fc2ブログ
観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
悪魔を見た
2011年09月21日 (水) | 編集 |
怪物と闘う者は自らが怪物と化さぬよう心せよ。
お前が深淵を覗き込む時、深淵もまたお前を覗き込んでいるのだ。
(フリードリヒ・ニーチェ『善悪の彼岸』より)


悪魔を見た_Photo01

解説:血も涙もない凶行を繰り返す猟奇殺人鬼と、最愛の婚約者を殺された男の熾烈な攻防を描く復讐をテーマとしたサイコ・スリラー。韓国を代表するスター、イ・ビョンホンと、「オールド・ボーイ」のチェ・ミンシクの火花を散らす顔合わせが見ものだ。

悪魔を見た_Poster

この壮絶なる物語は、郊外の夜道でこつ然と消失した女性が、バラバラ死体となって発見されたことから始まる。被害者の婚約者は、国家情報院の捜査官スヒョン(イ・ビョンホン)。直前まで電話で話しておきながら、最愛の人を救えなかったスヒョンは、自分のふがいなさを責め、単独で、ギョンチョル(チェ・ミンシク)という殺人鬼に迫っていくことになる。

悪魔を見た_Photo04
悪魔を見た_Photo02

彼女は、助けて欲しいと懇願したはずだ。
死の恐怖を味わったはずだ。
ただでは殺さない、苦しめて苦しめた上に復讐を果たしてやる。
痛めつけては野に放ち、痛めつけては野に放ち、
追いつめ、彼女と同じ恐怖を与え、なぶり殺すつもりだったのだが。
恐怖や痛み、罪悪感、通常の人間が抱くであろう感情を、
相手ギョンチョルは、持ちあわせていなかった・・・。
これでは、殺せない ( ̄ロ ̄lll)

イ・ビョンホンは、ほとんどセリフなし。悪のギョンチョルと対照的に、感情を表に出さない。静と動のような対決は、復讐の先になにを見るのかということを、えぐり出してくる。

彼女の無念を代わりにはらす、というのはあると思うが、彼のやろうとしてる復讐は、煮えたぎる自分の憎しみや怒りを静めるためでもあるのだろう。憎しみの炎に、自らが焼かれないために、何度も何度も、憎しみを相手をぶつけるしかない。
殺したところで、その憎しみが消えるものではない。
スヒョンが殺したいのは、ギョンチョルでなく、己を蝕む憎悪でもあるのだ。
美しく撮られている夕暮れのラストシーンが、哀しい。


たんなる復讐劇にとどまらず、なかなか考えさせられるものがあった。韓国映画は、やっぱり、突き抜けてますね。他の国の映画では、描かないというところまで描いている。えげつなすぎる気もするが、インパクトの強いことは、確かで、世界中に韓国パワーを見せつけてやるみたいな気概を感じる。その点では、日本映画は情けない感じがしますね。

悪魔を見た I SAW THE DEVIL 2011年【韓国】144分
監督:キム・ジウン『箪笥』
出演:イ・ビョンホン(国家情報院捜査官スヒョン)、チェ・ミンシク(ギョンチョル)、オ・サナ(婚約者ジュヨン)、チョン・グクァン(チャン)、チョン・ホジン(オ課長)、キム・ユンソ(セヨン)、チェ・ムソン(テジュ)、キム・インソ(セジョン)
★★★★☆(4.0)
悪魔を見た イ・ビョンホン スペシャルBOX [DVD]
悪魔を見た_Photo03
関連記事


コメント
この記事へのコメント
こんにちは♪
韓国作品はなかなか面白いですよね
とくに最近の猟奇殺人ものやサスペンスなんかは
そのへんのハリウッド作品なんかより出来がよくてびっくりします
じめっとした質感がまた日本人の感覚にあうんでしょうね
また、スペイン映画なんかとも同じく、他の国では描かれないであろうところをズバッと突いてくる部分も評価されていい部分だと思います、記述されていますが、とりあえず邦画では絶対無理でしょうね~
2011/09/21(水) 09:51:29 | URL | maki #jQTfdwCM[ 編集]
こんにちは!
韓国映画は、勢いを感じますね。韓国やスペインの映画は、すごく面白いものを作っていってると思います。日本映画も、独自のスタイルで、世界中で通用するような作品を、どんどん作っていって欲しいなぁと思います。
2011/09/21(水) 23:50:49 | URL | kino #Kyeye.Gc[ 編集]
強烈でした
kinoさん、こんにちは!
韓国映画の凄まじさは本当に強烈なものがありますね。
この作品はかなりえげつなくて、ちょっと見られないシーンがありました。
そこまで描くかって所が凄いですよね。

でもイ・ビョンホンさんが、腕っ節が強過ぎてスマートなのが、
これまでのイメージを守っている感じがして、
少々物足りなさを感じました。
作品のようにもっと突き抜けて欲しかったです。
2011/10/08(土) 16:42:00 | URL | YAN #9L.cY0cg[ 編集]
>YANさん、こんにちは!
>そこまで描くかって所が凄いですよね。
行き着いてしまうというところが、すごいですね。それが、良いとは思わないんだけど、これは、海外上映なども視野に入れて作ってるでしょ。そのあたりの気合いが、日本映画には、足らないような気がします。

これは、サイコスリラーで、相手役が、彼の心情を表現していくわけですから、イ・ビョンホンは、無表情でかっこよいスタイルで問題ないかと思いました。
相手は、感情がないので、何千回殺しても意味がないんし、存在していないに近いです。彼女は痛くて恐かっただろうと、と問いかけるのは、自分への責めでもあると思うんですよ。自分を徹底的に苦しめ、彼女の恐怖に近づきたい、というところもあるのか、と思いました。
2011/10/08(土) 23:38:23 | URL | kino #Kyeye.Gc[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
イ・ビョンホンさん主演。 猟奇殺人鬼に婚約者を殺された国家情報院捜査官の残虐な復讐劇です。主役のイ・ビョンホンよりも、猟奇殺人者を演じたチェ・ミンシクさんが凄く良かった様に思う。 エログロ描写が多分にあって、R-18だそうですが、最後まで飽きることなく引き...
2011/09/21(水) 09:47:32 | いやいやえん
グロ度、最強! ここまで残忍なバイオレンス復讐劇は見た事ないかも(><) I SAW THE DEVIL 監督:キム・ジウン 製作:2010年 韓国 出演:*イ・ビョンホン *チェ・ミンシク *オ・...
2011/10/08(土) 16:43:17 | RockingChairで映画鑑賞
『甘い人生』『グッド・バッド・ウィアード』などの韓国の異才、キム・ジウン監督を務め、人間の内なる悪魔を凄惨(せいさん)に描いたサイコ・サスペンス。婚約者を殺された男が、血も涙もない卑劣なシリアル・キラーを執拗(しつよう)に追い詰める様子を映し出す。『...
2011/10/30(日) 03:32:03 | サーカスな日々