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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
白夜行
2011年01月30日 (日) | 編集 |
暗く、不気味。
物音を立てて観てはいけないような雰囲気で、成り行きを静かに見守るようでした。

白夜行_イメージ写真
“あたしの上には太陽なんかなかった。いつも夜。
でも暗くはなかった。太陽に代わるものがあったから。
太陽ほど明るくはないけれど、あたしには十分だった”


密室となった廃ビルで、質屋の店主が殺された。決定的な証拠がないまま、事件は容疑者の死亡によって一応解決を見る。しかし、担当刑事の笹垣だけは腑に落ちない。容疑者の娘で、子供とは思えない美しさを放つ少女・雪穂と被害者の息子で、どこか暗い目をしたもの静かな少年・亮司の姿がいつまでも目蓋の裏を去らないのだ。やがて、成長した二人の周辺で不可解な事件が立て続けに起こり、意外な関係が姿を現し始める。

原作は、二人の内面描写がいっさい排除されているのが特徴で、つまり、他の人物の目に映った二人の行動が書かれています。これによって、この二人が、感情を殺して生きざるをえなかった哀しみ、を感じさせる物語です。

ドラマ版は、いかにも民放が作ったという感じで、主演二人が直接、感情を吐き出す作り方になってます。ノワール路線ではなくなりましたけど、第1話の子役・福田麻由子ちゃんが、うまくてね。彼女のセリフと演技が、すべてを決めた。結果、良いドラマになってました。ただ、初回にすべてを暴露するのは、視聴率狙いだと思うし、原作に対し、まったく敬意をはらってません。

今回の『白夜行』ですが、これは、「WOWOW FILMS」第6弾として製作されています。WOWOWは、民放と違って、原作の本質をすごく大事にしていますね。
主演・堀北真希ながら、主役の出番が少ない。あまり画面に出ず、セリフも少ない。あくまでも、この二人に関わっている人物の表情がメイン。その顔を見ながら、その人物の側に立っているであろう堀北真希の顔と気持ちを想像し、観る雰囲気です。これが、白夜行、本来のテイストだと思います。
登場人物の奥に異質な堀北真希を配置してあるイメージで、サスペンスファンの方も満足できる意欲的な作品になってるな、と思いました。

白夜行05
背中を向けた顔は見えないのだ

以下、ネタばれです。

昭和55年、浮かれる世間とは、無関係な環境に育った二人。汚い大人を見つめ育ってきた少年少女は、あの瞬間に時間が止まってしまったかのようでした。今も、少年は、廃墟ビルの中で雪穂を助けようともがき、雪穂は、暗闇から明るい方へ走り続けている印象でした。

白夜行01_堀北真希
唐沢雪穂=堀北真希。彼女に近づいた人物は、雪穂の持つ暗部に、吸い寄せられ侵食されてしまうといった感じ。彼女は、大人の男を愛することもないし、じゃまになる女性を陵辱によって落とす。この行為により、少女時代の雪穂の拒絶と憎しみが想像されます。この脚本で、求められるのは、幼さの残る女性の顔でしょうね。堀北真希は、幼い頃のまま、凍りついてしまった雪穂に合っていたと思います。この映画の雪穂は、冷たい目の人形としての存在で、一般に言う悪女じゃないでしょうね。関わる人物の気持ちによって、見え方が変化するのだ。

白夜行02_高良健吾
桐原亮司=高良健吾。雪穂を助けるために、次々と、犯罪を重ねていく。この人、なにかを抱えた役が多く、こういう役は、うまいですね。彼は、大人の世話になって働くのを拒み、自分のできる仕事をしている。年上の典子に好意は持っていたようだが、雪穂のためには、その女性をも死に追いやる。

白夜行03_船越英一郎
笹垣刑事=船越英一郎。なんで、この方が、刑事役と思って、観る前、すっごく不安でした。二時間ドラマのような敏腕刑事じゃなく、しょーぼいサラリーマン刑事。息子を亡くした過去を持っていたのでした。刑事として追うのでなく、当時の大人が生み出してしまったような二人を、ずっと気にして生きてきた、という感じ。亮司、君の話を聞きたい、教えてくれ、君の歩んできた人生を、という最後の叫びは、観客の気持ちでもある。ただ、とってつけたような叫びすぎるんだな、これが。

白夜行 2010年【日】149分(パンフ700円)
監督:深川栄洋 脚本:深川栄洋、入江信吾、山本あかり
原作:東野圭吾『白夜行 (集英社文庫)』 続編『幻夜
主題歌:珠妃『夜想曲』 デビューアルバム「ヒカリ」
出演:堀北真希、高良健吾、船越英一郎
★★★★☆(4.0)
白夜行 [DVD]


雪穂を陽のあたる場所に、送り届けることが亮司の願いだったんだろうか。
※出てくる切り絵は、フランス在住の日本人作家・蒼山日菜さんの作品です。
蒼山日菜公式ページ
→すごい繊細な切り絵で、作品集も良かったです。『レース切り絵
白夜行_蒼山日菜

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