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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
白夜行-白い闇の中を歩く-
2012年05月31日 (木) | 編集 |
太陽が昇れば、
白夜行-白い闇の中を歩く-Photo1

陰は消える。
白夜行-白い闇の中を歩く-Photo2

東野圭吾原作「白夜行」の韓国版です。
原作「白夜行」は、二人が繋がってるのか、どんな想いなのか、そんなものは、いっさい書かれていない。淡々と進む物語に、底知れない不気味さを感じる異質のクライムサスペンスだ。本来、読者が想像する二人の感情を、むき出しに作ったのが、ドラマ版白夜行。哀しみのストーリーとして解釈し映像化している。韓国版は、日本のドラマ版をフィーチャーし再構成したような作品です。原作を読んだ方、日本のテレビ・映画版を観た方は、楽しめると思います。

主演は「私の頭の中の消しゴム」のソン・イェジンと「超能力者」のコ・ス。
3つのベッドシーン(ユ・ミホと婚約者、ヨハンとカフェの女主人、ユ・ミホと婚約者の娘)によって、この白夜行は表現されているような印象だな。

白鳥の湖がかかる中、いきなり、ユ・ミホ=ソン・イェジンのベッドシーンから始まる。気持ちは、ここにあらずといった悲しげな表情。どうやら、彼女は、この資産家の男と婚約をしており、念願の店を出させてもらう準備をしているようだ。結婚に当たり、資産家は、秘書に婚約者ミホの身元調査を命じている。

一方、殺害シーンより始まるのがキム・ヨハン=コ・ス。この事件と14年前の殺人事件に関連があるのではないかと睨んだドンス刑事は、ヨハンの姿を執拗に追い続ける。ヨハンは、現在、カフェの女主人に囲われているようだ。

秘書シヨンとドンス刑事、別々の人物を追う二人によって、ユ・ミホとキム・ヨハンの過去・関係が明らかにされていくわけだが、場面が交錯しすぎてて、わかりにくすぎ。こんがらがった糸を解いていくような場面バラバラ構成で、物語を知ってる人でも理解しにくい。

韓国版の主眼は、二人の哀しみの強調みたいだからなー。
雰囲気的に、理解できたらよし、ぐらいの感じで作っているのかな。

白夜行-白い闇の中を歩く-ポスター

韓国版では、14年前のユ・ミホ(もとはイ・ジア)を、中学生ぐらいの年齢にしてあって、あれっ、と思った。どうやら、14年前のユ・ミホと、婚約者の娘の年齢を近く設定しているのがポイントのようだ。

ミホは、再婚相手の娘を手なづけるため、この娘を陵辱しろという指示をヨハンに出す。ヨハンにとっては、それだけはできない、そこまでしなければならないのか、という行為だろう。影として生きてきたヨハンの苦しい胸の内が吐き出されることになる。
ミホにとっても、おぞましい記憶を蘇らせるもので、14年前の自分自身に言いきかすかのように、再婚相手の娘に語っていくことになる。
二人の想いを、再婚相手の娘にダブらせていってるみたいですね。

お互いに、顔を合わせず、
コインロッカーで連絡を取り合い、生きてきた二人。
あんな事件がなければ、普通に微笑み合う二人だったんだろうか。
二人の生きてきた様は、あきらかにはされない。
おそらくこうじゃないだろうか、その想いは感じとられる。
原作のテイストをうまく汲みとり、
哀しみの作品として、観応えあるものにしていたと思う。
ただ、刑事役に、過剰な哀しみは要らん。
疲れきったずたぼろな刑事という点では、いいんだけどな。
ドンス刑事が、息子を亡くす場面は、要らないでしょう。

白夜行-白い闇の中を歩く- White Night 2009年【韓国】135分
백야행 : 하얀 어둠 속을 걷다
監督:パク・シヌ/原作:東野圭吾 白夜行 (集英社文庫)
出演:ソン・イェジン(イ・ジア/ユ・ミホ)、コ・ス(キム・ヨハン)、ハン・ソッキュ(刑事ドンス)
★★★☆☆(3.0)
白夜行ー白い闇の中を歩くー [DVD]

◎関連記事→『白夜行』日本映画版 →『火車』 →『凍える牙』
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トライアングル/TRIANGLE
2012年05月27日 (日) | 編集 |
流れを変えてやる!
抜け出せない日々の繰り返しの中、母の思うことは。

トライアングル_メリッサ・ジョージPhoto1

解説:『0:34 レイジ34フン』では地下鉄の駅、『サヴァイヴ 殺戮の森』では森の中、と閉塞された空間で起こるスリリングな展開を得意とするクリストファー・スミス監督が、今回挑戦したのは豪華客船。海上の客船という逃げ場のない空間で展開する悪夢のようなサバイバルを、『30デイズ・ナイト』のメリッサ・ジョージが熱演する。巧妙に練り上げられた、先の読めないスリリングな展開から目が離せない。

友人に誘われ、ヨットセーリングに行くジェス。しかし、突然の嵐に襲われ、ヨットが転覆。命からがら助かった5人の前に、突然、ゴーストシップのような客船が現れる・・・

本年度観たサスペンスホラーでは、(おそらく)No.1になるだろうと、
思われるほどの秀作です。
オープニングの雰囲気からして、ばつぐん。
主人公ジェスは、母親らしいということが、ちらりと映る画面でわかる。でも、その彼女が、なぜか、一人でヨットハーバーにやってきて、仲間とクルージングに出て行く。記憶喪失のような、疲れてるような。しかも、彼女は、自閉症の子供を抱えてるらしい。だいじょうぶかなと、観てて、ものすごく不安につつまれてくる。

タイムスリップもののように、
事態のつじつまが把握できてくる話で、低予算らしい映画。
それの、魅せていき方が、よく練られてるなぁ。矢継ぎ早に進むテンポの良さ。何が起こってるのかわからない怪訝な雰囲気をノンストップで持続させてて、最初から最後まで、まったくだれることが、なかった。
まさに無間地獄。
それは、この物語の主人公の設定にも繋がってくるわけですね。
一日も休まらない日々に疲れ、ひとり追いつめられていたジェスが、なおも無間地獄に苦しめられる悲しい物語でもあるなと思う。

トライアングルPOSTER2

(ネタばれ)
ジェスと息子は、自動車事故で亡くなってしまったみたいですね。事故現場の側に立つジェスの姿は、幽体離脱したようなイメージだと思います。
やり直して、息子を取り返す。そのためには、悪い自分を消し去るしかない、との想いに囚われてしまった母は、ループ地獄をさまよっている。

トライアングル TRIANGLE 2009年【英/豪合作】99分
監督・脚本:クリストファー・スミス
出演:メリッサ・ジョージ(ジェス)、マイケル・ドーマン(グレッグ)、レイチェル・カーパニ(サリー)、ヘンリー・ニクソン(ダウニー) 、リアム・ヘムズワース(ヴィクター)、エマ・ラング(ヘザー)
★★★★★
トライアングル [DVD]
トライアングルPOSTER1

◎こういう劇場未公開映画も、おすすめします。
●『TIME CRIMES タイムクライムス』(2007劇場未公開)
タイムスリップもの。さえないおじさんが主人公なのが愉快。
●『LOOP ループ』(2006劇場未公開)
サンダンス映画祭で話題を集めたループシチュエーションスリラー。

君の望む死に方 WOWOW/ドラマW
2012年05月24日 (木) | 編集 |
前作「扉は閉ざされたまま」の続編。
石持浅海原作による同名小説のドラマ化です。

君の望む死に方_松下奈緒
碓氷優佳役は、黒木メイサから、松下奈緒にバトンタッチ。

ソル電機の社員研修が催され、若手の有望社員たちが高原の保養所に集合した。秘書の優佳(松下奈緒)は、数か月前に社長の日向(夏八木勲)に届いた「16年前の報いを受けよ」という脅迫状が気がかりだ。

実は、ソル電機社長・日向は、余命六カ月のガン告知を受けていた。
彼は、病死ではなく、自らが望む死の形をむかえたいと思惑。
その計画のために開いた若手社員研修会なのであった・・・

あの事件から3年、現在、優佳は、ソル電機社長秘書とて勤務しています。
行動心理学を学んだエキスパートなのだが、
前回の事件で精神的に病んでしまったんでしょうか、
始終、心配顔で、ちょっとした異変にも過剰反応。
なんか変だなぁ。
演出面のせいもあると思いますけど、
表情に乏しい松下奈緒じゃ役不足かなーと思う。

おじゃま虫、優佳が、
社長の計画を狂わせていく、といった筋書きで、
これは、事件を起こさせようとする者と、防ごうとする者の読み合い。
ズケズケと、ものを言うウザい秘書キャラが、
うまく事件に絡んでもらわないと、面白くないんじゃないかな。

結局、優佳は、推理するわけでもなく、
勝手に事件が進んでしまうだけなんですよ。
原作は読んでませんが、普通のミステリーみたいな脚本・演出にしてしまうと、面白いくないという気がしました。観終わって、もやもやする作品です。

2008年3月30日、WOWOW「ドラマW」で放送。
監督:香月秀之 原作:石持浅海 君の望む死に方 (祥伝社文庫)
出演:松下奈緒、夏八木勲、窪塚俊介、大杉漣、奥貫薫
★★☆☆☆ もっと、不真面目に作った方がいいでしょう。


赤い珊瑚礁 オープン・ウォーター
2012年05月22日 (火) | 編集 |
ワニの次は、サメ!
潜むワニに恐怖する「ブラック・ウォーター」を手がけたアンドリュー・トラウキ監督の作品で、舞台は、同じく、オーストラリアです。

赤い珊瑚礁オープン・ウォーター写真1
ストーリー:グレートバリアリーフ在住のルーク(ダミアン・ウォルシュ=ハウリング)は、小型船舶の配送業を営んでいた。そこに友人マット(ガイトン・グラントリー)とその恋人スージー(エイドリアン・ピカリング)、そしてマットの妹ケイト(ゾーイ・ネイラー)がバカンスにやって来る。彼らは穴場スポットでクルーズとダイビング楽しむが……。

ジョーズみたいな、大鮫は、襲ってきませんよ(^^)
リアルな海の恐怖を描く〈オープン・ウォーターシリーズ〉と、されています。

ヨットが座礁し、転覆。
このまま、船上で発見されるのを待つか、
それとも、島のあるだろう方向へと泳いでみるか、
彼らに決断が迫られる。

妹ケイトは、海の恐さをよく知っているからだろうか。
船に残ると主張するのだが・・・
潮の流れにまかせて、島に、泳ぎ着く保証はまったくないし、サメは、自分より大きなものを襲ってこないから、船にいた方が安全なのかもしれない。それとも、過去にいやな体験でもあるのか。

やたら、わめき怯えるケイトの、過去のいきさつなども描かれていくのかな、と思いきや、そういうのはなかった。ひたすら、静かな海の恐怖。一人、また一人と、サメの餌食になっていくだけなので、ちょっと単調でしたね。

(ネタばれ)
最後、ホラー映画みたいに、主人公女性が生き延びるが、
助かって、ほっ、というわけではない。
こんな岩場に、一人だけ、取り残されたら心細いです。
このあとのことを想像すると、それが、一番、恐かった。

赤い珊瑚礁 オープン・ウォーター THE REEF 2010年【豪】88分
監督・製作・脚本: アンドリュー・トラウキ
出演:ダミアン・ウォルシュ=ハウリング、ゾーイ・ネイラー、ガイトン・グラントリー、エイドリアン・ピカリング、キーラン・ダーシー=スミス
★★★☆☆(3.0)
赤い珊瑚礁 オープン・ウォーター [DVD]
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モンスターズ 地球外生命体
2012年05月12日 (土) | 編集 |
本作の製作費、たったの130万円。

モンスターズ 地球外生命体_Photo01

あの「パラノーマル~」も、135万円でしたね。
世界中が欲しているのは、新しいアイデア。違った絵。
一気にメジャーデビュー!も夢じゃない時代となってきました。
エドワーズ監督は新ハリウッド版『ゴジラ』の監督に大抜擢されています。

モンスターズ 地球外生命体_Photo02

序章:2009年、NASAの探査機が地球外生命体のサンプルの採取に成功したが、地球への帰還を目前に、メキシコ上空で大破。やがて、地球外生命体の増殖が始まり、メキシコの北半分が危険地帯として隔離される。6年後の現在においても、アメリカ・メキシコ両軍によるモンスター封じ込め作戦は続いている。


現地を取材中のカメラマン、コールダーに、ある本社指令が出される。それは、メキシコに足止めされている社長令嬢サマンサを無事にアメリカまで送り届けろというもの。
ほんでもって、いろいろありまして、彼ら二人は、モンスターが生息する危険地帯を横断し、アメリカを目指すことになるんですよ。
ここで、二人が見るものは、いったい何?といった物語です。

モンスターズ 地球外生命体_Photo03

(ネタばれ)

予算ないので、モンスターは、ほとんど出てきません。
要は、ダメダメな男とお嬢さんの異国の地の旅。危険地帯といえど、そこには、普通の人々の暮らしがある。地球外生命体も、そこで静かに暮らそうとしているようなのだ。そこに、日々、アメリカ軍による爆撃が続けられ、緊張状態となっている。二人が見るものは、モンスターよりも恐ろしい現実の姿だった。

やっとの思いで、アメリカ領土にはいったと思ったら、そこには、二人の心象風景かのような空しい廃墟が広がるだけ。地球外生命体の愛の営みに当てられた二人は、やっぱり、愛のある暮らしが一番と、ロマンチックムード漂い、キスをするのだが。ちょうど、その時、現実に引き戻すかのようにアメリカ軍救助隊が、到着。二人は引き離され、悲劇を向かえることになってしまうのだ。
うわぁー、( ̄~ ̄;) というようなオチだなぁ。

カメラマンは、各地を飛び回り、地に足をつけた生活をしていない男。社長令嬢は、気の進まない結婚から逃避をしている女。浮き世離れした二人のほのかな恋を使って、現状を描き出す、面白いアイデアだと思う。脚本に合わせたロケ地も厳選して、必要最低限のうまい絵作り・雰囲気作りをしていってるように感じる。

モンスターズ 地球外生命体_POSTER01

本監督は、ハリウッド版「ゴジラ」の監督に大抜擢されたそうなので、
がんばって作ってみて欲しいところだ。
ただ、「ゴジラ」って、核実験で生まれた日本の怪獣でしょ。
放射能問題という怪物。今こそ、日本で撮るべき映画だし、日本でこそ描ける映画だと思うんだけどなぁ。別に社会問題を描けとは言いません。ここ、日本から、面白い映画を撮ってやろうじゃないか、という心意気を見せて欲しいなぁ。
そんなこと感じました。『モンスターズ 地球外生命体』は、うまいアプローチと計算された演出で、出来てる映画だと思います(^^)

ウィキよりゴジラ引用
1954年11月3日、同年3月1日にビキニ島の核実験によって起きた第五福竜丸事件をきっかけに製作された、第1作“水爆大怪獣映画”『ゴジラ』が公開される。身長50メートルの怪獣ゴジラは人間にとっての恐怖の対象であると同時に、「核の落とし子」「人間が生み出した恐怖の象徴」として描かれた。また核兵器という人間が生み出したものによって現れた怪獣が、人間の手で葬られるという人間の身勝手さを表現した作品となった。


モンスターズ 地球外生命体 MONSTERS 2010年【英】94分
監督・脚本・撮影:ギャレス・エドワーズ
出演:スクート・マクネイリー(コールダー)、ホイットニー・エイブル(サマンサ)
★★★★☆(4.0)冒頭シーンをきちんと観ておくことをすすめます
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モンスターズ 地球外生命体_Photo04

アナザー プラネット/ANOTHER EARTH
2012年05月09日 (水) | 編集 |
もうひとつの地球。もうひとりの私。
2011年サンダンス映画祭で、
審査員特別賞、アルフレッド・P・スローン賞、W受賞をしています。

アナザー プラネット写真1
ストーリー:17 歳でMITに合格した秀才のローダはある夜、見たこともない惑星が空に浮かんでいるのを目撃する。それに気を取られた彼女は車の運転を誤り、妊婦と幼い子を死なせてしまう……。4年後、刑期を終えたローダは謝罪のために、被害者家族のジョンを訪ねる。だが、思わず身元を偽ってしまい、本来の関係をよそにジョンとの交流を深めていく。罪悪感に追い詰められていくローダだったが、謎の惑星は自分と同じ人間が存在する<もう一つの地球>だと知り――。

あの空に浮かぶ惑星に、
私と、そっくりな人が生きているんじゃないだろうか。
もし、そうなら、その人は、どんな人生を送っているんだろう。
輝かしい人生?それとも私のように自分を責め続けている?
その人に訊いてみたい。
今の私を見てどう思うか、私は、どうしたらいいのか。

罪を抱え続けている加害者ローザ、
事故から時が止まってしまった被害者遺族の夫、
登場人物の揺れ動いていく心情が、独特の雰囲気ある画面で描かれています。

違う人生が、あったんじゃないだろうか、
って、人は考えたりすることがあると思います。
SF的な背景を使って、うまく撮ってある小作品で、観て良かったです。
浮かぶ地球も幻想的でした。

アナザー プラネット_ブリット・マーリング
この作品は、主演をしているブリット・マーリングが、
監督と一緒に脚本を書いてるみたい。
ブリット・マーリングさんは、ジョージタウン大学で経済学を専攻、米金融大手ゴールドマンサックスでインターンを経験している時に、『どうして私はここにいるの?』と考えるようになり、自分のキャリアを考え直したそうです。
そのあたりの気持ちも脚本に反映されてくるもんなんでしょうね。

ラストシーンは、どう思ったのかは ↓に、ネタばれで書いときます。

アナザー プラネット写真3

(ネタばれ)
ラスト。ローザが見た人は、もうひとりのローザ。
あれっ?、というところで、映画は終わってしまいます。
最後の場面は、もうひとつの地球のローザが、こっちに飛んできたということじゃないかと思います。少し違う世界を持つもうひとつの地球では、被害者ジョンの妻、子供は生きていて、ローザ自身がロケットに乗ったということでしょう。

本編を、こっちの地球のローザが映っているのか、向こうの地球のローザが映っているのか、どっちなんだろう、と思いながら観てました。
ローザは、もし、と思うことを捨て、今の自分を、受け入れたのでしょう。自分を偽らなくなった今の彼女の心には、もうひとつの地球、もうひとりの私は存在しない、ということだと思います。

今、ローザは、はっきりと自分自身を持った。
二人の別の女性が向かい合ったラストイメージでしょう。

アナザー プラネット ANOTHER EARTH 2011年【米】93分劇場未公開
監督:マイク・ケイヒル 
脚本:マイク・ケイヒル、ブリット・マーリング
出演:ブリット・マーリング…ローダ/ウィリアム・メイポーザー…ジョン
★★★★☆(4.0)
アナザー プラネット [DVD]
アナザー プラネットDVD
原題ANOTHER EARTHを、アナザー プラネットという邦題に、なぜ、変えたんでしょう。それが、よくわからないですねー(^^)

自分自身を認識して
自分を知ることは可能か?
自分に何を伝え
自分から何を学ぶのか?
自分を外から見た時に
我々は何を見たいのか?
本当は?
ウィンターズ・ボーン/WINTER'S BONE
2012年05月05日 (土) | 編集 |
ここで、生きる。

ウィンターズ・ボーン写真1
サンダンス映画祭グランプリ・脚本賞受賞。
ストーリー:アメリカ中西部ミズーリ州のオザーク高原。現代のアメリカ社会から見捨てられたかのような貧しい寒村。心を病んだ母と幼い弟妹を抱え、一家の大黒柱として懸命に生活を切り盛りする17歳の少女、リー(ジェニファー・ローレンス)。とうの昔に家を出ていた父が、自宅を保釈金の担保にしたまま失踪してしまい、自宅差し押さえの窮地に陥る。家と家族を守るため、自ら父親の捜索に乗り出すが、親族はじめ村人たちは父親の存在をタブー視するようにリーを追い返す。それでもひるむことなく、ついには危険な闇社会にも足を踏み入れようとするリーだったが。

ここは、陽が決して当たることのない場所、かのように、
曇り空の寒々とした光景が続く。
血族が集まり住んでいるような村で、
リーの父の消息を探してはいけないという暗黙の了解があるようなのだ。
男達は、口をつぐみ、奥に隠れてる中、
女達の、現実を生きていく覚悟、連帯感を、感じさせます。

17歳の少女が、この村の掟を体に刻みこんでいくような内容。口に出す事もできない少女の苦しみを「あの日、欲望の大地で」のジェニファー・ローレンスが、表現していて素晴らしい。

映画の舞台になっているのが、ミズーリ州のオザーク高原。ここに住む山の民は、ヒルビリーと呼ばれています。開拓史の中で、スコットランド系入植者は、力を持つイギリス系に差別され、農耕不適切地に追いやられていったという歴史があります。ここに住む子孫は、反社会的な生業で、生計を立てているらしい。

原作者は、ダニエル・ウッドレル。
(著者略歴:ミズーリ州オザーク地方生まれ。17歳になった週に学校を離れ海兵隊に入隊。27歳でカンザス大学卒業後、アイオワ大学創作科に学び、文学修士取得。卒業後、将来性のある文学者の卵を支援するテキサス大学ミッチェナー・センターから1年間の奨学金を取得。本作『ウィンターズ・ボーン』は8作目。


わずか17歳で家族を支えなくてはならなくなった少女リー。うすうすわかっていても、この年齢では、世の掟、しくみ、なんてわからないものですよね。なぜ、こんな目に合わされるのか、現実を知っていく恐れ、戸惑い。そして、家族、絆の大切さを、実感していく。貧困、過酷な状況を舞台に、少女の気持ちの変化、自立をうまく感じ取らせていってるなぁ、と思います。ドラマは、彼女の中にあるといった感じですね。

ウィンターズ・ボーン WINTER'S BONE 2010年【米】100分
監督・脚本:デブラ・グラニック
原作:ダニエル・ウッドレル 「ウィンターズ・ボーン
出演:ジェニファー・ローレンス(リー)、ジョン・ホークス(ティアドロップ)、デイル・ディッキー(メラブ)、ギャレット・ディラハント(バスキン保安官)、ローレン・スウィートサー(ゲイル)、シェリル・リー(エイプリル)
★★★★☆(4.5)
ウィンターズ・ボーン スペシャル・エディション [DVD]
ウィンターズ・ボーンポスター
妹に語り語るような歌のエンドロールの終わりに、
やっとカラーな画面が現れる。わずかな希望なんだろうか。


リトリート・アイランド
2012年05月01日 (火) | 編集 |
招かざる客。

リトリート・アイランド写真1
ストーリー:大西洋に浮かぶブラックホーム島を休暇で訪れた、ケイトとマーティン夫妻。他に誰もいない孤島での静かな生活は、ジャックという男の出現により突然の悪夢に姿を変える。軍人だというジャックによれば、島の外界は未知のウィルスによる伝染病に汚染され、生き残るためには島を封鎖するしかないというのだ。

ジャックの語る“世界の終り”は、真実なのか?狂気が生んだ妄想なのか?
そして明かされる、驚愕の真相とは?
「シャッター・アイランド(アメリカ)」「シャッター・ラビリンス(スペイン)」に続く、精神孤島シリーズ第三弾(イギリス)みたいなもんかな。

シャッター・アイランドDVDジャケ100 シャッター・ラビリンスDVDジャケ100 リトリート・アイランドDVDジャケ100

ぎくしゃくしている二人の関係。
それを修復するために二人はやってきた。
そこに、妄想狂みたいな男が加わってきて・・・
ここは、絶海の孤島であり、
外に連絡をつけることもできない。
出演者三人で織りなす密室劇です。

世界は終わった、と突然、言われても、そんなもん、信じられんでしょ。
しかも、ジャックという男は、自分の命令に従えと、偉そうに言うし。
刺激しないように振る舞おうと言う夫マーティンに、
なんで、という態度の妻ケイト。
どうしたらいいねん、と、いらいら~とした気持ちで進んでいきますね。

英国製作なので、無茶苦茶な反撃もなく、静かで暗~い雰囲気。
そういう渋い三人が、キャスティングされてますね。
実は、劇場未公開ものなので、もっと、つまんないオチが待ってるのかな、と思って観てました。ほぉ~こうきたか、という感じのオチでしたし、じっくり観れる1本でした。このレベルなら、十分満足です。

リトリート・アイランド RETREAT 2011年【英】90分劇場未公開
監督:カール・ティベッツ 脚本:カール・ティベッツ、ジャニス・ハレット
出演:タンディ・ニュートン/キリアン・マーフィ/ジェイミー・ベル
★★★☆☆(3.8)
リトリート・アイランド [DVD]
リトリート・アイランドポスター