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ヒア アフター
2011年02月23日 (水) | 編集 |
すべては関わりあい、つながっている。
これから先も。

ヒア アフター壁紙
3人の人物の物語。
■パリ……………………津波で死の淵を彷徨ったジャーナリスト、マリー
■サンフランシスコ……死者との対話に疲れきった霊能者ジョージ
■ロンドン………………双子の兄を亡くした少年マーカス


死後の世界のような予告編。こういう題材をイーストウッドさんは、どう描くんだろうと、鑑賞。セシル・ドゥ・フランスが出てるというのも楽しみでした。なるほど、死後の世界を感じさせ、描き出すのは、生者のドラマ。イーストウッドらしい、静かに進むテイストが、心地よい。

パリ、サンフランシスコ、ロンドン、普通に暮らしていたら、接点はなかっただろう。3人は、ある共通項を持っており、それぞれに、苦しんでいた。そんな3人が、他の世界からの働きかけがあったかのように、出会うべきして出会う。すべての世界はつながっているのだ。劇的でなく、自然と導かれていく3人を、見守っていく感覚で見れる映画でした。

ヒア アフターキャスト

私は、関西なので、阪神淡路大震災を体験しました。今、この瞬間、なにが起こっても不思議ではなく、あっけなく人は死ぬんだ、と思いました。
こういう状況になると、人間は、体ごと、切り替わるみたいで、なにかしなければならない、という気持ちに、突き動かされます。でも、自分は人の命を助けることができない、役に立たない、そういった無力感にも襲われました。
なので、マリーという方の気持ちは、なんとなくわかるような気がしました。

すごくイメージ的、感覚的に、演出されてる映画だと思います。
大津波で始まる冒頭、これは、あらがいようのない「恐怖」に押し流されてしまうイメージで、実際の災害というのは、こういうものです。
死をも体験した彼女は、現地の状況を知りつつ、さっさと帰ってしまった自分を責めることになってくる。口先の評論をしている自分の存在が、まったく無意味なものに思えてきて、ついに、彼女の看板すら消えていってしまう。なぜ、自分が生き返ったのか。私にできることは、体験を伝えることだ、と、それが使命かのように、本を書き始める。

ジョージが、つながっているのは、死者の世界かどうかはわからない。その人の持つ記憶かもしれないが、なにかが見えるんでしょう。彼は、それをもとに、語ってあげているかのようだ。
技術じゃなく感覚だ、みたいな料理教室は、たいへんエロチックな描写でしたね。同じ教室のメラニーと仲良くなるが、知らずにすむことを知るのは、つらいものがありますね。メラニーにしてみれば、いまさら死者に謝られても、困惑するだけだったんじゃないでしょうか。ジョージが、呪いだというのも、うなづけます。

マリーも、ジョージも、誰に話しても理解してもらえず、自分を喪失している二人ですね。この二人を引き合わすことになってくるのが、マーカス少年。
双子の兄を亡くした悲しみは、二人とは比べものならないほど、大きなものだと思います。死を理解していても、自分自身でもある兄が、別の世界にいってしまうというのはありえないんだろな。ジョージが、マーカスに、途中、待って、兄が戻ってきたよと、わざと創作してあげるねんね。少年は、兄の声を聞きたいし、自分の声をも受けとめてくれる人を探していたのかもしれないですね。マーカスに、必要だったのは、兄の存在と、立ち直った母の姿だったみたい。

あとで、思い返しながら整理してくと、よくわかってきますね。やんわりとした刺激のある作品で、好きでした。イーストウッドさんには、さらに違うもの、違うもの、を表現し、描いていってみて欲しいです。

ヒア アフター HEREAFTER 2010年【米】129分(パンフ800円)
監督・製作・音楽:クリント・イーストウッド
脚本・製作総指揮:ピーター・モーガン 
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、フランク・マーシャル、ティム・ムーア
出演:マット・デイモン(ジョージ)、セシル・ドゥ・フランス(マリー)、ジョージ&フランキー・マクラレン(マーカス/ジェイソン)、ジェイ・モーア(兄ビリー)、ブライス・ダラス・ハワード(メラニー)
★★★★☆(4.0)
ヒア アフターイーストウッド

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