2012年06月21日 (木) | 編集 |
恐ろしいほど重いものがありながらも、
映像作品として、よく出来てるな、と思うなぁ。
ミステリー物語としても堪能できる、力作ですね。

解説:レバノン出身の劇作家ワジディ・ムアワッドの戯曲 「Incendies」を、「渦」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化。民族や宗派間の抗争、社会と人間の不寛容がもたらす血塗られた歴史を背景に、その理不尽な暴力の渦中にのみ込まれていったヒロインの魂の旅を描く。「パラダイス・ナウ」のベルギー人女優ルブナ・アザバルが主演女優賞に輝いたのを始め、カナダ版アカデミー賞に当たるジニー賞で8部門を制覇、米国アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた魂を揺さぶる作品である。
ずっと世間に背を向けるように生きてきた母ナワル(ルブナ・アザバル)が、亡くなった。双子の姉弟であるジャンヌ(メリッサ・ デゾルモー=プーラン)とシモン(マキシム・ゴーデット)にも心を開くことなく。

風変わりな母だったみたいですね。
そんな母は、謎めいた遺言と二通の手紙を残していた。
二通の手紙。それは、ジャンヌとシモンが存在すら知らされていなかった兄と父親に宛てられていた。その兄と父親を探し出し手紙を渡したのち、双子に宛てられた手紙を開封せよ、というものだった。
奇妙な遺言に導かれ、この双子が知る事になるのは、
壮絶としかいいようのない母ナワルの半生、驚愕するような真実であった。
観終わって、
こんなこと、とても受け止めきれない、
愕然とし、突き落とされたような気持ちになりました。
双子にとっては、途中の段階で、おぞましく、震えがきそうなことを知ったうえ、これですから、もう、どうしようかと思いました。
以下、ネタばれで書きますので、未見の方は、注意ください。

この瞬間、もう我が子は生きていない、
襲いかかる憎しみに、彼女は支配されてしまったんだろうなぁ。
憎しみの戦士、歌う女と呼ばれていた母。母は、愛する子供のために、自分の半生、出生の秘密を、地獄までも抱えていくという強い意志を持っていたはずだ。あの日、母に何が起こったのか、なぜ、母はこの真実を伝えようと決めたのか、
再び、それをたどっていくうちに、
次第に、心が穏やかになっていくという感じがありました。
観終わって、全停止するようなラスト。ぐちゃぐちゃになったあと、再び、自分の中で、ゆっくりと物語が動き始めるかのような作品ですね。大爆発の場面、双子が全力で泳ぐ場面、水を感じさせるプールの場面など、インスピレーション的な画面の啓示は印象的。

差出人、娼婦72番から、父親宛の手紙に、
“じきにあなたは沈黙する”とある。
差出人、収容番号72番から、息子宛の手紙に、
“何があってもあなたを愛し続ける”とある。
そして、双子宛には、
“一緒にいることが大事”と書かれている。
母ナワルは、子供達といっしょにいれなかったことを悔い、憎しみをすべて自分が引き受け、炎に焼かれたのだと思う。心からの愛だけを残して。
子たちが、母の苦しみ、真の母の想い、を知り、自分の生まれてきた意味を知るのは、よかったことと思います。が、これは、あまりにも重い。どう生きていったらいいのか、重圧に押しつぶされそうになるかもしれない。でも、私は、母ナワルの子。強靭な愛と意志が、子供達を支えてくれると信じたいです。
灼熱の魂 INCENDIES 2010年【カナダ/フランス】131分
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 脚本:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作戯曲:ワジディ・ムアワッド
出演:ルブナ・アザバル(ナワル・マルワン)、メリッサ・デゾルモー=プーラン(ジャンヌ・マルワン)、マキシム・ゴーデット(シモン・マルワン)、レミー・ジラール(公証人ジャン・ルベル)
★★★★★
灼熱の魂 [DVD]
映像作品として、よく出来てるな、と思うなぁ。
ミステリー物語としても堪能できる、力作ですね。

解説:レバノン出身の劇作家ワジディ・ムアワッドの戯曲 「Incendies」を、「渦」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化。民族や宗派間の抗争、社会と人間の不寛容がもたらす血塗られた歴史を背景に、その理不尽な暴力の渦中にのみ込まれていったヒロインの魂の旅を描く。「パラダイス・ナウ」のベルギー人女優ルブナ・アザバルが主演女優賞に輝いたのを始め、カナダ版アカデミー賞に当たるジニー賞で8部門を制覇、米国アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされた魂を揺さぶる作品である。
ずっと世間に背を向けるように生きてきた母ナワル(ルブナ・アザバル)が、亡くなった。双子の姉弟であるジャンヌ(メリッサ・ デゾルモー=プーラン)とシモン(マキシム・ゴーデット)にも心を開くことなく。

風変わりな母だったみたいですね。
そんな母は、謎めいた遺言と二通の手紙を残していた。
二通の手紙。それは、ジャンヌとシモンが存在すら知らされていなかった兄と父親に宛てられていた。その兄と父親を探し出し手紙を渡したのち、双子に宛てられた手紙を開封せよ、というものだった。
奇妙な遺言に導かれ、この双子が知る事になるのは、
壮絶としかいいようのない母ナワルの半生、驚愕するような真実であった。
観終わって、
こんなこと、とても受け止めきれない、
愕然とし、突き落とされたような気持ちになりました。
双子にとっては、途中の段階で、おぞましく、震えがきそうなことを知ったうえ、これですから、もう、どうしようかと思いました。
以下、ネタばれで書きますので、未見の方は、注意ください。

この瞬間、もう我が子は生きていない、
襲いかかる憎しみに、彼女は支配されてしまったんだろうなぁ。
憎しみの戦士、歌う女と呼ばれていた母。母は、愛する子供のために、自分の半生、出生の秘密を、地獄までも抱えていくという強い意志を持っていたはずだ。あの日、母に何が起こったのか、なぜ、母はこの真実を伝えようと決めたのか、
再び、それをたどっていくうちに、
次第に、心が穏やかになっていくという感じがありました。
観終わって、全停止するようなラスト。ぐちゃぐちゃになったあと、再び、自分の中で、ゆっくりと物語が動き始めるかのような作品ですね。大爆発の場面、双子が全力で泳ぐ場面、水を感じさせるプールの場面など、インスピレーション的な画面の啓示は印象的。

差出人、娼婦72番から、父親宛の手紙に、
“じきにあなたは沈黙する”とある。
差出人、収容番号72番から、息子宛の手紙に、
“何があってもあなたを愛し続ける”とある。
そして、双子宛には、
“一緒にいることが大事”と書かれている。
母ナワルは、子供達といっしょにいれなかったことを悔い、憎しみをすべて自分が引き受け、炎に焼かれたのだと思う。心からの愛だけを残して。
子たちが、母の苦しみ、真の母の想い、を知り、自分の生まれてきた意味を知るのは、よかったことと思います。が、これは、あまりにも重い。どう生きていったらいいのか、重圧に押しつぶされそうになるかもしれない。でも、私は、母ナワルの子。強靭な愛と意志が、子供達を支えてくれると信じたいです。
灼熱の魂 INCENDIES 2010年【カナダ/フランス】131分
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 脚本:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作戯曲:ワジディ・ムアワッド
出演:ルブナ・アザバル(ナワル・マルワン)、メリッサ・デゾルモー=プーラン(ジャンヌ・マルワン)、マキシム・ゴーデット(シモン・マルワン)、レミー・ジラール(公証人ジャン・ルベル)
★★★★★
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