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火車/HELPLESS
2013年02月11日 (月) | 編集 |
幸せになりたかった。

火車_HELPLESS_キム・ミニ1
原作は、宮部みゆきのベストセラー小説。
韓国ではメガヒットを記録したらしいが、日本では劇場公開されず。


物語:獣医師ムンホは、婚約者ソニョンを両親に紹介するため実家へ。だが、途中立ち寄ったサービスエリアで突然ソニョンが姿を消す。警察は単なる家出と相手にせず、ムンホは元刑事の従兄ジョングンに助けを求める。その結果判明したのは、カン・ソニョンなる女性は以前から行方不明になっており、ムンホの婚約者とは完全に別人である事実だった。では、ムンホが愛した女性、名前も経歴もすべてが偽りだった《ソニョン》は何者なのか?

原作は、一枚の写真の女性に物語をつけていくようなストーリー。彼女自身は、いっさい語ることはなく、主人公刑事が、彼女にまつわるエピソードを、聞き役に徹して、拾い集めていくだけの話だ。それによって、読者それぞれに、女性像が浮かび上がってくるという趣向で、映像化するのがむずかしい作品ですね。

韓国版は、婚約者とその兄の刑事が、謎の女性の行方を追う展開。
構成自体が違うので、韓国版は「火車」ではないです。これは、火車の読後感みたいなもの、つまり、脚本を書いた監督の中に現れた女性ヒロイン像を描いてるということですね。


前半、足取りを追う刑事ドラマみたいな雰囲気で、
わずか、1時間足らずで、トントンと、謎の女性にたどり着いちゃう。
あまりにも速すぎて、なんだかよくわからんし、
残り、1時間どうするねん、と思ってたら、
ここから先は、ヒロインの過去を描き出すものでした。

火車_HELPLESS_キム・ミニ2

底辺に生きる者が、別の人生を夢見てはいけないのか。
別の人物に成り代わるしかなかった彼女。
孤独の世界に生きてきた彼女の境遇には同情できるが、
他の人の人生を奪っていいわけではない。

婚約者ムンホとその兄が追う設定にしてるということは、
なぜ、追うのか、というものが出てくるわけですよね。
ムンホが期待する答えとは。
普通のサスペンスだと、
殺してしまった心情を切々と語るわけでしょう。
でも、この物語はそうならない。

彼女は、「私はゴミだ」と言い切る。
私に何を期待してたの?と問いかけるように。
脚本を何年も練って書いてるらしいんですけど、
そういう言葉が彼女の口から出るとは思いもよりませんでした。
一気に逆転させて、
これが現実だと追い落としてくる感じだなぁ。

そのあとの、華やかなショッピングモールを逃げる彼女のシーンもよかった。

なかなか、面白い火車を観せてくれました。
ついに姿を見せた彼女が、何を語ってくれるのか。
火車のひとつの答えとして、味わえると思います。
原作を読んで映画を観る方が、韓国版は面白いとは思います。

火車 화차/HELPLESS 2012年【韓国】116分劇場未公開
監督・脚本:ピョン・ヨンジュ
原作:宮部みゆき 火車 (新潮文庫)
出演:イ・ソンギュン(チャン・ムンホ)、キム・ミニ(カン・ソニョン)、チョ・ソンハ(キム・ジョングン元刑事)
★★★☆☆(3.5)
火車_HELPLESS_キム・ミニ4
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