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観た映画の感想が綴られてます。ゆったり、更新。
ミッション:8ミニッツ
2012年06月11日 (月) | 編集 |
残存記憶の中へ。

ミッション:8ミニッツ_Photo1
アフガニスタンで戦闘ヘリを操縦していたはずなのに。
コルター・スティーヴンスは列車の座席で目覚める。目の前の女性が、親しげに話しかけてくる。だが、コルターには自分がなぜここにいて、彼女が誰なのかわからなかった。鏡を覗きこんだ彼の眼に映ったのは、見知らぬ別人の顔。所持していた身分証明書には、ショーン・フェントレス:教師と記されていた。そのとき突然、車内で大爆発が発生。なす術もなく炎に飲み込まれていった……。

ストーリー:乗客全員死亡のシカゴ列車爆発事件。次なる巨大爆破テロの予告を受けて、犯人を捉えるべく政府の極秘ミッションが始動した。そのミッションとは「乗客の死の<8分前>の意識に潜入し、犯人を割り出せ」という驚くべきもの。任務を遂行するのは、米軍エリート、コルター・スティーヴンス大尉。タイムリミットは8分。爆発の瞬間、コルターの意識は元の自分に戻る。意識だけが他人と自分の肉体を行き来し、そしてまた<8分間>を繰り返す。その度ごとに少しずつ犯人に近づいていくコルター。だが、そのミッションには、<禁断の真実>が隠されていた...。

何度も何度もループする映像を見ながら、事の次第がわかってくるという作品。
主人公と同じく、観てる自分も、わけのわからないまま、ループ体験を繰り返すことになります。列車内の状況、乗客の顔などが、思わせぶりに映り、目まぐるしいので、また、ループするんですか?って感じで、最初の30分間ぐらい、ちょっと疲れました。

本作を手がけたのは、『月に囚われた男』のダンカン・ジョーンズ監督で、この第2作目も、囚われた男を描いてるような作品です。驚愕のラストを狙ってるものではないので、つじつまなんて、気にしない方が楽しめると思います。

出演者は、
ミッション:8ミニッツ_ジェイク・ギレンホール2
ジェイク・ギレンホール=軍人コルター・スティーヴンス
突然、ミッションに放り込まれた人。
ミッション:8ミニッツ_ミシェル・モナハン
ミシェル・モナハン=クリスティーナ
顔見知りらしき目の前の座席の女性。
ミッション:8ミニッツ_ベラ・ファーミガ
ベラ・ファーミガ=グッドウィン大尉
モニター越しに、犯人を特定せよ!と、命令を出してくる人。

※ネタばれあり

ショーン・フェントレスという乗客の残存記憶<8分間>の世界へ、
自分の意識が送り込まれているということが、わかってくるのだが、
彼には、疑問がつきまとっていた。
自分が、いったい、どこにいるのか?ということだ。
<8分間>から戻ると、“包囲された城”と呼ばれる狭いコクピットのような空間に押し込められており、モニター越しの軍服姿の女性グッドウィン大尉に、調べた情報を伝えるだけなのだ。

やがて知る彼の絶望。
でも、このミッション体験の中、彼は気づいたことがありました。
この亡くなった乗客の記憶より再現された世界が、非常にリアルなのだ。
乗客の見たもの、聞いたもの、といった狭い範囲内ではなく、
動き回り、列車から降りたりすることもできてしまう。
もしかして、
送り込まれる度に、新しい世界が生み出されていってるのでは?
そうならば、
今ある世界に決別し、
その可能性に賭けてみよう!という希望的な発想をするのだ。

そして、コルターは、最後の<8分間>に何をするのか。
父の思いを電話で聞き、乗客を笑顔にして、ピリオドを打つのだ。

ミッション:8ミニッツ_ジェイク・ギレンホール1

最後まで観て、どう解釈するかは、観た人しだいということでしょう。
現世の最後には<8分間>という残存記憶世界が存在していて、これは、他の世界とつながっている場所みたいなものなんでしょう。その先が、あの世なのか、精神世界なのか、平行世界なのか、わかりません。乗客のショーンとクリスティーナにも<8分間>があり、ここをくぐり抜けたんでしょう。
コルターの場合は、特殊な例で、この再現世界<8分間>が、現世の最後になってしまったわけですよね。ここに、彼は確かに存在し、感情があった。再現世界を実存世界に変えたのは、コルターの信じる力でしょう。

走馬灯のように、って言うように、それが<8分間>なのかもしれません。時間・空間に関係なく、過去や未来が存在している世界。だから、過去時間に向かって、メールを送ることができたんでしょうね。
<8分間>の見え方や感じ方は、人によって違うんだろうな。他の誰かが、この機械を使ったとしても、コルターのようにはいかないような気がする。最初、なにも知らなかったというのが幸いしたんでしょうね。心の命じるままに動いたことが、創造を生んだんだと思います。

ミッション:8ミニッツ_ネタばれPhoto

この監督さんらしい作品で、希望を感じさせる作品で、よかったと思います。

ミッション:8ミニッツ Source Code 2011年【米】94分
監督:ダンカン・ジョーンズ 脚本:ベン・リプリー
出演:ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン、ベラ・ファーミガ、ジェフリー・ライト
★★★☆☆(3.5)
ミッション:8ミニッツ ブルーレイ+DVDセット
ミッション:8ミニッツ_ポスター


※本作脚本担当のベン・リプリーは、臨死体験サスペンス『フラットライナーズ』のリメイクの脚本家に起用されてます。この作品をみると選ばれそうな感じですね(^^)
「フラットライナーズ」リメイクへ(2011年8月29日映画.com記事)
フラットライナーズ紹介記事
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コメント
この記事へのコメント
こんにちは♪
結局、ラストの解釈は「観た人次第」ということなのでしょうね
ひとつの物事に囚われて考えないほうがいいのかも、と思い始めました
ただ主人公が救った世界は彼にとっては間違いなく存在し、
ミッションは成功し乗客も無事に駅に着いたという場所が、きっとあるのでしょう
2012/06/12(火) 15:07:05 | URL | maki #jQTfdwCM[ 編集]
こんにちは!
>ラストの解釈は「観た人次第」ということなのでしょうね
そういうことになると思います。
可能性を考えて欲しい、
という内容っぽいですよね。

哀しい方向に話を持ってきていないので、
私は、希望的に解釈していくのが、いいように思いました。

乗客全員、無事に駅に着く世界が生まれる、
という可能性を信じて、
メールを送信しているんだと思います。
グッドウィンが受信できた、ということは、
その可能性が生まれた兆しなのかもしれません。
コルターは、グッドウィンという人物を
信頼しての行動だと思います。

乗客が無事に駅に着いた世界は生まれている、と思います。
2012/06/12(火) 16:17:30 | URL | kino #Kyeye.Gc[ 編集]
お久しぶりです!
kinoさん、こんにちは!

これはなかなか面白いSF絡みの人間ドラマでしたね!
この監督のセンスはとても好きで、これからも楽しみです。
ジェイク・ギレンホールもベラ・ファーミガも
内面の演技が上手くて、引き込まれました。

私も、送り込まれる度に新しい世界が生み出されていってると
思いました。
そして最後にあの世界に行けたのは、
コルターの信じる力であり、
彼女を救いたいという思いの強さでしたね。
希望あるラストが後味良かったです★
2012/06/16(土) 18:14:16 | URL | YAN #9L.cY0cg[ 編集]
お久しぶりです、YANさん
>ジェイク・ギレンホールもベラ・ファーミガも
>内面の演技が上手くて、引き込まれました。
内面描写ができるキャステイングは、良かったと思います。
ミシェル・モナハンも、あまり変化のないむずかしい役で、
彼女の雰囲気も、この作品に合ってましたね。
希望的な作品で良かったと思いますよ。

この作品自体が低予算向きの脚本で、
低予算といえば、ホラーが適してるんですよね。
たぶん、脚本を書いた人は、
魂が肉体を離れ、別の場所で死んだ場合、いったいどうなるの?
ということを考え、SF的に作っていった、ような気がします。

いろんな要素が、はいってる作品のように思います。
SF的に平行世界と考えていってもいいし、
死、記憶、をテーマにしてるような部分もあるし。
観た人の想像が、面白い作品でしょうね。
2012/06/17(日) 11:30:20 | URL | kino #Kyeye.Gc[ 編集]
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