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メランコリア
2012年09月15日 (土) | 編集 |
美しき映像で語られる、姉妹の心理スリラーみたい。

メランコリア_イメージ写真

解説:「アンチクライスト」のラース・フォン・トリアーが、巨大惑星の接近で終末を迎えつつある地球を舞台に、人々の孤独と絶望、魂の救済をワーグナー作曲の「トリスタンとイゾルデ」の壮大なメロディにのせて描き出していくドラマ。姉夫婦の豪華な邸宅で盛大な結婚パーティを開くジャスティンは、皆から祝福され幸福感に満たされる一方、どこかでむなしさも感じていた。そんなとき、巨大な惑星「メランコリア」が地球に向けて近づいていることが判明。それは同時に地球滅亡の知らせでもあったが、それを聞いたジャスティンの心はなぜか軽やかになっていく。主人公ジャスティン役のキルステン・ダンストが2011年・第62回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞した。

冒頭の抽象的なアートワーク映像が、たいへん美しい。
この写真集のようなものを、<第一部ジャスティン><第二部クレア>で、解説してるみたいな感じだ。冒頭映像の中に、影が二方向に出てる映像があり、この物語は、ジャスティン側と周囲の人々側を、描いてるんだろう。

ゴージャスだが、居心地の悪そうな結婚式の<第一部ジャスティン>。花嫁ジャスティンは、この場に、一瞬たりとも居たくないかのように、ふら〜と出ては戻ってこない。ゲストは、うっとおしい人や見知らぬ人ばかり。そりゃ、笑顔をふりまき飾り立てするのも苦痛だわ、と思わせるような雰囲気。
私は、もしかして、堅苦しく体面ばかり気にする姉クレアが、なにか病を抱えてる人で、この家族の過去に大きな問題があり、妹ジャスティンは、それに、疲れきってしまってるんじゃないか、と思いながら観てた。

<第二部クレア>クレアサイドから描くのかなと思ったけど、そうではなかった。惑星メランコリア接近のパートです。なんだか落ち着かない様子の姉クレアに比べ、すべてのことから解放されたかのような妹ジャスティンは、惑星の光を浴び、悠然とリラックス。自然の営みに逆らえないし、逃げ場もないわけだから、パニックなんて起こらないでしょう。みなさん、静かに受け入れることになるかと思う。
不安がるクレアの楽しく最期を迎えよう、という提案を一喝。それは、あんたが仕切った私の結婚式と同じレベルじゃ。正しい最期の迎え方を悟し、無の世界へ。

これは、突然の死や、絶望的な死ではないですよね。
死の「時」がわかっていて、
その時まで、平等な時間が、すべてに与えられているんです。
まして、この死は、孤独ではない。これは、救われることだと思う。
命を感じたままの、いたって穏やかな消滅になるでしょう。

理由はわかりませんが、ジャスティンにとっては、この結婚式が、世界の終わりのようであり、空虚なものなんでしょうね。ジャスティンの考えるヴィジュアルイメージが、惑星接近→地球消滅というものなのかなとも思う。

公式サイトに「鬱」のことに触れてあるが、それはどうでもいいことでしょう。
型にはめて理解しようとすると、疲れるだけだし、
女優さんの力量がないと成立できない作品ですね。


絵的に、わかりやすい心理スリラー。
アート的なもので、謎めいたセリフや、絵から、
自分なりに想像を広げていくのが、面白いです。

Melancholia 2011年【デンマーク・スウェーデン・フランス・ドイツ】135分
監督・脚本:ラース・フォン・トリアー
出演:キルスティン・ダンスト(妹ジャスティン)、シャルロット・ゲンズブール(姉クレア)、キーファー・サザーランド、アレキサンダー・スカルスガルド、シャーロット・ランプリング、ジョン・ハート、ステラン・スカルスガルド
★★★★☆(4.0)
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コメント
この記事へのコメント
kinoさん、こんにちは!
プロローグの絵画のような幻想的映像は
本当に美しくて、ここだけで充分って思ったくらいです。

トリアー監督の心象風景という感じの内容でしたね。
なので、私は鬱と結び付けてこの映画を考えてしまいましたが(^^;
疲れはしませんでしたよ。

自分がもし世界の終焉に直面したら・・と考えると、
やっぱり慌てても仕方ないので、
家族と一緒に受け入れるんじゃないかなあ~って思います。
その時になってみないと分かりませんが(^▽^;)
2012/10/10(水) 17:31:24 | URL | YAN #9L.cY0cg[ 編集]
こんにちは!
冒頭のアートワークが美しいですね。

地球消滅は、無の境地で、
そこにたどりつけないので、人間は悩むんでしょうね。
本編は、ほとんど、無意味なのかもしれませんよね。

あまり捉われてはいけない、という感じもしました。
2012/10/12(金) 00:15:15 | URL | kino #Kyeye.Gc[ 編集]
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SF終末劇と謳っているけど、SF色は薄くて、 人間の憂鬱な内面を映像化したドラマでした。 MELANCHOLIA 監督:ラース・フォン・トリアー 製作:2011年 デンマーク・スウェーデ
2012/10/10(水) 17:32:39 | RockingChairで映画鑑賞