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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく
2011年05月30日 (月) | 編集 |
あなたが目撃するのは《いのち》のドラマ。

手塚治虫のブッダ_赤い砂漠よ!美しく_Photo01

2500年前、ヒマラヤ。
バラモンの老僧ゴシャラは修行の最中、吹雪に遭遇。雪山に倒れてしまう。そこへ、熊と狐と兎が姿を現す。やがて、熊は魚を、狐は木の実を携えて、ゴシャラのもとへ戻ってきた。だが、兎だけが手ぶらだった。食べ物を調達することができなかったのだ。兎はせめて自分の肉を食べてもらおうと火の中へ飛び込んでいく。驚いたゴシャラは、慌てて火の中から兎を救い出すが、すでに兎は息絶えていた。
ゴシャラは、この信じられない出来事に強く心を動かされ、世界の大いなる因果の道理を悟ったとされている


予告編からすると、映画版は、わかりやすいエンタメ作品かなと思ってたが、原作と同じく、仏法説話のうさぎの話から始まるのには驚いた。(°□°;)
手塚治虫の「ブッダ」は、ブッダの伝記ではない。並行し登場するたくさんの人間の迷いや苦しみを、残酷に描き出す作品。お釈迦様が手を差しのべる人間という生き物が主人公です。ブッダは、ありがたい言葉を与えてもくれないし、あなたの生きる道を説いてもくれません。

3部作の第1部となる本作では、
手塚治虫のブッダ_赤い砂漠よ!美しく_Photo02
奴隷の身分から貴族にはいあがろうとするチャプラの野望、叫びが、メインに描かれる。「奴隷が貴族になりたいと思ってはいけないのですか?!」 うちのめされました。(T^T)

手塚治虫のブッダ_赤い砂漠よ!美しく_Photo03
シッダールタに、この世の現実を見せる盗賊団の女ボス・ミゲーラ。彼女への仕打ちも残酷すぎる。

手塚治虫のブッダ_赤い砂漠よ!美しく_Photo04
不思議な能力を持つ少年タッタ。ぴょんぴょんと軽い動きが、手塚治虫さんのキャラっぽくて、かわいらしい。

あと、ひとりの人間を救うために、動物の命3つを犠牲にしてしまう僧ナラダッタには、野をさまよう獣となる罰がくだされる。
このように、恐ろしい出来事が起こる中、迷い続ける人間ブッダが存在する。
原作に対して、真面目に取り組んでおり、テイストは忠実に守られていたように思います。ぶつぎりのように、人物の悲鳴などあっけなく取り残され、とんとんと進んでしまうことも、この作品の持ち味でしょう。
シッダールタが出家したところで、第1部は終了。これは、第二部も、楽しみです。


※声の出演に関しては、この作品に限らないですが、俳優さんをあてるのは、やめて欲しいですね。その道のプロ声優さんがいるわけですから、プロが出演するのが当然でしょう。はっきり言って、シッダールタの父の声なんて、ただの棒読みです。プロ声優を差しおいて、大御所だから出演するなんてのは、それこそ「ブッダ」で描かれる理不尽なる世界です。

※X JAPANの主題歌「Scarlet Love Song」は良かった。

手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく 2011年【日本】111分
監督:森下孝三 脚本:吉田玲子
原作:手塚治虫 ブッダ (第1巻) (潮ビジュアル文庫)
イメージアート:岡野玲子 主題歌:X JAPAN「Scarlet Love Song」
声の出演:吉永小百合、堺雅人、観世清和、吉岡秀隆、折笠愛、竹内順子、永井一郎、玄田哲章、藤原啓治、大谷育江、櫻井孝宏、水樹奈々、黒谷友香
★★★★☆(4.0)
手塚治虫のブッダ_赤い砂漠よ!美しく_Photo05
生きることは苦しみに満ちている。
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旅するジーンズと19歳の旅立ち
2011年05月28日 (土) | 編集 |
前作『旅するジーンズと16歳の夏』から3年後、19歳になった彼女たち。

旅するジーンズと19歳の旅立ち_Photo01
解説:「旅するジーンズと16歳の夏」の続編。親友である4人の少女が大人になるための自由、愛、選択、試練を経験する様を瑞々しく描く。監督は「Something New」(日本未公開)のサナー・ハムリ。

それぞれに進学し、新しい生活の始まった彼女たち。
大学の最初の一年が終わり、夏休みが、やってくる。
遺跡の発掘のためトルコへと旅立つブリジット。バーモント州で、クリエイティブな熱気あふれる演劇の世界に飛び込むカーメン。ロードアイランドの美術大学で、新しい恋と過去の苦い恋を見つけるリーナ。そしてブライアンとの関係で、大きな一歩を踏み出すニューヨークのティビー。

旅するジーンズと19歳の旅立ち_Photo02

すれ違いが多くなり、バラバラになってしまった4人が、
過ぎ行く夏の終わりとともに、ジーンズ同盟の絆を、再び強くする物語。

この先、もう再び、彼女達4人に会う事はないでしょう。
彼女達は、しっかりと歩み始めたのだから。
あの夏の記憶みたいな素敵なラストシーンを迎えます。
やっぱり、ギリシアの風景は、絵になります。

THE SISTERHOOD OF THE TRAVELING PANTS 2 2008年【米】119分
監督:サナー・ハムリ 脚本:エリザベス・チャンドラー     
原作:アン・ブラッシェアーズ
出演:アレクシス・ブレデル(リーナ)、アメリカ・フェレーラ(カルメン)、ブレイク・ライヴリー(ブリジット)、アンバー・タンブリン(ティビー)
★★★★☆(4.0)
旅するジーンズと19歳の旅立ち 特別版 [DVD]
旅するジーンズと19歳の旅立ち_Poster

十三人の刺客
2011年05月27日 (金) | 編集 |
斬って斬って斬りまくれぇ!

十三人の刺客_Poster

解説:時代劇映画の名作との呼び声も高い1963年公開の工藤栄一監督の『十三人の刺客』を、約半世紀の時を経て現代風に再構築した時代劇エンターテインメント 巨編。日本を代表するヒットメーカーの三池崇史監督がメガホンを取り、江戸幕府史上最悪の暴君を暗殺するため、13人の刺客たちが命を懸けた一世一代の戦いを挑む。

武士道を描いてるわけでも、正義を描いてるわけでもない。
徹底的に、ばかばかしく戦いを描いてるのは、素晴らしい。
世のために討つ敵、この将軍の弟からして、ものすごい中途半端なキャラ。こんな人、斬ってなにすんの?といわんばかりに、ほとんど、無意味な武士の戦いが、延々と繰り広げられる。
ばからしさが、突き抜けてて、すごい。
能書きで、人は動いてるわけではないのだ。

十三人の刺客 2010年【日本】141分
監督:三池崇史 原作:池宮彰一郎
出演:役所広司、山田孝之、伊勢谷友介、沢村一樹、古田新太、高岡蒼甫、六角精児、波岡一喜、近藤公園、石垣佑磨、窪田正孝、伊原剛志、松方弘樹/吹石一恵、谷村美月、斎藤 工、阿部進之介、内野聖陽、光石 研、岸部一徳、平幹二朗、松本幸四郎、稲垣吾郎、市村正親
★★★☆☆(3.0)
十三人の刺客 通常版 [DVD]

旅するジーンズと16歳の夏
2011年05月25日 (水) | 編集 |
体型が違うのに、誰が履いてもピッタリくる不思議なジーンズ!
きっと、幸運のジーンズに違いないと信じる彼女たち4人は、
ひと夏の間、それを順番に着回そうと約束を交わすのだった。

旅するジーンズと16歳の夏_DVD
解説:4人の少女が初めてバラバラに過ごす16歳の夏休みに、それぞれが経験する大人への成長の物語をホロ苦くも爽やかに綴る青春ドラマ。世界的ベストセラーとなったアン・ブラッシェアーズの小説『トラベリング・パンツ』を映画化。

16歳になるティビー、リーナ、カルメン、ブリジットの仲良し4人組。彼女たちは、母親たちがマタニティ教室で出会って以来、ず~っと一緒。そんな4人が、この夏初めて別々の場所で過ごすことになる。
リーナは祖父母の住むギリシャへ、別居している父と一緒に過ごすカルメン、メキシコのサッカーキャンプに参加するブリジット、そして何の計画もなく地元のスーパーでバイトするティビー。

旅するジーンズと16歳の夏_Photo

すごく、いいお話でした。
初めて、経験するひとりぼっちの夏。彼女達は、それぞれに事情を抱えていて、自分の中にある苦しい現実と向き合っていく。痛みを残し、去っていく夏を支えていくのが、友情のジーンズで、じ~んときます。
リーナのパートで出てくるギリシアの風景が美しかった。

THE SISTERHOOD OF THE TRAVELING PANTS 2005年【米】118分
旅するジーンズと16歳の夏 トラベリング・パンツ(DVDタイトル)
監督:ケン・クワピス 脚本:デリア・エフロン、エリザベス・チャンドラー
原作:アン・ブラッシェアーズ『トラベリング・パンツ』(理論社刊)
出演:アレクシス・ブレデル(リーナ)、アメリカ・フェレーラ(カルメン)、ブレイク・ライヴリー(ブリジット)、アンバー・タンブリン(ティビー)
★★★★☆(4.0)

◎関連記事→アレクシス・ブレデル出演『恋する履歴書

ガフールの伝説
2011年05月20日 (金) | 編集 |
空中戦。

ガフールの伝説ポスター

あらすじ:世界征服をたくらむ純血団との戦いに挑んだガフールの勇者たちの伝説に夢中な若きフクロウ、ソーレンだったが、兄のクラッドはそんな弟を見下していた。ある日、木の上の巣から落ちたクラッドとソーレンの兄弟は、純血団に捕らわれてしまう。脱出したソレーンは、新しい仲間と共に、伝説の勇者が住むという“ガフールの神木"を目指すのだった。

造形キャラじゃなく、現に生息しているフクロウたちが主人公。
いろんな種類のフクロウが出てくるので、興味深い。人間の顔みたいですね。
ふわっ、とした毛もかわいかったです。

ガフールの伝説 2010年【米】97分
LEGEND OF THE GUARDIANS: THE OWLS OF GA'HOOLE
監督:ザック・スナイダー 原作:キャスリン・ラスキー
★★★★☆(4.0)
ガフールの伝説 Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)

ブラック・スワン
2011年05月16日 (月) | 編集 |
白と黒を演じ分けるというようなレベルではないのだ。
凄いものを観てしまった!

ブラック・スワン_ナタリー・ポートマン_白と黒
解説:「レスラー」のダーレン・アロノフスキー監督が、野心と嫉妬渦巻くバレエの世界を舞台に描く異色の心理スリラー。バレエに全てを捧げるヒロインが、新プリマの座を巡って熾烈な競争を繰り広げる中で、次第に精神的に追いつめられていく姿をスリリングに描き出していく。主演は、その迫真の演技が絶賛され、みごと自身初となるアカデミー賞主演女優賞にも輝いたナタリー・ポートマン。

ぞわ~~~っときましたよ。
芸術に身も心を捧げる者は、ここまで完璧を、目指すのか。
そこに、いきついた者にしか感じ取れないようなものを、
ナタリー・ポートマンの表情が、魅せます!
ちょっと、観て震える感じ。頭の中を、白鳥の湖が、鳴り響きます。

ブラック・スワン_ポスター_イラスト

ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属している主人公二ナ。白鳥の湖では、四羽の白鳥にも選ばれたことのある技量、経験ともにあるダンサーだ。
素人目に見て、おそらく、白鳥の湖の中で、多くの観客の印象に残るのが、四羽の白鳥の場面と思います。コミカルに可愛らしく踊る姿が、音楽とともに記憶に残ってしまうのだ。主役じゃないけど、主役みたいな位置づけにある独特のポジションじゃないのかなぁ。多くのダンサーが、自分の力量は、ここまで、その思い出を、胸に去っていく。

二ナ自身も、この先を目指すのは、特別な人、みたいな思いを漫然と持っていたダンサーじゃないかと思う。ここから先は、肉体、精神の悲鳴に耐え、己を解放させた者だけが、到達できる世界なのだ。
先は、狂気と紙一重で、恐いです。全編、ナタリー・ポートマンの表情で語るかのよう。それが、妄想のような映像で、彼女が感じるであろう焦燥や重圧の恐怖が、ビシビシ伝わってきます。

黒鳥を官能的に表現、これは、素人でも思いつく企画で、どう見ても斬新じゃないですよね。二ナは、そんな簡単なことで苦しんでいるわけでないし、そんなことで悩むダンサーなどいない。
数々の先輩ダンサーが彩ってきた歴史と伝統のプログラム、その責任が自分にかかってくるんですよ。どうすれば、歴代プリマに並び、それを越える表現ができるのか。考えただけで、おかしくなりそうだし、ものすごい苦しみだと思います。
映像は、すべて、自分を見つめていくうえで起こる妄想イメージ。息苦しくなるような感覚が、よく出てますね。

ナタリー・ポートマン自身も、表現者として、バレエの神髄を極めなければならないところに、追い込まれていく作品でもあると思います。それが、主人公二ナと重なり、白鳥の湖とも重なっていくところが、素晴らしいですね。

ブラック・スワン_ナタリー・ポートマン_1

ブラック・スワン_ナタリー・ポートマン_2

ブラック・スワン_ナタリー・ポートマン_4

白と黒は、横に並んでるわけではなく、縦に位置する。
自由に踊りたい、バレエダンサーとしての純粋なる欲望なのだ。


白鳥の湖というのは・・・母の悲しみの涙で満たされた湖を、白鳥の姿で泳ぐのが、オデット姫です。舞踏会で自由奔放に踊る黒鳥は、抑制から解放された、もうひとりのオデット姫の姿なんだと思います。
プロなら、誰しも踊りたいのは、当然、黒鳥でしょう。自分のすべてを魅せることができるからです。主人公ニナも、黒鳥になりたいという強烈な欲望を秘そませていたわけだと思います。

ブラック・スワン Black Swan 2010年【米】108分(パンフ600円)
監督:ダーレン・アロノフスキー「レスラー」
脚本:マーク・ヘイマン、アンドレス・ハインツ、ジョン・マクラフリン
出演:ナタリー・ポートマン(ニナ・セイヤーズ)、ヴァンサン・カッセル(トーマス・ルロイ)、ミラ・クニス(リリー)、バーバラ・ハーシー(エリカ・セイヤーズ)、ウィノナ・ライダー(ベス・マッキンタイア)
★★★★★ 大きいスクリーンの劇場で堪能しよう。

◎関連記事→今敏監督『PERFECT BLUE/パーフェクト ブルー

PERFECT BLUE/パーフェクト ブルー
2011年05月12日 (木) | 編集 |
妄想と現実が入り乱れるサイコスリラー。

※公開中の『ブラックスワン』が、この作品の影響を受けている、ということだったので、今回、観てみました。この感覚、もとには、なっていると思います。→米タイム誌で“2010年を代表する人”に選ばれた故・今敏監督の影響を受けた話題作とは?

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解説:原案に江口寿史、企画に大友克洋が参加し、世界中の映画祭で絶賛された本格的サイコサスペンス・アニメ。アイドルから女優への転身を図った霧越未麻に届いた「裏切り者」のメッセージ。そして周囲におこる数々の事件の真相は。

アイドルから、女優へ転身した霧越未麻。
新参者の彼女にくる仕事は、端役で、レイプシーンのある役や、ヘアヌード写真集なども、こなしていかなければならない。やっぱり、アイドルを続けた方がよかったのか。ふたつの自分に揺れ動く中、劇中劇と共に起こる殺人事件。
彼女は、二重人格者なのか?
本格的スリラーを、アニメーションで描くことによって、現実か、妄想か、観てる自分も、よくわからない感覚に落ち入っていきます。
アニメ画面の虚構性が、うまく活かされてると思います。

PERFECT BLUE パーフェクト ブルー 1998年【日本】81分
監督:今敏/出演:岩男潤子、松本梨香、辻親八、大倉正章
★★★☆☆(3.5)
パーフェクトブルー 【通常版】 [DVD]
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◎関連記事→今敏監督『パプリカ』 →宮部みゆき『パーフェクト・ブルー

ボローニャの夕暮れ
2011年05月11日 (水) | 編集 |
ジョバンニのパパ。

ボローニャの夕暮れ_Poster

解説:イタリアの名匠プピ・アバティが、第2次世界大戦前後の故郷ボローニャを舞台に描く家族ドラマ。17歳の女子学生ジョバンニは、心優しい父ミケーレと美しい母デリアと、慎ましくも平穏に暮らしていた。だがある日、ミケーレが勤務する学校で殺人事件が起こり、被害者と同級生だったジョバンニに容疑がかけられてしまう。さらに事件に追いうちをかけるように、戦火は激しさを増していく。父親役のシルビオ・オルランドが第65回ベネチア国際映画祭主演男優賞を受賞。

「目に見えるものを描く者から、目に見えない者を描く者へ」
劇中に、父ミケーレが、モランディという同級生の画家へ送る献辞の言葉が出てくる。返事の来ない手紙を、ミケーレは書いているようなのだ。


イタリア北部、ボローニャ。
ここに暮らすほのぼのした家族の話かと思ったら、かなり違っていました。
学校内で、殺人事件が起こり、その犯人が、娘ジョバンニ。
そして、裁判と、えっー、こんな話というように進みます。
異様なまでに、娘に注ぎ続ける父親の愛情だけが描かれ、
人物の気持ちは、あえて表現していないような作品です。

父、母、娘、三人とも、うまく気持ちを現すことができない人で、苦しい内容なんだけど、あまりつらさを感じさせない。あえて、愉快に語るような、イタリアのユーモアや、あったかさを、底辺に感じます。

戦争が起ころうが、周囲からどう見られようが、父は、ひたすら娘のために生き、まったく変わらない。最後には、ほら、こうなっただろ、みたいに、三人が、再び、家族になっていくのには、じ~んとした。

監督・脚本・原案:プピ・アヴァティ 製作・脚本:アントニオ・アヴァティ
出演:シルヴィオ・オルランド、フランチェスカ・ネリ、エッジオ・グレッジオ、アルバ・ロルヴァケル、セレナ・グランディ
★★★☆☆(3.5)
ボローニャの夕暮れ [DVD]

SHOT/ショット
2011年05月10日 (火) | 編集 |
ウルグアイ映画なんて、めずらしい。
1940年代、ウルグアイの小さな村で起こった実話に基づいているそうです。

SHOT/ショット_DVD

あらすじ:人里離れた山奥の家をリフォームするためにローラと父ウィルソンは、作業の前の晩からその家に泊まることに。深夜、ローラは外から何か音がしてくるのを聞く。その音は次第に大きくなり、家の2階から聞こえて来るようになる。父親が様子を見に2階に上がって行くが。

全編をワンシーン・ワンカットで見せ切ることにチャレンジしてる作品です。カンヌで上映されるやいなや、業界を席巻。もうすでに、ハリウッドリメイク済みだそうです・・・(°□°;) はやっ
※ちなみに、リメイク版「Silent House」は、「オープン・ウォーター」 のクリス・ケンティスが監督を務めています。

SHOT/ショット_写真01

真っ暗な家の中を、一歩、一歩。
リアルタイム感があって、ひとつひとつ、部屋を探っていくだけでも、かなりの緊張感がありました。白いタンクトップに血がついたり、部屋の鏡に主人公が映りこんだり。動き方の段取りや、部屋の小物類、音楽も、この手の映画をよく研究して作っている雰囲気があります。

主人公の女性、冒頭から、おかしな雰囲気があったけど、こういうオチにつながってたのか。最後のオチの見せ方こそ、ワンカット(ワンショット)!だったのだ。本編は、最後にたどりつくための、長~い前ふりともいえるけど、ワンカットに、こだわってて、なかなかよろしい。

SHOT/ショット 2010年【ウルグアイ】86分劇場未公開
LA CASA MUDA
監督:グスタフ・ヘルナンデス
出演:フロレンシア・コルッチ、アベル・トリパルディ、グスタヴォ・アロンゾ、マリア・サラザール
★★★☆☆(3.0)劇場より、家で見る方が怖そうな映画です。
SHOT/ショット [DVD]

アンノウン/Unknown
2011年05月08日 (日) | 編集 |
交通事故に遭い、4日間の昏睡から目覚めると──
妻は自分を「知らない」と言い、見知らぬ男が自分を名乗っていた。

アンノウンポスター

ダーク・キャッスル・エンターテインメント作品。「蝋人形の館」や「エスター」を手がけたジャウム・コレット=セラ監督ということで、観てみました。今回は、リーアム・ニーソン、ダイアン・クルーガーのアクション巨編でした。

混沌とする現代のベルリンを舞台に、不確かな自分が現れてくるという点では、スリラーなんだけどな。植物学者リーアム・ニーソンが強すぎて、不可解だったり、ダイアン・クルーガーが、きれいすぎて、タクシー運転手さんに、見えなかったりするところを、見せたいのかな。元東ドイツの秘密警察も出てきて、おっ、と思うが、たいしたことなかったり。
ベルリンロケで、ヨーロッパ俳優さんが活躍するので、欧州映画みたいな空気はありました。実は、アメリカ映画なんですね(^^)
人物を証明するのは、身分証なのか?なにをもって、自分だと言えるのか?
すべてにおいて、確証のあるものはない。
狙いとしては、面白みのある映画だと思います。

アンノウン Unknown 2011年【米】113分(パンフ600円)
監督:ジャウム・コレット=セラ
脚本:オリバー・ブッチャー、スティーブン・コーンウェル
出演:リーアム・ニーソン、ダイアン・クルーガー、ジャニュアリー・ジョーンズ、エイダン・クイン、ブルーノ・ガンツ、フランク・ランジェラ
★★★☆☆(3.0)証明写真のようなものが並ぶ写真展が、奇妙でした。


参考:ダークキャッスルエンターテインメント作品 ●=観た ○=未見
○『TATARI タタリ』 House on Haunted Hill (1999)
●『13ゴースト』 Thir13en Ghosts (2001)
●『ゴーストシップ』 Ghost Ship (2002)
●『ゴシカ』 Gothika (2003)
●『蝋人形の館』 House of Wax (2005)
○『リーピング』 The Reaping (2006)
○『TATARI 呪いの館』 Return to House on Haunted Hill (2007)
○『ロックンローラ』 RocknRolla (2008)
●『エスター』 Orphan (2009) ←おすすめします
○『ヒルズ・ラン・レッド -殺人の記録-』 The Hills Run Red (2009)
●『ホワイトアウト』 Whiteout (2009)
○『ニンジャ・アサシン』 Ninja Assassin (2009)
●『ルーザーズ』 The Losers (2010)
●『スプライス』 Splice (2010)


八日目の蝉
2011年05月07日 (土) | 編集 |
優しかったお母さんは わたしを誘拐した人でした

八日目の蝉_写真1

連続ドラマ化された角田光代の同名小説を『孤高のメス』の成島出監督が、映画化。今回は、誘拐された子供、恵理菜目線で描かれます。井上真央、永作博美をはじめ、俳優さんの表情をじっくり見ながら感じていく作品で、良く出来てます。

八日目の蝉_ポスター
あらすじ:子どもを身ごもるも、相手が結婚していたために出産をあきらめるしかなかった希和子(永作博美)は、ちょうど同じころに生まれた男の妻の赤ん坊を誘拐して逃亡する。しかし、二人の母娘としての幸せな暮らしは4年で終わる。数年後、本当の両親にわだかまりを感じながら成長した恵理菜(井上真央)は大学生になり、家庭を持つ男の子どもを妊娠してしまうのだった。

4歳までの記憶。
幼稚園ぐらい以降の記憶なら思い出せるけど、それ以前は、う~ん、よく思い出せんなぁーって人が多いんじゃないでしょうか。
私も、生まれてから4年間の記憶は、よくわからない。

そこにあった母の、声、ぬくもり、匂い、感じたすべてのものは、ものすごく大事なもので、体の中に、しっかりと残されているものなんでしょうね。
自分は、薫なのに、恵理菜と呼ばれるのは、すごい抵抗感を感じるだろうなぁ。引きづり続ける違和感になってしまうかもしれませんね。4年間を失ってしまった家庭は、ぎくしゃくし、外では、事件のことを言われるし。
人と関わりたくないという大学生になってしまった恵理菜。

彼女の記憶は、空っぽなので、当然、感情がつかめない。事件のことなので、触れてもいけない。薫は、自分が自分でないような、なにか漠然とした心境なんだろうなと思う。

恵理菜役=井上真央は、最後まで感情を出せないむずかしい役どころです。言いたい事があるのに、それをこばんでいるような固い表情で、うまく演じてたと思います。小池栄子というキャラを側に配置してあるのも、うまい演出でしたね。

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優しかったお母さんと、フレーズにあるが、優しかったのか、顔もよく思い出せない、確証の持てない記憶であるんだろうなぁ。生まれてくる子が、それを教えてくれることになるんでしょうね。

八日目の蝉 2011年【日本】 147分(パンフ700円)
監督:成島出
原作:角田光代 八日目の蝉 (中公文庫)
出演:井上真央、永作博美、小池栄子、森口瑤子、田中哲司、市川実和子、平田満、渡邉このみ、劇団ひとり、余貴美子、田中泯、風吹ジュン
★★★★☆(4.0)
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彼女が消えた浜辺
2011年05月05日 (木) | 編集 |
私の底にもうひとりの私が眠っている

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タイトルどおり、一人の女性が消えてしまう物語。
浜辺に残されたものを描き出す、秀逸な心理スリラーです。

彼女が消えた浜辺_ABOUT_ELLY_Poster
解説:イランの中流階級の男女がバカンスに興じるシチュエーションで幕を開け、ある事件に巻き込まれた登場人物たちが露わにする不安やエゴを映し出しながら、人間の複雑な内面を暴いていく。そんな人間模様を、予測不能なストーリーテリングで見せる巧みな展開が面白い。監督・脚本は新鋭のアスガー・ファルハディ。

本国イランで2009年の興行収入第2位の大ヒットを記録するとともに、ベルリン国際映画祭で最優秀監督賞(銀熊賞)に輝くなど、数々の映画賞を受賞した作品。

場所は、テヘランからほど近いカスピ海の沿岸のリゾート地。
ここに、大学時代の友人家族たち11人が、3日間の休暇にやってくる。みんな顔見知りの中、ひとりだけ初顔合わせの女性エリがいた。エリは、セピデーが誘った幼稚園の先生で、離婚したアーマドに、彼女を紹介しようという企画でもあったのだ。

翌日、子供が溺れるたいへんな出来事が起こり、そのあと、エリの姿が、突然、消えてしまう。海で溺れたのか、いや、帰ってしまったのか。エリを誘ったセピデーも、エリの素性はよく知らず、連絡先もわからないという。

えっー、どうしたら。たいへんなことになってしまった!
という状況で、これは、起こりえそうな話で、ドキドキの展開。

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セピデーは、エリについて、ある隠し事をしており、それが、少しづつ、わかるにつれ、みんなが、うろたえ、動揺していくことになります。現代に生きる中流階級の人たちの生活様式は変わったのかもしれない。でも、そこに息づく風習や結婚観が、まだまだ、女性には生きにくい世界なのかな、ということを感じさせます。

セピデーは、エリについて、よく知らないんだと思う。エリが、もらした悩みが、セピデー自身の中に抑圧されていた想いを、動かしたんでしょう。エリの尊厳を守るということで、おさまりをつけなければならない姿が、痛々しい。
エリとはいったい誰なのか?という謎をめぐる恐いスリラーだと思います。

彼女が消えた浜辺 ABOUT ELLY 2009年【イラン】116分
監督・脚本:アスガー・ファルハディ
出演:ゴルシフテェ・ファラハニー、タラネ・アリシュスティ、シャハブ・ホセイニ
、メリッラ・ザレイ
★★★★☆(4.5)イランでは「みなしごハッチ」が、人気あるのかな。「おしん」は、大ヒットしていましたもんね。
彼女が消えた浜辺 [DVD]

彼女が消えた浜辺_ABOUT_ELLY_Photo03
大空を自由に泳ぐ凧。
凧をあげる彼女の、うれしそうな顔が印象的だ。


◎イラン関連記事→『ペルセポリス/PERSEPOLIS』『少女の髪どめ

ネスト
2011年05月04日 (水) | 編集 |
ケビン・コスナー デビュー30周年記念作品、これが ( ̄□ ̄;)!!

ネストTheNewDaughter_DVD

妻と離婚したジョン(ケヴィン・コスナー)は、反抗期の娘ルイーサ(イバナ・バケロ)と7歳の息子サム(ガトリン・グリフィス)を連れてサウスカロライナ州マーシーへと引っ越す。田舎町の人里離れた場所にある一軒家で新生活がスタートするが、その家はどことなく普通の家とは違っていた。引っ越しの翌日、ルイーサは家のそばにある古墳のような奇妙な塚を発見する。

さみしさを抱える子供たちに、どう接していいのかわからないケビンパパ。特に、思春期の娘は、むずかしく、ちっとも、自分の言う事をきいてくれない。

実は、反抗期のように見えていた娘は「塚に棲むもの」に囚われてしまっていたのだった。
娘の変化に気づいてやれなかった父が、今、立ち上がる。
がんばれ、ケビンパパ!
がんばれ、ケビン!
ケビン・コスナー復活をかけ挑むかのような作品なのです。

監督は、『REC/レック』の脚本を手掛けたスペインの奇才ルイス・ベルデホ。製作は、『エクトプラズム怨霊の棲む家』のポール・ブルックス。アイルランドの作家ジョン・コナリーの短編小説を、ミステリアスな脚本に仕上げたのは新鋭脚本家ジョン・トラヴィス。
キャステングにも、気合いが、はいっており、娘役ルイーサには『パンズ・ラビリンス』の美少女イバナ・バケロ。その弟サムには『チェンジリング』でアンジェリーナ・ジョリーの息子を好演したガトリン・グリフィスを起用しています。

そういう作品なんですが、どうも、中途半端。ケビン・コスナー向けに家族ドラマ風に脚本を書いたせいだと思うけど、少女と塚のリンクを描き方が、しっくりこないなぁ。塚に棲む者たちもパッとしない。父親、娘、塚人、この三者の噛み合わせが悪い印象でした。

結果、人気低迷中のケビン・コスナーの現状を、
そのまま、現してるような作品になってしまいました。
正直言うと、ケビン主役じゃなく、少女主体の話にした方がスリルあると思う。

ネスト The New Daughter 2009年【米】108分
監督:ルイス・ベルデホ  原作:ジョン・コナリー
主演:ケビン・コスナー、イバナ・バケロ、ガトリン・グリフィス
★★★☆☆(3.0)
ネスト [DVD]
ネストTheNewDaughter_Photo1

◎関連記事 この3作品は、おすすめ
→『REC/レック』『エクトプラズム 怨霊の棲む家』『パンズ・ラビリンス

“神”級の可愛さ! 『マイティ・ソー』がキューピーとコラボ
2011年05月01日 (日) | 編集 |
映画『マイティ・ソー』も、
ローズオニールキューピーとコラボのようです。 (;´∀`)ゞ
“神”級の可愛さ! 映画『マイティ・ソー』がキューピーとコラボ

マイティ・ソーローズオニールキューピー1 マイティ・ソーローズオニールキューピー3
特典付き前売り券は、4月29日(金)より発売中!

ただ、マイティ・ソーって、ハンマー振り回す人で、アイアンマンの仲間らしい、ってことしか知りません。アイアンマン2が好評だったので、この映画も、キューピー作戦でいきたいみたいですね。

2011年の『マイティ・ソー』『キャプテン・アメリカ』を経て、2012年の『アベンジャーズ』につながる予定になっています。
※アイアンマン2に出てきたアベンジャーズ計画とは→こちら


映画「マイティ・ソー」について、調べてみたところ、
おっー、日本人俳優・浅野忠信さんが、出演するんですね。
主人公のソーに、オーストラリア俳優のクリス・ヘムズワースさん。ナタリー・ポートマンさん、アンソニー・ホプキンスさんら豪華俳優さんも出ます。日本人としては、浅野忠信さんの出番を楽しみにしたいですねー
浅野忠信ハリウッド進出第1作「マイティ・ソー」ついにベール脱ぐ

2011年7月2日から全国公開です。公式サイト
※前売り券取り扱い劇場、少ないです。

トランスフォームキューピー、ついてます。『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』第一弾前売り鑑賞券
2011年05月01日 (日) | 編集 |
今回は、キューピーさんが、バンブルビーに、トランスフォーム 。
なんで、マスクが!ちょっと、微妙な特典ですね(^^)

トランスフォーマー_ダークサイド・ムーン_特典キューピー
第一弾は、4月29日(金・祝)より発売開始してます。

これは『アイアンマン2』のアイアンキューピーと、おんなじ仕様ですね。アイアンキューピーは、マスク稼働に、意味があったけどなぁ。トランスフォームするキューピーには無理矢理感がありますが、鑑賞予定なので、買います。
キューピー特典をつけると、前売りの売れ行きが、いいんでしょうね。6月に、第二弾特典が予定されてるそうです。

◎特典キューピーシリーズ
→アイアンマン2の『アイアンキューピー』 →[リミット]の『リミピー