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マン・オン・ワイヤー/MAN ON WIRE
2010年01月23日 (土) | 編集 |
もう、これは、芸術だ (@_@)

マン・オン・ワイヤー画像1

1974年8月7日、朝。23歳のフランス人フィリップ・プティはNYワールドトレードセンターの屋上にいた。ツインタワーの間に張られた細い綱の上を綱渡りしようというのだ。彼はさかのぼること6年前に雑誌でツインタワー建設計画について読んで以来、この計画を企み続けてきていた。友人ジャン・ルイと共に少しずつ仲間を増やし、不可能と思われた準備を遂行。そしてついにフィリップは、綱に足をかけようとしていた……。

劇中で、フィリップ・プティさんが、語っていた言葉に、こういうものがありました。

人生はエッジを歩いてこそ価値がある
反骨精神を持たねば
社会の規則に慣らされることを拒み
出世を拒み
繰り返しを拒む
日々すべての発想を真の挑戦と受け止めろ
そうすれば 人生は綱渡りになる
 

言葉だけ読むと、変わり者、ひねくれ者のように、見えるんですが、
本作を観た後は、この言葉が、痛快で前向きなもの、と感じるように、なります。
当時の映像に、関係者や彼自身の証言を交えて描いたドキュメンタリー作品で、第81回アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞ほか、数多くの映画賞を獲得しています。

マン・オン・ワイヤー画像2

綱渡りといっても、これ、犯罪になるので、ワールドトレードセンターに忍び込み、警備員の目を盗みワイヤーを張るだけでも、たいへんなんですよ。協力してくれる人、入念な下見、計画、練習、機材の運び込みなど、これがなくては、始まりません。途中、計画から離れる人が出たり、あまり信頼できそうもない人が加わったり。いざ、登っても、吹きっさらしの屋上が、寒そう。誰かが準備してくれるというわけではないので、体力的にも、だいじょうぶかな、ほんまにやるの?と、心配しましたよ。

本人フィリップ・プティさんが、当時のことを、ほんと楽しそうに、しゃべります。私のためのステージを建ててくれていると思ったらしい。確かに、ツインビルだから、そう見えるよね。協力してくれた人は、彼のパフォーマンス、無邪気な性格に触れ、動かされたんだろうな。尻込みしたり、トンズラした協力者まで、インタビューに出てくるのも、面白い。一時期でも関わったことが、誇りに思えるような、すごいことだったんでしょうね。

アホなことする人おるねんなぁ、と思って観始めたけど、最後の方には、すごい!偉大な出来事!と感じますよ。この歴史の1ページの目撃者でなかったことが、残念に思えてくる。

渡り始めてから、写真による構成で見せていくのが、いいんですよ。彼の、よし、いけると、胸おどる気持ちや、これを見てる人の驚きが、写真から想像され、感嘆の声が聞こえてくるような気がします。ワイヤーの上で、ひざまずいたのには、わぁーと思ったわ。自分も、これを見た人のような高揚感が、味わえますね。

夢をかなえた彼は、超有名人になり、結局、恋人と別れてしまったそうです。協力者の中には、国外退去になってしまった人もいて、チームの人たちと疎遠になってしまったみたいですね。
フィリップ・プティさんは、このあとも、彼らしく生きてきたんだと思うし、それを、見たり聞いたりは、みんなの人生に、励ましに、なっていったんじゃないかな。

見せていき方が、すっごく、うまい作品で、魅了されてしまいました。

マン・オン・ワイヤー MAN ON WIRE 2008年【英】95分
監督:ジェームズ・マーシュ
出演:フィリップ・プティ(本人)/ジャン=ルイ・ブロンデュー(友人)/アニー・アリックス(恋人)/ジム・ムーア/マーク・ルイス
★★★★☆(4.5)
マン・オン・ワイヤー スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]

マン・オン・ワイヤーポスター
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コメント
この記事へのコメント
kinoさん、こんにちは☆^^

ほんと、凄い映像でしたね~!
それに映画としての完成度も高かったですよね。
仰る通り、見せ方がとても上手かったと思います。
渡ってるときの動画がないのに、まるでその渡ってる様子を間近で見てるような気持ちになりましたもん。
その高揚感たるや、凄かったです!

そうそう、計画に協力した人、すでに没交渉になってるような人たちまで、ちゃんとインタビューに答えてるところも好感でした。
彼女とのツーショットがないなぁと(現在の)思っていたら、別れてたんですよねぇ(^_^;)

これまで見たドキュメンタリー映画で、これが一番かも・・と思うくらい素晴らしい映画でした♪
2010/02/03(水) 09:30:25 | URL | メル #mQop/nM.[ 編集]
>メルさん、こんばんは!
なにより、プティさんのしゃべり方が明るいというのもあるけど、
インタビュー、写真、映像の、見せていき方が、うまいので、
自分も協力者のひとりのような気持ちに、なってしまいますよね。
ドキドキして、見てしまいました。

>渡ってるときの動画がないのに
写真一枚だけで、すべてを語ってくれてるのが、いいですね。
自分も、高ぶった気持ちになるし、すぐそばで見たような
イメージが沸いてきます。

計画から、はずれた人がも語ってて、これに関わった人は、
すごく、思い出深く、誇りにも思えることなんでしょうね。
プティさんって、たぶん、有名になっても、そのままだった人で、
今でもあの頃のプティさんなんだろうな。
だからこそ、元恋人や友人も答えてくれんでしょうね。
2010/02/04(木) 01:40:22 | URL | kino #Kyeye.Gc[ 編集]
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