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レオニー
2010年11月25日 (木) | 編集 |
100年前、ひとりで日本の地を踏み、天才を育てた女性がいた。その名はレオニー。

レオニーPoster

世界的に有名な芸術家イサム・ノグチの母、レオニー・ギルモアの物語。20世紀初頭のニューヨーク。これからは女性も仕事を持って生きる時代と、文学の道に進む夢を持ち、希望に満ちた人生が待っていたはずだったレオニー。しかし、一人の日本人青年との出会いによって彼女の人生は波乱に満ちたものとなっていく。レオニーは男を愛し妊るが、男は一方的に日本へ帰国してしまう。シングルマザーとなった彼女は、子供とともにアメリカと日本の二つの国で、困難な時代を生き抜いていく。

レオニーPhoto1

彫刻を彫っていくシーンが、ふいに挿入される。完成まで7年、魂まで彫り込んだ、松井久子監督の芸術作品かのようです。監督さんの熱い思いが、伝わってきます。各パートごとの完成に力を注ぎこんだ感じで、ぶつぎりのような印象があるが、映し出される美術、風景は、たいへん美しいです。

地味な雰囲気のエミリー・モーティマーが、レオ二ーにぴったり。
とまどう表情の中に、芯の強さを感じさせる。
エミリー・モーティマーのインタビューがありましたので、引用しておきます。
あなたにとってレオ二ーとはどんな女性?
レオ二ーはすべての女性やすべての人間のように、いろんな女を持っているわ。知的で、親切で、愛情深く、芸術的な人で、同時に、気難しく、腹立たしくもあり、信念を持っていて、冷酷で、何百万もの感情が入り乱れた人間だわ。
私が、この映画とこのキャラクターを好きなところは、監督が、レオ二ーのキャラクターに様々な表情を与えたところね。人生で私たちは何百万もの別の顔を持っているものだし、監督のキャラクターの描き方は真実だわ。


レオニーPhoto2

レオ二ーは、近頃、よく描かれる自立した女性像ではない。
自分の心に、正直だった人。
それは、人から見れば、時には、なまいきに映るんだと思う。
かなり浮いてる存在でしょうね。
でも、米国でも、日本でも、
母子ともに、差別、排斥され、相当のいやな思いはしてるはずですから、
強い精神力で、自分を保つしかなかったのかもしれません。

若き頃から、自分の心を表現したいと考えていて、それを模索し続けたのかな。
日本語を学ばないのは、日本語で心を表現しきれないと考えてるからだと思う。
そんな彼女の心を受け継いだのが、イサム・ノグチで、
彼は、芸術という言語を通さない形で、母の心を表現してくれた。
その芸術作品は、それを見て触れて感じた子供たちに、
さらに受け継がれ、広がっていくことになる。
母の想いは、喜びは、つきることがない。壮大なスケールを感じます。

レオニー Leonie 2010年【日】132分(パンフ800円)
製作・監督・脚本:松井久子
原作:ドウス昌代 イサム・ノグチ(上)――宿命の越境者 (講談社文庫)
出演:エミリー・モーティマー/中村獅童/原田美枝子/吉行和子/竹下景子/中村雅俊/柏原崇/大地康雄/メアリー・ケイ・プレイス/クリスティーナ・ヘンドリックス/勅使川原三郎
★★★★☆(4.5)

レオニーPhoto3
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