fc2ブログ
観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
ウィンターズ・ボーン/WINTER'S BONE
2012年05月05日 (土) | 編集 |
ここで、生きる。

ウィンターズ・ボーン写真1
サンダンス映画祭グランプリ・脚本賞受賞。
ストーリー:アメリカ中西部ミズーリ州のオザーク高原。現代のアメリカ社会から見捨てられたかのような貧しい寒村。心を病んだ母と幼い弟妹を抱え、一家の大黒柱として懸命に生活を切り盛りする17歳の少女、リー(ジェニファー・ローレンス)。とうの昔に家を出ていた父が、自宅を保釈金の担保にしたまま失踪してしまい、自宅差し押さえの窮地に陥る。家と家族を守るため、自ら父親の捜索に乗り出すが、親族はじめ村人たちは父親の存在をタブー視するようにリーを追い返す。それでもひるむことなく、ついには危険な闇社会にも足を踏み入れようとするリーだったが。

ここは、陽が決して当たることのない場所、かのように、
曇り空の寒々とした光景が続く。
血族が集まり住んでいるような村で、
リーの父の消息を探してはいけないという暗黙の了解があるようなのだ。
男達は、口をつぐみ、奥に隠れてる中、
女達の、現実を生きていく覚悟、連帯感を、感じさせます。

17歳の少女が、この村の掟を体に刻みこんでいくような内容。口に出す事もできない少女の苦しみを「あの日、欲望の大地で」のジェニファー・ローレンスが、表現していて素晴らしい。

映画の舞台になっているのが、ミズーリ州のオザーク高原。ここに住む山の民は、ヒルビリーと呼ばれています。開拓史の中で、スコットランド系入植者は、力を持つイギリス系に差別され、農耕不適切地に追いやられていったという歴史があります。ここに住む子孫は、反社会的な生業で、生計を立てているらしい。

原作者は、ダニエル・ウッドレル。
(著者略歴:ミズーリ州オザーク地方生まれ。17歳になった週に学校を離れ海兵隊に入隊。27歳でカンザス大学卒業後、アイオワ大学創作科に学び、文学修士取得。卒業後、将来性のある文学者の卵を支援するテキサス大学ミッチェナー・センターから1年間の奨学金を取得。本作『ウィンターズ・ボーン』は8作目。


わずか17歳で家族を支えなくてはならなくなった少女リー。うすうすわかっていても、この年齢では、世の掟、しくみ、なんてわからないものですよね。なぜ、こんな目に合わされるのか、現実を知っていく恐れ、戸惑い。そして、家族、絆の大切さを、実感していく。貧困、過酷な状況を舞台に、少女の気持ちの変化、自立をうまく感じ取らせていってるなぁ、と思います。ドラマは、彼女の中にあるといった感じですね。

ウィンターズ・ボーン WINTER'S BONE 2010年【米】100分
監督・脚本:デブラ・グラニック
原作:ダニエル・ウッドレル 「ウィンターズ・ボーン
出演:ジェニファー・ローレンス(リー)、ジョン・ホークス(ティアドロップ)、デイル・ディッキー(メラブ)、ギャレット・ディラハント(バスキン保安官)、ローレン・スウィートサー(ゲイル)、シェリル・リー(エイプリル)
★★★★☆(4.5)
ウィンターズ・ボーン スペシャル・エディション [DVD]
ウィンターズ・ボーンポスター
妹に語り語るような歌のエンドロールの終わりに、
やっとカラーな画面が現れる。わずかな希望なんだろうか。

スポンサーサイト