2008年06月18日 (水) | 編集 |

登場人物の心情がよくわからない映画。
美しい映像を重ねてるにすぎないと、私は感じた。
主人公エルヴェに、 まったく魅力がない。彼は製糸業の知識も愛情もなく、絹に対する確かな目すらない。蚕を買いにアフリカへ行け、日本へ行けと言われて、旅をしてるだけで、この人物が、日本へ来て何か感じることが出来るだろうか。最果ての地、日本へのあこがれもないし、正直、来ていらんといった感じ。
そんなエルベが、江戸から明治への激動している日本へやって来る。
大陸を渡り、命がけでやって来るわけなのだが、
美しい風景描写ばかりで、遠路はるばるといった苦労感が感じられない。
そして、日本の山奥で蚕業者の原が連れていた少女と出会う。
エキゾチックな日本女性、
官能的に映し出されるお茶をいれる指先、
上目づかいに相手を見ながらお茶を飲む仕草、
客人の目の前で主人?の膝枕、まぁ、なんてはしたない。
日本家屋の舞台もよくないんじゃないかなー。
「おしん」に出てくるような東北、囲炉裏、暗い部屋イメージでのロケ。
田舎に建つ大きなお屋敷なので、客人を通す部屋ぐらいあるだろ。
凛とした美しい部屋でこそ、日本女性というものが引き立つのだ。
仕草の美しさ、ほのかな色香、調和としての美しさなのだ。
この映画の撮り方では、ただのエロチック。
日本人が観て不快に感じる作法だ。
これでは、
アホな主人公が、ものめずらしい東洋女性に欲情した、
という風に見えてしまってもしかたがないでしょ。
そして、一瞬にして船でフランスへ帰るのだが、
毎度毎度、帰路を同じ描写にしなくてもいいだろうと思う。
帰国後の彼は、
何か日本に置き忘れてきたものがあるような心情だと思うのだが、
彼の表情にそんな面持ちが欲しいところである。
それによって、妻エレーヌの心情も表現されていくしね。
他にもいろいろあるのだが、あまり言うとけなすばかりになってしまいそう。
全体的にこの作品の作り方が雑なんだろうと思う。
特に最後の場面、
エルベが少年に、これまでのいきさつをかくかくしかじかと語ったのだろうなと
いう場面がある。
話を始めた場面が映り、
その次のシーンで、少年は涙を流している。
まぁ、延々とこの男の話につき合わされたのであろうということを想像させるのですが(かわいそうな少年)、
こういう、以下省略のような、はしょった撮り方は陳腐じゃないかな。
延々と話をする必要はなくて、何かパシッというセリフで、
この男の心情を語らないと、観客は、ぐっと来ない。
シルクというと繊細なイメージを持ったり、
シルクロードとかロマン的なものを感じたりするんだけど、
外国人とそのへんの感覚が違うのかな。
“シルク”というタイトルが、もったいないという気持ちになりました。
『シルク』 Silk 2007年【カナダ・仏・伊・英・日】
[ドラマ]
監督:フランソワ・ジラール
出演:マイケル・ピット/キーラ・ナイトレイ/役所広司/芦名星/中谷美紀
私の感想:★★☆☆☆ なぜに日本?
ちなみにヤフー映画評では(★★☆☆☆2.95点)でした。
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