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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
君への誓い
2012年09月28日 (金) | 編集 |
私は、私らしく瞬間を積み重ねてきたんだろうか。

君への誓い_レイチェル・マクアダムス

解説:「きみに読む物語」のレイチェル・マクアダムスと「親愛なるきみへ」のチャニング・テイタムが主演するラブストーリー。幸せいっぱいの新婚生活をスタートさせたばかりのレオとペイジ。そんな矢先、2人は自動車事故に遭い、一命は取り留めたものの、ペイジはちょうどレオと出会って以降の記憶を失ってしまう。レオと結婚した事実に戸惑うばかりのペイジ。しかも彼女には、元婚約者のジェレミーと別れた記憶さえなかった。

これは、以前、アンビリバボーで観たことありました。記憶を失った妻の人生には、自分は存在しない、そうならば今の彼女を愛すればいいと、再び、見知らぬ二人から交際を始め、結婚することに至った献身的な愛の物語。
アメリカでは、有名な話みたいなので、多く紹介されているんだろう。映画は、この実話に、脚色を加え、記憶を失った女性が、本当の自分を見つけていくドラマにしてありました。

記憶というのは、自分というものを形づくっているものなのですね。
ペイジは、高校時代まで、タイムスリップしてしまったような状態で、
なおかつ、その部分の記憶が、すっぽり抜け落ちてしまっている。

以前の君は、こうだった、そうじゃなかった、と言われても、
そんなこと知らんわ、ってなるよね。
今の自分しかないわけだから、
人の知る自分の過去に、いらつくことになるだろうな。

法律を勉強してはずなのに芸術家になっていたり、
食べ物の好みや、趣味、生活まで変わってるとか、極端ですねー。
その人の持つ感性は、記憶とは関係なさそうだけど。

君への誓い_レイチェル・マクアダムス2

記憶は戻らないけど、ペイジの歩んでいく人生は、変わらないみたいですね。
あの時、自立し、自分で選択をしてきたことが、わかったわけだし、
家族の関係も修復でき、事故が、いい方向へ向かったわけですね。
再び、今のペイジとレオとして、おつきあいが始まっていく。
さぁ、これから、という素敵なラストになってたと思います。

君への誓い The Vow 2012年【米】104分
監督:マイケル・スーシー
出演:レイチェル・マクアダムス(ペイジ)、チャニング・テイタム(レオ)、サム・ニール、スコット・スピードマン、ジェシカ・ラング
★★★☆☆(3.5)
君への誓い_Poster
君への誓い [DVD] 君への誓い [Blu-ray]

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マンイーター
2012年09月27日 (木) | 編集 |
マンハントが始まる。

マンイーター_Poster

解説:長編デビュー作『ウルフクリーク猟奇殺人谷』が世界的に評判となったオーストラリアの新鋭グレッグ・マクリーン監督が贈る戦慄の生物パニック・ホラー。人喰い巨大ワニが棲息する流域の小島で孤立した観光客たちを待ち受ける衝撃の運命をサスペンスフルに描く。主演は「サイレントヒル」のラダ・ミッチェル、マイケル・ヴァルタン。また、オーストラリア出身のミア・ワシコウスカやオーストラリアで活動していた時代のサム・ワーシントンなどブレイク前の若手2人の出演もみどころ。

この映画は、2006年製作ですが、今や、トップスターとなったサム・ワーシントン、ミア・ワシコウスカが、出演してたせいでしょうか。2012年に日本劇場公開され、ようやく日の目を浴びた作品です。
レンタルは、アンレイテッド・バージョンで、
劇場公開版より、7分長いらしいので、お得ですよ(^^)

マンイーター_グレッグ・マクリーン
監督さんとワニ。

描かれるのは、オーストラリアのワイルドな恐怖です。
アボリジニの歌とともに幕開け、オーストラリアの世界遺産、ノーザンテリトリーにあるカカドゥ国立公園の雄大な光景が映し出されていきます。旅行者の皆さんは、こんなイメージを持って来るんでしょうね。
しかし、ここは、ディズニーランドじゃない。
水牛のように、一瞬にして、ワニにパクッとやられます。
ひとたび、何か起これば、いとも簡単に命を落とす場所なのです。

マンイーター_ラダ・ミッチェル

現地ガイド・ケイトと愛犬ケヴィンの乗るリバー・クルーズ船スザンヌ号は、観光中、救命信号弾を目撃し、コースを変更し、上流の聖地へ。突如、水中からの攻撃を受け船が沈み、川にある小島に辿り着く。無線は故障、もちろん、携帯電話も使えない。満ち潮になる前に、対岸に辿り着かねば。
巨大ワニの獲物となった人たちは、はたして脱出できるのか、というお話。

マンイーター_Photo2

ロケならではの魅力ですね。
序盤で、瞬殺の水牛、川にうようよしてるワニ、を見せられてるので、
なんか、ものすごく恐い。
音もなく、次々と人が消えていきます。
主役でさえ、容赦なくやられるのは、ビックリですね。
時折、現地の動物や虫が映るのも、なかなかいい。

ケヴィンという犬をメンバーにいれてあるのは、考えてあったな。
犬を犠牲にしよう、と暗黙の了解みたいな雰囲気になってくるのは、恐いな。

CGながら巨大ワニも、最期に、きっちり出してくれるし、
エンドロールに、のどかな歌が流れてきて、決まったという感じだった。
人間が死のうが、大自然の営みのひとつにすぎないのだ。
あっさり感みたいなものを通しているのが、リアルだと思います。

マンイーター ROGUE 2006年【米/豪】92分
監督・脚本:グレッグ・マクリーン
出演:ラダ・ミッチェル、マイケル・ヴァルタン、サム・ワーシントン、ミア・ワシコウスカ、バリー・オットー
★★★☆☆(3.5)
マンイーター アンレイテッド・バージョン [DVD]
マンイーター_Photo3

◎ワニもの映画→『ブラック・ウォーター』『カニング・キラー 殺戮の沼

レディ・エージェント 第三帝国を滅ぼした女たち
2012年09月24日 (月) | 編集 |
第二次世界対戦下、命をかけて戦った女性たちがいた。
実在した人物をベースに、戦争アクション脚色で見せる女性たちのドラマです。当時、戦った名も無き女性たちに捧げるといった作品で、タイトルバックに、当時のモノクロ写真が映し出されていきます。

レディ・エージェント_Photo1

あらすじ:レジスタンス活動に身を投じるルイーズは、夫が殺された後、ロンドンへと亡命し、チャーチルが指揮する諜報・破壊工作の秘密機関、SOEのメンバーとなった。彼女は、早速、最初の指令を受取るがそれはノルマンディー上陸の準備を進めるなかでドイツ軍の手に落ちてしまった英国諜報員を脱出させるというものだった。ルイーズはまず、作戦の要件にかなう女性たちを選抜し、突撃部隊を組織することになる。

レディ・エージェント_Poster
劇場未公開DVD(2008年フランス映画祭で「暗闇の女たち」として上映)

主演は、ソフィー・マルソー(ルイーズ)。自分が引き入れてしまった女性メンバーたちに、非情な命令を実行させるため、クールな表情に徹しなければならない役。

ルイーズが選んだのは、人を平然と殺す度胸のある娼婦ジャンヌ、爆発物を研究しているガエル、ナチの元愛人でキャバレーの踊り子スージー。それに、先発で潜入しているラジオ操作ができるイタリア系ユダヤ人のマリアを加えた5人で、ミッションに挑む。

パラシュート降下で、敵地ノルマンディへと潜入し、英国諜報員がいるドイツの病院へ。ヌードダンサー慰問団に化け、その公演中に救出するというミッション。これが、スリリングで、銃撃戦あり、爆発あり、とテンポいい。お間抜けなナチスを、出し抜くという感じが面白い。

ミッションは見事に成功、帰還しようとするが、
彼女たちには、まだ知らされていない指令があった。
上陸作戦を暴こうとするナチ親衛隊ハインドリッヒ大佐を暗殺せよ。
という無茶なミッションを突きつけられてしまうんですよ。

この人を殺したところで?という指令なんですが、
これは、ドラマストーリーとして必要なんですよね。
ここから先が、メンバーそれぞれの気持ちがが描かれていきます。

ナチに捕まってしまうデボラ・フランソワ(ガエル)や、
暗殺指令に利用されてしまうマリー・ジラン(スージー)、
とくに、ジュリー・デュパルデュー(ジャンヌ)が、存在感を増していく演技で印象に残ります。割にあわない仕事はごめん、と思ってた彼女が、しだいに、共に戦う同士となっていき、頼れる存在になっていきます。

哀しいお話なんですけど、アクションものとして、重苦しくは描いてません。敵将校ハインドリヒ大佐役を、モーリッツ・ブライブトロイにしてあるのも、いいと思います。

レディ・エージェント 第三帝国を滅ぼした女たち 2007年【仏】劇場未公開
LES FEMMES DE L'OMBRE/FEMALE AGENTS
監督:ジャン=ポール・サロメ
ソフィー・マルソー・・・・・ルイーズ
ジュリー・デュパルデュー・・娼婦ジャンヌ
デボラ・フランソワ・・・・・爆発物の専門家ガエル
マリー・ジラン・・・・・・・キャバレーの踊り子、元愛人スージー
マヤ・サンサ・・・・・・・・マリア
モリッツ・ブライブトロイ・・ハインドリッヒ大佐
ジュリアン・ボッセリー・・・兄ピエール
★★★☆☆(3.5)
レディ・エージェント (第三帝国を滅ぼした女たち) [DVD]
レディ・エージェント_Photo2

ラスト・エクソシズム
2012年09月23日 (日) | 編集 |
疑念の物語を、POV方式で。

ラスト・エクソシズムDVD

あらすじ:これまで数々の悪魔払い(エクソシズム)の儀式を行ってきたコットン・マーカス牧師。しかし、彼自身は悪魔の存在を信じておらず、すべての不可解な現象は合理的に説明できると考えていた。彼が行う儀式も、実際には巧妙なトリックが使われているにすぎなかった。そんな悪魔払いから足を洗う決意をしたコットンは、儀式の舞台裏を撮影し、それをドキュメンタリー映画として公表することに。そして撮影隊を引き連れ、悪魔が取り憑いたという少女のいる農場へと向かう。それはコットンにとって、最後の儀式となるはずだったのだが…。

悪魔払い儀式のインチキを告発するドキュメンタリー映画を撮影する牧師とスタッフが、思わぬ恐怖に遭遇するフェイク・ドキュメンタリー・ホラー。監督は長編2作目のダニエル・スタム。

インチキを告発しようとする牧師さんの話にしてあり、
趣向としては面白いけど、結局、エクソシズムや現象は、従来と同じ。
ネタばれが、あっ、というものだとか、
リアルタイム感を活かすアイデアとか、なにか欲しいですね。
はやりの記録映像風にしました、というだけじゃもの足りないです。

ラスト・エクソシズム写真1

マーカス牧師にとっては、最初で最後の、エクソシズムでした。
この手ものは、だいたいテープだけが残され発見されるみたいですね。

ラスト・エクソシズム The Last Exorcism 2010年【米】87分
監督:ダニエル・スタム
出演:パトリック・ファビアン(コットン・マーカス牧師)、アシュリー・ベル(ネル)、アイリス・バー(アイリス)、ルイス・ハーサム(ルイス)、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(ケイレブ)
★★☆☆☆
ラスト・エクソシズム スペシャル・エディション [DVD]

※なんと、続編製作が決定しているそうです (°□°;

エイリアン2/ALIENS <完全版>
2012年09月18日 (火) | 編集 |
悪夢と立ち向かえ、リプリー。

エイリアン2<完全版>シガーニー・ウィーバー01

解説:前作の生存者リプリーは宇宙海兵隊と共に再び悪夢の惑星に降り立つ。名実共に傑作の前作に、57年後の設定と複数のエイリアンというアイディアを盛り込み、戦争アクションという異なるジャンルからアプローチされた続編。
ノストロモ号事件唯一の生存者、二等航海士リプリーが眠るシャトルは57年の後にようやく発見されゲッタウェイ・ステーションに回収された。エイリアンの存在と危険性を会社に訴えるリプリーを驚愕の事実が襲う。今やアチェロンと名付けられたあの惑星LV426は数十家族が移り住み植民惑星となっていたのだ。そしてアチェロンからの連絡が途絶え、リプリーの危惧は現実のものとなった。宇宙海兵隊と共にアドバイザーとして宇宙船スラコ号に乗り込んだリプリーは再び悪夢の星へと旅立つのだが……。


劇場公開時でカットされた17分を追加・再編集して、1991年、リリースされてるのが<完全版>です。今は、セルでもレンタルでも、これが通常版みたいなものになってます。
追加場面(ウィキペディアより引用)
●リプリーがバークから娘の消息を聞かされる場面。なおここで使用された年老いたリプリーの娘の顔写真はウィーバーの母親の物である。
●ニュートの一家が異星の宇宙船を調査して父親がエイリアンに寄生される場面。
●セントリー自動銃の登場場面。
●リプリーがニュート救出に向かう前にヒックスとファーストネームを教え合う場面。


第1作目で、エイリアンの恐怖は、観てる人も、十分、わかってますからね。エイリアンが、うじゃうじゃ出てくる怒濤のアクション大作に、ジェームズ・キャメロンが、生まれ変わらせました。「今度は戦争だ」というキャッチコピーがよく出来てるし、劇中の勇ましい音楽が、いいですよね。

エイリアン2<完全版>シガーニー・ウィーバー02
パワーローダーで出てくるところは、おおっ、というところ。
かかってこい。


家族を失い、悪夢に苦しむリプリーが、過去の自分を取り戻すため、強き母となって闘う物語でもある。すべての闘いが終わり、ママ!と、ニュートが、リプリーに飛びつく場面が、印象的。ビショップとの出会いも大きいですよね。みんなが疑似家族のようになって、穏やかな眠りにつく。
いい夢を、エレン・リプリー。
これで、終わらしたげたいような気がするんですが・・・

リプリーとエイリアンの因縁は、終わってなかったようです。
この作品での、シガーニー・ウィーバーが、すざましすぎて、
彼女なしにエイリアンシリーズは、作れなくなってしまいましたね。

エイリアン2<完全版>DVD  ALIENS 1986年【米】155分 ★★★★★
監督・脚本:ジェームズ・キャメロン
シガーニー・ウィーバー・・・・・・エレン・リプリー
マイケル・ビーン・・・・・・・・・ドウェイン・ヒックス(伍長)
キャリー・ヘン・・・・・・・・・・愛称ニュート(少女レベッカ)
ランス・ヘンリクセン・・・・・・・ビショップ(アンドロイド)
ジャネット・ゴールドスタイン・・・バスクエス(女上等兵)
ビル・パクストン・・・・・・・・・ハドソン(上等兵メカニック担当)
ポール・ライザー・・・・・・・・・バーク(ウェイランド社社員)
ウィリアム・ホープ・・・・・・・・ゴーマン(実戦経験乏しい中尉)
●メイキング映像集●インタビュー(ジェームズ・キャメロン)●フォト・ギャラリー●オリジナル劇場予告編
エイリアン2<完全版>キャリー・ヘン
エイリアン2 (完全版) [DVD]

すべてはその朝始まった
2012年09月17日 (月) | 編集 |
わき道にはいったら、もう戻れない。

すべてはその朝始まった_DVD

解説:クライヴ・オーウェン、ジェニファー・アニストン、ヴァンサン・カッセル共演。ふとしたはずみで不倫に陥ってしまった男女が、謎の男に脅迫され、追い詰められていく様を描く。
妻と娘に囲まれ、幸せな日々を送るチャールズ。ある日、お金を持たずに電車に乗ってしまったことに気づいた彼が困り果てていると、ルシンダという見知らぬ女性が乗車賃を肩代わりしてくれる。それをきっかけに、2人は言葉を交わすようになり、次第に親密な関係になってゆく。お互い平凡な日々を送っていた2人は、とうとう一夜を共にするために、場末のホテルに入る。だが、その後、思いも寄らぬ恐怖が2人を襲うのだった…。


例えばだ。
映画を観に行った時、財布を忘れたことに気づいて、
知らない人がチケットを買ってくれたとしよう。
その人に連絡してもいいよな?お礼をして当然だ。
俺にはやましい気持ちなんてこれっぽっちもないんだから。
相手が、美人だからじゃない、
感謝の気持ちを表したいだけなんだ。
うん、きっとそういうことだ。そういうことにしよう。

たまたま?電車代を肩代わりしてくれた美女投資アドバイザー・ルシンダと知り合ったチャールズという男が、よからぬことを考えたせいで、追いつめられていくスリラー。
安物ホテルに入ったら、その部屋に強盗が押し入ってきて、お金を取られた上、ルシンダは、乱暴されてしまう。事を明るみにしたくない、というルシンダは、警察に連絡しないで、と言う。そのあと、強盗に、不倫ネタで、たかられていく。

のっけから怪しい雰囲気で、
そうじゃないかなと思う真相に向かっていきます。
けど、そこから先が意外なんですね。こんな展開になるとは。

構成とか、語られるセリフとか、うまく出来てると思います。
刑務所の中が映し出されるオープニングが、
なにか奇妙だな、という感じの作品で、
囚人がノートに、すべてはその朝始まった、と書いているシーンが出てきます。
そのあとのチャールズと娘の会話も、
いかに作家がキャラ設定で誘い込むか、という内容で、思わせぶりです。

DERAILED 2005年【米】107分劇場未公開
監督:ミカエル・ハフストーム、脚本:スチュアート・ビーティー
原作:ジェームズ・シーゲル
出演: クライヴ・オーウェン(チャールズ)チャールズ, ジェニファー・アニストン(ルシンダ), ヴァンサン・カッセル(ラロッシュ), メリッサ・ジョージ、アディソン・ティムリン
★★★☆☆(3.5)
監督は、2003年にスリラー『Evil』でアカデミー賞の最優秀外国映画ノミネート作品に選ばれたスウェーデン出身のミカエル・ハフストーム。「1408号室(2007)」や「ザ・ライトーエクソシストの真実 (2011)」などを撮っています。
すべてはその朝始まった_Photo

メランコリア
2012年09月15日 (土) | 編集 |
美しき映像で語られる、姉妹の心理スリラーみたい。

メランコリア_イメージ写真

解説:「アンチクライスト」のラース・フォン・トリアーが、巨大惑星の接近で終末を迎えつつある地球を舞台に、人々の孤独と絶望、魂の救済をワーグナー作曲の「トリスタンとイゾルデ」の壮大なメロディにのせて描き出していくドラマ。姉夫婦の豪華な邸宅で盛大な結婚パーティを開くジャスティンは、皆から祝福され幸福感に満たされる一方、どこかでむなしさも感じていた。そんなとき、巨大な惑星「メランコリア」が地球に向けて近づいていることが判明。それは同時に地球滅亡の知らせでもあったが、それを聞いたジャスティンの心はなぜか軽やかになっていく。主人公ジャスティン役のキルステン・ダンストが2011年・第62回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した。

冒頭の抽象的なアートワーク映像が、たいへん美しい。
この写真集のようなものを、<第一部ジャスティン><第二部クレア>で、解説してるみたいな感じだ。冒頭映像の中に、影が二方向に出てる映像があり、この物語は、ジャスティン側と周囲の人々側を、描いてるんだろう。

ゴージャスだが、居心地の悪そうな結婚式の<第一部ジャスティン>。花嫁ジャスティンは、この場に、一瞬たりとも居たくないかのように、ふら〜と出ては戻ってこない。ゲストは、うっとおしい人や見知らぬ人ばかり。そりゃ、笑顔をふりまき飾り立てするのも苦痛だわ、と思わせるような雰囲気。
私は、もしかして、堅苦しく体面ばかり気にする姉クレアが、なにか病を抱えてる人で、この家族の過去に大きな問題があり、妹ジャスティンは、それに、疲れきってしまってるんじゃないか、と思いながら観てた。

<第二部クレア>クレアサイドから描くのかなと思ったけど、そうではなかった。惑星メランコリア接近のパートです。なんだか落ち着かない様子の姉クレアに比べ、すべてのことから解放されたかのような妹ジャスティンは、惑星の光を浴び、悠然とリラックス。自然の営みに逆らえないし、逃げ場もないわけだから、パニックなんて起こらないでしょう。みなさん、静かに受け入れることになるかと思う。
不安がるクレアの楽しく最期を迎えよう、という提案を一喝。それは、あんたが仕切った私の結婚式と同じレベルじゃ。正しい最期の迎え方を悟し、無の世界へ。

これは、突然の死や、絶望的な死ではないですよね。
死の「時」がわかっていて、
その時まで、平等な時間が、すべてに与えられているんです。
まして、この死は、孤独ではない。これは、救われることだと思う。
命を感じたままの、いたって穏やかな消滅になるでしょう。

理由はわかりませんが、ジャスティンにとっては、この結婚式が、世界の終わりのようであり、空虚なものなんでしょうね。ジャスティンの考えるヴィジュアルイメージが、惑星接近→地球消滅というものなのかなとも思う。

公式サイトに「鬱」のことに触れてあるが、それはどうでもいいことでしょう。
型にはめて理解しようとすると、疲れるだけだし、
女優さんの力量がないと成立できない作品ですね。


絵的に、わかりやすい心理スリラー。
アート的なもので、謎めいたセリフや、絵から、
自分なりに想像を広げていくのが、面白いです。

Melancholia 2011年【デンマーク・スウェーデン・フランス・ドイツ】135分
監督・脚本:ラース・フォン・トリアー
出演:キルスティン・ダンスト(妹ジャスティン)、シャルロット・ゲンズブール(姉クレア)、キーファー・サザーランド、アレキサンダー・スカルスガルド、シャーロット・ランプリング、ジョン・ハート、ステラン・スカルスガルド
★★★★☆(4.0)
メランコリア [DVD] メランコリア [Blu-ray]

恍惚
2012年09月13日 (木) | 編集 |
もっと話して・・・その続きを。

恍惚_ポスター

解説:フランスの2大女優、ファニー・アルダンとエマニュエル・ベアール共演のドラマ。夫婦関係の危機に陥った主婦が、娼婦を雇って夫を誘惑させ、情事の一部始終を報告させようとする。ファニー・アルダンが倦怠期の熟年主婦を、エマニュエル・ベアールが魅惑的な娼婦をそれぞれ好演。男女愛の本質と女の性を深く掘り下げながら、思いがけないラストへと突入するストーリー展開が注目だ。

それは、想像から始まっていく物語。
夫の不貞を疑うセレブマダム・カトリーヌが、
会員制娼婦マルレーヌに、夫を誘惑させ、それを報告させていく。

米国リメイク『クロエ』が、面白かったので、このフランスのオリジナル版『恍惚』を鑑賞してみた。オリジナルは、たいへん奥深く、目指してるものが違う、というように思います。

恍惚_ファニー・アルダン

カトリーヌは依頼にあたって、
外国語を勉強している普通の女性「ナタリー」の役を、
マルレーヌに与えます。
この架空の人物は、気位の高い彼女の欲望の代理人みたいなもので、マルレーヌの口から語られる、あからさまな痴態は、マダム・カトリーヌを激しく動揺させます。ナタリーになりきって語る娼婦マルレーヌにも、変化が生じてきて、自分の中に、ナタリーと違う女性が目覚め感じてきていることに、気づいていきます。
「ナタリー」という三人目の人物の存在が、
二人の距離を接近させていくという不思議な感覚の物語です。

恍惚_エマニュエル・ベアール

エマニュエル・ベアールは、この映画では、脱ぎません。直接的な官能シーンはいっさいなし。セリフによる想像のみで、描いていこうという試みの映画ということも、面白いですね。

監督は、「ココ・アヴァン・シャネル (2009)」を撮っているアンヌ・フォンテーヌで、女性監督らしく、メイキングを観ても、厳しく、こだわった作りです。べアールがいかに表現し、監督の要求に応えていくか、監督との対決も、見ものの映画ですね。

恍惚 NATHALIE... 2003年【仏】105分
監督:アンヌ・フォンテーヌ
ファニー・アルダン…………カトリーヌ
エマニュエル・ベアール……マルレーヌ
ジェラール・ドパルデュー…ベルナール
★★★★☆(4.5)
恍惚 [DVD]

バトルシップ/BATTLESHIP
2012年09月07日 (金) | 編集 |
撃て!

バトルシップ_BATTLESHIP_浅野忠信

解説:海軍マニアの父の影響で幼い頃から戦艦などに強い興味を抱いていたという「キングダム/見えざる敵」「ハンコック」のピーター・バーグ監督が、エイリアンの襲撃に立ち向かう日米軍艦乗組員たちの決死の戦いを描く洋上バトル・アクション大作。主演は「ジョン・カーター」のテイラー・キッチュ、共演に浅野忠信、リアーナ、ブルックリン・デッカー、リーアム・ニーソン。

地球からの呼びかけに応じてやってきたエイリアンが、
不運にも、ハワイ沖で、合同演習中の海軍に出くわしてしまうという映画。
敵意を見せない限り、攻撃してこないエイリアンを、直情型の米将校が挑発。やむなく、バリアを張り、超音波による警告を発するが、無知な地球人は、これを、攻撃と勘違いしてしまう。しかも、母国への通信を、援軍要請と勝手に判断。徹底攻撃され、殲滅させられてしまうのだ。
通信用の船が人工衛星に当たり墜落してしまったので、そのむねを、地球の機器を拝借して報告しようとしただけですよね。

と、いうかなり、無茶苦茶な話 (^^)なんですが、
この映画は、なんといっても、
自衛艦「みょうこう」のナガタ艦長=浅野忠信が、
テイラー・キッチュ=アレックスの乗る駆逐艦JPJの艦長に着任!
米海軍と共に戦うという重要な役を演じてるのが、うれしいところです。

バトルシップ_BATTLESHIP_game
テーブルゲーム「Battleship」を、もとに作られている映画だそうです。
なので、この場面は、見せ場でもありますね。


ハワイ沖で、日米軍人が手を取り、かつて戦った退役軍人のおじいちゃんまでもが参戦するという面白い内容です。CG技術が、いくらすごくても、面白いポイントがないと、飽きちゃいますからね。
しょっぱなから、おバカ青年路線なのがいいんでしょうね。ゲーム感覚みたいに軽いテイストのバトル作品に仕上げてるのが、いいと思います。CGは「トランスフォーマー」と同じ、ハスブロ社が製作しています。

ユニヴァーサル映画100周年記念作品
バトルシップ Battleship 2012年【米】130分
監督:ピーター・バーグ
主演:浅野忠信(ナガタ艦長)、テイラー・キッチュ(アレックス・ホッパー)、アレクサンダー・スカルスガルド(ストーン・ホッパー)、リアーナ(レイクス)、ブルックリン・デッカー(サマンサ)、リーアム・ニーソン(シェーン提督)
★★★☆☆(3.5)エンドロールは、最期まで観ましょう。
【Amazon.co.jp限定】バトルシップ Blu-ray & DVD スチールブック仕様(デジタルコピー付)(完全数量限定)
バトルシップ_BATTLESHIP_poster

フランス、幸せのメソッド
2012年09月05日 (水) | 編集 |
ここは、フランス・パリ。

フランス、幸せのメソッド_DVD

あらすじ:長年勤務していた工場が倒産したシングルマザーのフランス(カリン・ヴィアール)は、あまりのショックに自殺未遂騒ぎを起こしてしまう。だが周りの人たちに支えられながら、奮起してパリで仕事を探すことに。一方、金融取引のトップトレーダーのスティーブ(ジル・ルルーシュ)も、イギリスからパリへ戻っていた。そこへ偶然にも、フランスがスティーブの家政婦として雇われることになる。お互い別の世界で生きてきた2人は、価値観の違いに驚愕しながらも、意識しあい、徐々に距離が縮まっていく。そんな中、フランスはあることを知り、事件を起こすのだが——!?

ガトーショコラケーキをみんなで切り分けるシーンから始まっていて、
原題は、PieMa part du gâteauMy/Piece of the Pie 。
私の取り分、みたいな意味だと思います。
日本版タイトルが、違いすぎますね。
オープニングの音楽からして、ラブコメではなさそうな雰囲気。
フランスの格差社会、失業問題を織り込みながらのコミカルな作品で、『PARIS-パリ-』『スパニッシュ・アパートメント』のセドリック・クラピッシュ監督の長編10作目です。

フランス、幸せのメソッド_Photo1
フランスという名の、娘三人を抱えるお母さんが主人公。

シングルマザーのフランスが、パリで家政婦の職を得たところは、株トレーダー・スティーブの家。一瞬で、大金を儲けるスティーブは、リッチな暮らしだが、金融のことしか知らず、心のない奴。女性への態度、子供の世話、世の中のことなんて、まったくわからない。
よくしゃべるフランスにいろいろ教えてもらい、二人は、次第に仲良くなっていく。フランスに幸運が舞い込み、スティーブが生き方を変えていく話かと思いきや。さすが、フランス映画!そんなに甘くありません。

まったく違う世界に生きる二人が出会っても、
プリティ・ウーマンなんてことにはならないのだ。
現実は現実。一部の者が富を握る社会は、変わらない。
でも、私たちの幸せまでは、奪わせないぜ、という感じかな。
ただ、ちょっと、中途半端に終わってしまう印象なので、
もう少し、イキなラストで締めて欲しかったですね。

My Piece of the Pie/Ma part du gâteau 2011年【仏】109分劇場未公開
監督:セドリック・クラピッシュ
出演:カリン・ヴィアール、ジル・ルルーシュ、オードリー・ラミー 、ジャン=ピエール・マルタンス、ラファエル・ゴディン、ケヴィン・ビショップ、フレッド・ユリス 、マリーヌ・ヴァクト
★★★☆☆(3.5)
フランス、幸せのメソッド [DVD]
フランス、幸せのメソッド_Photo2

命の相続人
2012年09月02日 (日) | 編集 |
愛する者に自分ができること。

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あらすじ:病院に勤務するディエゴは有能な医師だが、他人の苦痛に対する反応が麻痺してしまっていた。ある夜、自殺未遂の女性が担ぎ込まれるが、ディエゴは治療をせず帰ろうとする。そんな彼を女性の恋人が銃で脅し発砲。銃声を聞いて駆けつけた同僚は、血まみれになったディエゴと自殺した男が倒れているのを発見する。だが、ディエゴは突然息を吹き返し、しかもどこにも傷が見あたらなかった。数日後、彼はあることに気がつくのだが…。

「海を飛ぶ夢」「アレクサンドリア」を監督しているアレハンドロ・アメナーバルが、プロデュース。出演は、「オープン・ユア・アイズ」のエドゥアルド・ノリエガ、「永遠のこどもたち」のベレン・ルエダです。

主人公ディエゴは、病院勤務の疼痛(とうつう)科の医師。
患者の痛みの治療にだけ専念し、
患者が抱える苦悩には、わざと目を向けないようにふるまっている。
そんな彼は、私生活では、妻娘と別居中という状態で、
家庭の問題からも目をそむけてしまってるようなんですね。

もし、自分が特殊な能力を持ってしまったら。
能力を持つ事になってしまったいきさつが明らかになっていくにつれ、
昏睡から目覚めたサラ、アルコールに溺れる自分を撃った男の妻イザベル、と
自分自身が、深く関わっていくことになる。
その時、見えてくるものは何なのか、ディエゴの決断とは?
を、静かなタッチで描いていくヒューマンドラマ。

俳優さんもいいし、しっかり作られている良い作品だと思います。よくありがちな能力ものなので、劇場未公開になってしまったのかもしれませんね。

EL MAL AJENO 2008年【スペイン】劇場未公開107分
監督:オスカール・サントス
製作:アレハンドロ・アメナーバル
出演:エドゥアルド・ノリエガ(ディエゴ)、ベレン・ルエダ(イザベル)、アンジー・セペダ(サラ)、クリスティーナ・プラサス(妻ピラール)、クララ・ラゴ(娘アイノア)
★★★☆☆(3.5)
命の相続人 [DVD]
命の相続人-EL_MAL_AJENO_Photo

蝿男の逆襲
2012年09月01日 (土) | 編集 |
蝿恐怖症。

蝿男の逆襲Photo3

解説:「蝿男の恐怖」のヒットによって製作された続編。前作で蝿男になってしまった科学者アンドレの息子フィリップは、母の死後、父の研究を続行しようと決意。伯父フランソワと親友の協力を得て別荘の地下室で物質転送機の開発を行う。だが実験が大詰めを迎えた時、助手が研究の横取りを企んでいる事が発覚。格闘の末、気絶させられたフィリップは転送機に入れられてしまうが、そこには一匹の蝿が……。

蝿男の逆襲Photo1

前作が名作スリラーなので、これを越えるのは、到底、無理。
しょぼい続編だろうなぁと思ってたら、意外、
どうなるんだ、と面白く観れる娯楽サスペンスに仕上がってました。
予算の都合か、特殊メイクをごまかすためか、続編は、モノクロ仕様です。

転送、白い頭の蝿など、びっくりネタは、もう使えませんけど、
時間差転送の新しい技や、モルモット男なんても出て、面白いですね。
蝿男もいかにもな、わかりやすい造形に変わった。
ただ、頭でっかちな、かぶりものが、歩きにくそうだったなぁ(^^)

蝿男の逆襲Photo2

娯楽路線ながらも、ベースに、トラウマ的な恐怖を
しっかり置いてあるのが、うまいですね。
弟アンドレと同じく、蝿男と化してしまうフィリップ。
ああっ、
伯父フランソワにとって、弟の身に起こった悲劇を、
目の当たりに、追体験していくようなものでしょう。

人間の理性は残されているのか、
ドラマは、弟アンドレが試みようとした分解・再生の結果が待つ終盤へ。
見事、成功!というハッピーエンドかのようですが。
蝿への恐怖、この悪夢は、フランソワの心から消えそうにありません。

蝿男の逆襲 THE RETURN OF THE FLY 1959年【米】78分劇場未公開
監督・脚本:エドワード・L・バーンズ
出演:ヴィンセント・プライス(フランソワ)、ブレット・ハルゼイ(フィリップ)、デヴィッド・フランカム(アラン)、ダニエル・デ・メッツ(セシリア)
★★★☆☆(3.5)
これは、陰気な「ザ・フライ2」より、楽しく観れる。
蝿男の逆襲POSTER
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