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彼女が消えた浜辺
2011年05月05日 (木) | 編集 |
私の底にもうひとりの私が眠っている

彼女が消えた浜辺_ABOUT_ELLY_Photo01

タイトルどおり、一人の女性が消えてしまう物語。
浜辺に残されたものを描き出す、秀逸な心理スリラーです。

彼女が消えた浜辺_ABOUT_ELLY_Poster
解説:イランの中流階級の男女がバカンスに興じるシチュエーションで幕を開け、ある事件に巻き込まれた登場人物たちが露わにする不安やエゴを映し出しながら、人間の複雑な内面を暴いていく。そんな人間模様を、予測不能なストーリーテリングで見せる巧みな展開が面白い。監督・脚本は新鋭のアスガー・ファルハディ。

本国イランで2009年の興行収入第2位の大ヒットを記録するとともに、ベルリン国際映画祭で最優秀監督賞(銀熊賞)に輝くなど、数々の映画賞を受賞した作品。

場所は、テヘランからほど近いカスピ海の沿岸のリゾート地。
ここに、大学時代の友人家族たち11人が、3日間の休暇にやってくる。みんな顔見知りの中、ひとりだけ初顔合わせの女性エリがいた。エリは、セピデーが誘った幼稚園の先生で、離婚したアーマドに、彼女を紹介しようという企画でもあったのだ。

翌日、子供が溺れるたいへんな出来事が起こり、そのあと、エリの姿が、突然、消えてしまう。海で溺れたのか、いや、帰ってしまったのか。エリを誘ったセピデーも、エリの素性はよく知らず、連絡先もわからないという。

えっー、どうしたら。たいへんなことになってしまった!
という状況で、これは、起こりえそうな話で、ドキドキの展開。

彼女が消えた浜辺_ABOUT_ELLY_Photo02

セピデーは、エリについて、ある隠し事をしており、それが、少しづつ、わかるにつれ、みんなが、うろたえ、動揺していくことになります。現代に生きる中流階級の人たちの生活様式は変わったのかもしれない。でも、そこに息づく風習や結婚観が、まだまだ、女性には生きにくい世界なのかな、ということを感じさせます。

セピデーは、エリについて、よく知らないんだと思う。エリが、もらした悩みが、セピデー自身の中に抑圧されていた想いを、動かしたんでしょう。エリの尊厳を守るということで、おさまりをつけなければならない姿が、痛々しい。
エリとはいったい誰なのか?という謎をめぐる恐いスリラーだと思います。

彼女が消えた浜辺 ABOUT ELLY 2009年【イラン】116分
監督・脚本:アスガー・ファルハディ
出演:ゴルシフテェ・ファラハニー、タラネ・アリシュスティ、シャハブ・ホセイニ
、メリッラ・ザレイ
★★★★☆(4.5)イランでは「みなしごハッチ」が、人気あるのかな。「おしん」は、大ヒットしていましたもんね。
彼女が消えた浜辺 [DVD]

彼女が消えた浜辺_ABOUT_ELLY_Photo03
大空を自由に泳ぐ凧。
凧をあげる彼女の、うれしそうな顔が印象的だ。


◎イラン関連記事→『ペルセポリス/PERSEPOLIS』『少女の髪どめ
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