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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
サラの鍵
2012年07月07日 (土) | 編集 |
私は、サラに出会った

サラの鍵_Poster

解説:ナチス占領下のパリで行われたユダヤ人迫害、ヴェルディヴ事件を題材に、過去と現代を交錯させながらユダヤ人一家に起こった悲劇を描く感動的なドラマ。世界中で 300万部を売り上げたタチアナ・ド・ロネの原作を基に『マルセイユ・ヴァイス』のジル・パケ=ブランネール監督が映画化。『イングリッシュ・ペイシェント』のクリスティン・スコット・トーマスが、アウシュビッツについて取材するジャーナリストを好演。次第に解き明かされる衝撃の事実とラストに胸を打たれる。

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一斉検挙の朝、サラは弟を納戸に隠して鍵をかけた。すぐに戻れると信じて。
STORY:夫と娘とパリで暮らすアメリカ人女性記者ジュリアは、45歳で待望の妊娠をはたす。が、夫から受けたのは思いもよらぬ反対だった。そんな人生の岐路に立った彼女は、ある取材で衝撃的な事実に出会う。夫の祖父母から譲り受けたアパートのかつての住人は、1942年パリのユダヤ人迫害事件で、アウシュビッツに送られたユダヤ人家族だったのだ。さらにその一家の長女、10歳のサラが収容所から逃亡したことを知る。


サラの鍵_写真4

ヴェルディヴ事件。パリに暮らすユダヤ人1万3千人以上が、フランス警察により連行され、室内競輪場に押し込められあと、ナチス収容所へと送られた。ということだが、これは歴史の事実でしかない。

そこには、
名があり、
顔があり、
その人の人生があるのだ。

サラの鍵_写真5
劇中でも、少女サラは、
収容所看守に「私は、サラ・スタルジンスキー」と、はっきり名乗る。
ジュリアの中で、少女サラが次第に輪郭を帯び、動き出す。

サラの鍵_写真2

こういった忌まわしい戦争犯罪は、犠牲になられた方がこの世に存在したこそさえ、葬り去ることになってしまう、むごいことだと思いました。
ジュリアは、サラの半生をたどっていこうとするが、
皆一様に、重い口を開きたがらない。
私は余計なことをしているのか、
私はなんのためにサラに会おうとしているのか。
ジュリアの表情を見ながら、
彼女の心の揺れを想像していく映画で、非常によく出来てます。
ジュリアがサラに対して今どういう感情を持っているのか、というのが、セリフとしては出てこない。言葉でなく、クリスティン・スコット・トーマスの表情で見せていってるんですけど、そこは、渋いですよね。

サラの鍵_写真3

一生消えることのない罪を背負ってしまった少女サラ。
なにより、ジュリアは、サラに会いたかったんだと思う。
そして、サラの生きた証を残してあげたかった。

サラは、我が子を守るため、自分のいっさいの素性を隠して亡くなっていた。
時を経て、息子ウィリアムに、今、はっきりと、
私は、あなたの母サラ・スタルジンスキー、だと名乗ることができたのは、
良かったことと思います (T_T)


我が子に、サラの名前をつけるのは、ちょっとやりすぎ、と思ったな。
子供からすると、お母さんの想いはわかるけど、私はサラじゃない、私は私、と言うでしょうね。違う形で、サラのことを伝えればいい話ですよね。この部分は、繋がっていく、という作品自体のメッセージを表現しているんでしょうね。

サラの鍵 Elle s'appelait Sarah 2010年【仏】111分
監督/脚本:ジル・パケ=ブレネール
原作:タチアナ・ド・ロネ サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)
出演:クリスティン・スコット・トーマス(ジュリア・ジャーモンド)、メリュジーヌ・マヤンス(サラ・スタルジンスキ)、ニエル・アレストラップ(ジュール・デュフォール)、 エイダン・クイン(ウィリアム・レインズファード)、フレデリック・ピエロ(ベルトラン・テザック)
★★★★★ 観応えありました
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