2011年05月16日 (月) | 編集 |
白と黒を演じ分けるというようなレベルではないのだ。
凄いものを観てしまった!

解説:「レスラー」のダーレン・アロノフスキー監督が、野心と嫉妬渦巻くバレエの世界を舞台に描く異色の心理スリラー。バレエに全てを捧げるヒロインが、新プリマの座を巡って熾烈な競争を繰り広げる中で、次第に精神的に追いつめられていく姿をスリリングに描き出していく。主演は、その迫真の演技が絶賛され、みごと自身初となるアカデミー賞主演女優賞にも輝いたナタリー・ポートマン。
ぞわ~~~っときましたよ。
芸術に身も心を捧げる者は、ここまで完璧を、目指すのか。
そこに、いきついた者にしか感じ取れないようなものを、
ナタリー・ポートマンの表情が、魅せます!
ちょっと、観て震える感じ。頭の中を、白鳥の湖が、鳴り響きます。

ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属している主人公二ナ。白鳥の湖では、四羽の白鳥にも選ばれたことのある技量、経験ともにあるダンサーだ。
素人目に見て、おそらく、白鳥の湖の中で、多くの観客の印象に残るのが、四羽の白鳥の場面と思います。コミカルに可愛らしく踊る姿が、音楽とともに記憶に残ってしまうのだ。主役じゃないけど、主役みたいな位置づけにある独特のポジションじゃないのかなぁ。多くのダンサーが、自分の力量は、ここまで、その思い出を、胸に去っていく。
二ナ自身も、この先を目指すのは、特別な人、みたいな思いを漫然と持っていたダンサーじゃないかと思う。ここから先は、肉体、精神の悲鳴に耐え、己を解放させた者だけが、到達できる世界なのだ。
先は、狂気と紙一重で、恐いです。全編、ナタリー・ポートマンの表情で語るかのよう。それが、妄想のような映像で、彼女が感じるであろう焦燥や重圧の恐怖が、ビシビシ伝わってきます。
黒鳥を官能的に表現、これは、素人でも思いつく企画で、どう見ても斬新じゃないですよね。二ナは、そんな簡単なことで苦しんでいるわけでないし、そんなことで悩むダンサーなどいない。
数々の先輩ダンサーが彩ってきた歴史と伝統のプログラム、その責任が自分にかかってくるんですよ。どうすれば、歴代プリマに並び、それを越える表現ができるのか。考えただけで、おかしくなりそうだし、ものすごい苦しみだと思います。
映像は、すべて、自分を見つめていくうえで起こる妄想イメージ。息苦しくなるような感覚が、よく出てますね。
ナタリー・ポートマン自身も、表現者として、バレエの神髄を極めなければならないところに、追い込まれていく作品でもあると思います。それが、主人公二ナと重なり、白鳥の湖とも重なっていくところが、素晴らしいですね。



白と黒は、横に並んでるわけではなく、縦に位置する。
自由に踊りたい、バレエダンサーとしての純粋なる欲望なのだ。
白鳥の湖というのは・・・母の悲しみの涙で満たされた湖を、白鳥の姿で泳ぐのが、オデット姫です。舞踏会で自由奔放に踊る黒鳥は、抑制から解放された、もうひとりのオデット姫の姿なんだと思います。
プロなら、誰しも踊りたいのは、当然、黒鳥でしょう。自分のすべてを魅せることができるからです。主人公ニナも、黒鳥になりたいという強烈な欲望を秘そませていたわけだと思います。
ブラック・スワン Black Swan 2010年【米】108分(パンフ600円)
監督:ダーレン・アロノフスキー「レスラー」
脚本:マーク・ヘイマン、アンドレス・ハインツ、ジョン・マクラフリン
出演:ナタリー・ポートマン(ニナ・セイヤーズ)、ヴァンサン・カッセル(トーマス・ルロイ)、ミラ・クニス(リリー)、バーバラ・ハーシー(エリカ・セイヤーズ)、ウィノナ・ライダー(ベス・マッキンタイア)
★★★★★ 大きいスクリーンの劇場で堪能しよう。
◎関連記事→今敏監督『PERFECT BLUE/パーフェクト ブルー』
凄いものを観てしまった!

解説:「レスラー」のダーレン・アロノフスキー監督が、野心と嫉妬渦巻くバレエの世界を舞台に描く異色の心理スリラー。バレエに全てを捧げるヒロインが、新プリマの座を巡って熾烈な競争を繰り広げる中で、次第に精神的に追いつめられていく姿をスリリングに描き出していく。主演は、その迫真の演技が絶賛され、みごと自身初となるアカデミー賞主演女優賞にも輝いたナタリー・ポートマン。
ぞわ~~~っときましたよ。
芸術に身も心を捧げる者は、ここまで完璧を、目指すのか。
そこに、いきついた者にしか感じ取れないようなものを、
ナタリー・ポートマンの表情が、魅せます!
ちょっと、観て震える感じ。頭の中を、白鳥の湖が、鳴り響きます。

ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属している主人公二ナ。白鳥の湖では、四羽の白鳥にも選ばれたことのある技量、経験ともにあるダンサーだ。
素人目に見て、おそらく、白鳥の湖の中で、多くの観客の印象に残るのが、四羽の白鳥の場面と思います。コミカルに可愛らしく踊る姿が、音楽とともに記憶に残ってしまうのだ。主役じゃないけど、主役みたいな位置づけにある独特のポジションじゃないのかなぁ。多くのダンサーが、自分の力量は、ここまで、その思い出を、胸に去っていく。
二ナ自身も、この先を目指すのは、特別な人、みたいな思いを漫然と持っていたダンサーじゃないかと思う。ここから先は、肉体、精神の悲鳴に耐え、己を解放させた者だけが、到達できる世界なのだ。
先は、狂気と紙一重で、恐いです。全編、ナタリー・ポートマンの表情で語るかのよう。それが、妄想のような映像で、彼女が感じるであろう焦燥や重圧の恐怖が、ビシビシ伝わってきます。
黒鳥を官能的に表現、これは、素人でも思いつく企画で、どう見ても斬新じゃないですよね。二ナは、そんな簡単なことで苦しんでいるわけでないし、そんなことで悩むダンサーなどいない。
数々の先輩ダンサーが彩ってきた歴史と伝統のプログラム、その責任が自分にかかってくるんですよ。どうすれば、歴代プリマに並び、それを越える表現ができるのか。考えただけで、おかしくなりそうだし、ものすごい苦しみだと思います。
映像は、すべて、自分を見つめていくうえで起こる妄想イメージ。息苦しくなるような感覚が、よく出てますね。
ナタリー・ポートマン自身も、表現者として、バレエの神髄を極めなければならないところに、追い込まれていく作品でもあると思います。それが、主人公二ナと重なり、白鳥の湖とも重なっていくところが、素晴らしいですね。



白と黒は、横に並んでるわけではなく、縦に位置する。
自由に踊りたい、バレエダンサーとしての純粋なる欲望なのだ。
白鳥の湖というのは・・・母の悲しみの涙で満たされた湖を、白鳥の姿で泳ぐのが、オデット姫です。舞踏会で自由奔放に踊る黒鳥は、抑制から解放された、もうひとりのオデット姫の姿なんだと思います。
プロなら、誰しも踊りたいのは、当然、黒鳥でしょう。自分のすべてを魅せることができるからです。主人公ニナも、黒鳥になりたいという強烈な欲望を秘そませていたわけだと思います。
ブラック・スワン Black Swan 2010年【米】108分(パンフ600円)
監督:ダーレン・アロノフスキー「レスラー」
脚本:マーク・ヘイマン、アンドレス・ハインツ、ジョン・マクラフリン
出演:ナタリー・ポートマン(ニナ・セイヤーズ)、ヴァンサン・カッセル(トーマス・ルロイ)、ミラ・クニス(リリー)、バーバラ・ハーシー(エリカ・セイヤーズ)、ウィノナ・ライダー(ベス・マッキンタイア)
★★★★★ 大きいスクリーンの劇場で堪能しよう。
◎関連記事→今敏監督『PERFECT BLUE/パーフェクト ブルー』
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