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潜水服は蝶の夢を見る
2009年01月14日 (水) | 編集 |
E S R I N T U L O M D P C F B V H G J Q Z Y X K W。

このアルファベットの並びのようなもの、これは、左目しか動かせないジャン=ドミニック・ボビーのために言語療法士アンリエットが考えたコミユニケーションをとる方法。使用頻度の高いアルファベットを順に口にし、使いたい文字がきたら、瞬きをする。この合図で、その言葉を書きとめてもらうということだ。

つらそうな映画かなと思い、観るのをためらってましたが、
闘病を描いた映画というわけではなかった。

潜水服は蝶の夢を見る

昏睡から目が覚めたジャン=ドミニク・ボビーは、全身が麻痺し動かなくなっていた。ロックト・インシンドローム(閉じ込め症候群)。話すこともできず、身体の中で唯一動くのは、左目のまぶただけだった。

映画の冒頭、カメラは、彼の目のような主観映像で進む。観てる自分も、傾いたり、あらぬ方向へ向いたり、ものすごく、ぎこちないし不安だ。彼の状況を体験し、彼の思うに任せない苛立ちや孤独が伝わってくる。

話が進むにつれ、
E S R I N T U L O M D P C F B V H G J Q Z Y X K W。という並びが、ひとつの言葉かのように、滑らかに、皆から発声されるようになってくる。

体の自由は奪われたが、
ELLEの編集長として生きてきた彼の感性は残されていました。
自らの肉体は、海底深く沈んだ潜水夫かのようですが、記憶は蝶のように自由で軽やか。世界中を駆け巡ります。

彼の心の言葉が、すごくユーモアに溢れてて、華やかな世界にいた彼の目は女性の胸元や脚に注がれます。奥さん、病院のスタッフ、筆記者の方、すごくきれいな方ばかり出てくるんですが、彼の目には、そう見えたということなんでしょう。こういう状態になって、まわりの人間の大切さがより感じられ、それが彼の記憶と感性に大きく結びついていったのではないかと思います。


『潜水服は蝶の夢を見る』  2007年【仏・米】
The Diving Bell and the Butterfly(La Scaphandre et le Papillon)
監督:ジュリアン・シュナーベル 『夜になるまえに』
出演:マチュー・アマルリック(ジャン=ドミニク・ボビー) 『ミュンヘン』
   エマニュエル・セニエ(妻セリーヌ・デスムーラン)
   マリ=ジョゼ・クローズ(言語療法士アンリエット・デュラン)
   アンヌ・コンシニ(クロード)
感想:★★★★☆ 
ESRINTULOMDPCFBVHGJQZYXKW、新しく生まれた感性の言葉。


潜水服は蝶の夢を見る潜水服は蝶の夢を見る
ジャン=ドミニック ボービー

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20万回のまばたきでつづった自伝小説。
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