【米】92分
監督:ニコラス・ファクラー
マーティン・ランドー(ロバート)/エレン・バースティン (メアリー)/エリザベス・バンクス(アレックス)/アダム・スコット(マイク
★★★★☆(4.0)素敵な小作品ですね。
やさしい嘘と贈り物 [DVD]