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テイク・シェルター
2012年08月24日 (金) | 編集 |
心の中に沸き上がる暗雲。
みんな、なぜ、平然としていられるんだ。未曾有の嵐が来るのに!
現代の社会不安を背景に描かれていく心理スリラーです。

テイク・シェルターポスター

あらすじ:田舎町の工事現場で働くカーティス(マイケル・シャノン)は、耳の不自由な娘ハンナ(トーヴァ・スチュワート)と妻サマンサ(ジェシカ・チャステイン)と慎ましくも幸せに暮らしていたが、あるときを境に、たびたび大災害の悪夢に悩まされるようになる。そのあまりに恐ろしいイメージは日ごとにリアルさを増していき、やがてその恐怖に取り憑かれてしまうカーティス。近いうちに必ずや地球規模の天災が発生すると信じてやまない彼は、家の近くに深く穴を掘り、避難用シェルター作りに没頭し始めるが、家族や友人はまったく彼の行動に理解を示さず、むしろ不信感を募らせる一方だった。果たして、カーティスの常軌を逸した言動は哀れな妄想なのか、それとも……。

脚本・監督のジェフ・ニコルズが、本作を書き始めたのが、新婚1年目の2008年の夏だそうです。結婚生活が始まった時期に、リーマンショックによる世界的金融危機が起こり、幸せと不安が交錯するような心情だったんでしょうね。
経済的なこと、老いに対する漠然とした不安、を抱えていたのは、人生の中で失いたくないものをとうとう得たことから生まれたものだった。「不安は失うものをもった時に生まれる」。その感情を主人公カーティスに反映させているそうです。

テイク・シェルター写真1

ローンを抱えている上に、シェルターのために、さらに借金。娘の手術日が迫っているのに失業、健康保険さえ失ってしまう。奇異な目で見られ、孤立しても、カーティスは、ひたすら、シェルター作りに没頭していく。
ひとりで抱え込み、ひとりで憔悴していくカーティスを、マイケル・シャノンが、うまく演じていて、狂乱し、とんでもないことを起こすのではないかと、ものすごく不安な気持ちで観ていけました。
相談もせずに勝手なことをする夫に、妻サマンサは、爆発しそうになりますが、ぐっと我慢。家族を守るため、という夫の行動は異様すぎるけど、なんとか合わせながら、見守っていく。

何事も起こらないけど、漠然とした不安という恐怖が、とても重苦しいです。

テイク・シェルター写真2

(ラスト、ネタばれ)

ラストシーンは、現実に起こっていることでなく、予兆かと考えます。
この世に生きていて、
今、この瞬間にも未曾有の大災害が起こり、死ぬかもしれないのです。
大切なのは、シェルターではなく、家族の信頼。
今度の予兆は、今までと違い、娘も妻も感じるものだった。
信頼が見せた予兆でしょう。
そこにいきつく物語であったんだろうと思います。

医師が勧める家族が離れての集中治療。これに対する未来の暗示が、ラストの暗雲かと思います。予兆が見えた家族は、集中治療を断り、家族で乗り越えることを決意するんだろうな、という最後かな。奥さんの厳しい表情が物語ります。
なるほど、というラストのように感じました。

テイク・シェルター Take Shelter 2011年【米】120分
監督・脚本:ジェフ・ニコルズ
出演:マイケル・シャノン(カーティス)、ジェシカ・チャステイン(妻サマンサ)、トーバ・スチュワート(娘ハンナ)
★★★★☆(4.0)
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